(一社)不動産流通プロフェッショナル協会(FRP)は3日、(株)アートアベニュー(東京都新宿区)で第4回「プロフェショナルプレイヤー・フィロソフィー(ppp)講座」を開催した。
基調講演として、(株)セゾンリアルティ代表取締役会長CEOで同協会最高顧問の竹井英久氏が登壇。「コンプライアンスと倫理の関係」をテーマに、倫理規定の内容について説明するとともに、宅地建物取引士が信頼されるために必要な要素などを紹介した。
同氏は、「不動産仲介サービスにおいて『顧客』は『カスタマー(Customer)』ではなく『クライアント(Client)』である。また、宅地建物取引士は、『依頼者利益のために全力を尽くす“Client First”であるべき』。クライアントからの信頼を得るためには、知識、経験、能力とともに、“コンプライアンス”が大きな武器になる」と職業倫理の重要性を述べ、「Client firstこそが宅建士のビジネスでの差別化と成功につながる」と話した。
引き続き、東急リバブル(株)顧問で同協会政策委員の橋本明浩氏が登壇し、「不動産流通事情から見たトラブル事例とその考察」をテーマに講演。厳しい法規制下にあるにも関わらず宅建事業者がトラブル・不祥事を起こす理由について、不正のトライアングル(不正を行なえる機会、不正を行なうための動機、不正の正当化)があり、さらに、コンプライアンス違反を誘発する原因として、「欲求・欲望、知識不足、怠惰に加え、うっかりミスということもある」(橋本氏)と言及。実際のトラブル事例を挙げ、その原因がどこにあったか考察・解説した。
(株)NextBRANDING代表取締役で同協会政策委員の佐藤雄樹氏が「中小企業のゴーイングコンサーンとクライアントファースト~クライアントの未来に責任を持つということ」をテーマに講演。
不動産業界における中小事業者が長期にわたって事業を継続する(Going Concern)には、目先の売り上げにとらわれない姿勢が不可欠で、クライアントファーストを掲げるならば、自分自身の報酬構造や提案の前提を問いただす必要がある、と指摘。その上で、不動産プレイヤーには「仕事」を「私事」として捉え、「自分がクライアントの立場だったらこう考える、自分がクライアントの立場だったらこう行動する。このように、目の前のクライアントの『私事』として判断・行動する必要がある。このような志を持ったプレイヤーの仕事は『志事』である」と説明した。