
パナソニック ホームズ(株)は3日、専門誌らとのメディア懇談会を開き、代表取締役社長の藤井 孝氏が今後の事業展開等について説明した。
同社の2025年3月期業績について、売上高3,720億円(前期比3.0%増)、経常利益128億円(同18.5%増)と増収増益。業界全体で苦戦が続いている新築戸建てでは契約棟数2,817棟(同3%増)、契約高1,144億円(同7%増)と好調。新築戸建ての棟数増の要因について藤井氏は「建物シルエットを限定して総額を抑えることができる住宅商品『フォルティナ セレクトプレミアム』が地方圏を中心に伸びた」などと説明。23年度は赤字計上した地域子会社は11社に上ったが、24年度は9社が黒字転換したという。
今後の事業展開については、新築事業(戸建て・賃貸・建売)では全国各地でのエリア商品開発「日本の家プロジェクト」を加速させる。パナソニックグループのショップ店からの紹介促進や、地域密着型の営業を徹底することで、地域特性および地域に求められている要素を把握、それを商品企画に落とし込んでいく。まちかどモデルを建築して各エリア内で訴求・営業展開していく。例えば東北エリアでは、東北の四季を感じられる大開口リビングや、北海道のZEH基準もクリアできる断熱性能、コメの保管にも適した大型収納などを盛り込んだ「東北の家」を供給している。
ストック事業に関しては、買取再販ビジネスを強化。自社住宅を買い取って、リフォームした上で保証・瑕疵保険の付与や空気環境の改善といった付加価値をつけて再販する。24年度は買取再販と売買仲介等を合わせた住宅流通事業の売上高が110億円(同74%増)と大幅増。25年4月より新ブランド「ReVALUED(リバリュード)」で展開しており、30年度には同事業の売上高300億円を目指す。
街づくり事業についても大阪や福島で都市型・郊外型で大型開発を手掛け、都市型開発では医療連携や持続可能性、郊外型開発では人口減少や地元連携などの社会課題解決に資する取り組みを行なってきた。こうしたノウハウが積み上がってきたことから今後は、人口減少や高齢化といったさまざまな社会課題を抱えたニュータウンの再生事業に取り組んでいくことを明らかにした。同社以外のディベロッパーや公社らが過去に開発してきた大規模住宅団地などを含め、タウンマネジメントによって民間主導で既存施設を活用していく地域密着型の再生を行なっていく。「具体的にどのように進めていくか次期中期経営計画に盛り込んでいく。自社住宅以外のリフォームや買取再販を含め、ニュータウンの再生によってどのように収益を確保していくかといった点についても検討していく」(藤井氏)