不動産ニュース / 調査・統計データ

2025/5/21

24年度仲介実績、都心の価格上昇で18社が手数料増

 (株)不動産流通研究所は21日、2024年度の「主要不動産流通各社の仲介実績調査」の結果をまとめた(下に一覧表)。

 今回は、21社が回答。なお、今回から三菱地所リアルエステートサービス(株)と三菱地所ハウスネット(株)の数値を合算し「三菱地所グループ」として掲載する。また、ナイス(株)は事業ポートフォリオの見直しに伴い、今回から非開示となった。21社中18社が手数料収入を増やした。

 トップは三井不動産リアルティグループで、仲介事業で初の手数料収入1,000億円超を達成した。リテールは富裕層向けのコンサルティング営業を提供するリアルプラン5店舗の取扱単価が2億数千万円に上昇したことなど、都心部の取引活発化・単価上昇に引っ張られたほか、ホールセールも大型案件の増加によって増収した。

 次いで、東急リバブル(株)は成約件数・手数料収入共に過去最高を更新した。個人仲介での社内連携が奏功し、生産性がアップしたことが主な要因と考えられる。法人仲介では上期に伸び悩んだものの、下期は10億円超の大型取引も増加した。

 住友不動産ステップ(株)(旧・住友不動産販売)は取扱件数こそ微減したものの、取扱単価上昇によって手数料収入・取扱高が増加。ウェブ広告強化などで問い合わせ件数が増加しており、改善傾向が続いている。続く野村不動産ソリューションズ(株)は、個人仲介において取扱件数の増加幅は小さかったものの、取扱単価の上昇で手数料・取扱高が増加。法人仲介も単価上昇と件数増により高水準の業績となった。

 今回からグループでの公表となった三菱地所グループは、信託系2社に続く7番目。リアルエステートサービスの法人仲介がけん引し、超大型案件こそ件数減となったが全体的な取扱単価が大きく上昇しており、取扱件数・手数料収入共に順調に増加している。ハウスネットを中心としたリテールでも情報件数が増加したことに加え、単価アップによって手数料収入が増加した。

 個人仲介は、既存住宅流通活性化に加え、取扱単価の上昇が多くの会社の業績に寄与した。主な要因は首都圏特に都心部の取扱単価上昇。新築マンションの価格高騰が続く中で、既存マンションの需要が拡大、それに伴って築浅物件や設備仕様の高い既存物件の取引の勢いが加速している。一方、地方圏や郊外部に目を向けると、「地方圏でも中心部は好調だが、郊外部は苦戦する傾向がある。都心の勢いと比較すると弱含み」(三井リアル)、「購入顧客の動きが弱く、長期在庫物件も多い」(京王不動産(株))、「郊外店舗では取引単価がわずかな低下や取引件数の一部弱含みがみられる」(小田急不動産(株))といった声が聞かれた。ただ、「マンションと比較して値動きが軽微だった既存戸建てや郊外エリアの取扱件数が伸びている」(住友林業ホームサービス(株))いったポジティブなコメントも。

 法人仲介は大型の売買案件の取り込みに成功した会社が多かった。相鉄不動産販売(株)は長期的なプロジェクトが当期に成約。手数料収入を大幅に増加させた。「上期こそ外資系ファンドが投資意欲を減退させたものの、それは一時的なもの。下期は大型のホテルや堅調なレジデンス需要を取り込めた」(東急リバブル)、「一般事業法人からの本業の収益補完や遊休不動産処分を目的とした大型売買案件が多かった」(三菱地所グループ)などの声が聞かれた。一方で、金利の先高観や価格の高止まりを懸念するコメントも出てきている。

2024年度「主要不動産流通各社の仲介実績」

※三井不動産リアルティグループの手数料収入は、売買仲介・賃貸仲介、賃貸管理収益などを含む仲介セグメントの収益。東急リバブルの手数料収入は賃貸仲介および賃貸関連収益を含む。住友不動産ステップの手数料収入は賃貸仲介含む。三菱地所グループは三菱地所リアルエステートサービスと三菱地所ハウスネットの合算。東京建物不動産販売と住友林業ホームサービスは24年12月期、積水ハウスグループは25年1月期、ほかは25年3月期の数値。 ※増減は前年比

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