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小田急不動産(株)は31日、古民家の良質な木材を新築住宅に活用する「KATARITSUGIプロジェクト」のモデルハウスを、神奈川県足柄上郡開成町にオープンする。
全国には多く古民家が存在しているが、宿泊施設などとして再生・運営されているものがある一方で、継承されずに空き家となり、放置され朽ちているものや取り壊しとなるものも多い。
同社は、古民家はその土地の良質な木材を使用して建てられたものも多い点に着目。そうした古民家の木材(古材)を別の地域で活用できれば、古民家の歴史、所有者の思いを次代につなぎ、かつ古民家のある地域の関係人口増加につなげることができるのではないかと、(一社)全国古民家再生協会(東京都千代田区、理事長:中村綱喜氏)と連携。そのための仕組みを検討・構築した。
小田急不動産が土地の仲介や販売を行なった顧客で、古材を活用した住宅を希望する場合に、全国古民家再生協会の事業者が顧客(施主)と建築請負契約を締結。古民家所有者から古材の提供を受け、それを用いた住宅を建設する、というスキーム。
モデルハウスは、築約160年の古民家(新潟県阿賀町)の構造材を活用し建設。建物は木造在来工法平屋建て(建築基準法上は2階建て)で、建物面積は130.0平方メートル。職人により取り出された古材をリビングの大梁に活用している。さらに床材は、職人が制作した杉の浮造りの無垢フローリングを採用。洗面台やキッチンなども無垢材で造作するなど、国産の木材を積極的に活用した空間を仕立てている。
また、その古民家の歴史や文化、住まいの物語を「家史(いえし)」としてまとめ、古民家の所有者・思いを伝えるとともに、施主が古材のある住まいでの暮らし方のイメージを膨らませてもらうのに役立てる計画。
同社では、初年度5戸の販売を目標としている。坪単価(参考プラン)は約140万円。
同社仲介事業本部仲介営業部企画推進グループの山尾正堯氏は、「良質な古民家が行き場を失っている状況を見て、『地方に眠るこの資産を何とかできないか』との思いからプロジェクトがスタートした。CO2排出抑制、循環型社会の実現にも資する取り組みである。エシカル消費に共感する層などをターゲットに、この住まいを提案していきたい」と述べた。
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