国土交通省は16日、社会資本整備審議会建築分科会建築基準制度部会と同建築環境部会(分科会長および部会長:いずれも中埜良昭東京大学生産技術研究所教授)の合同会議を開催。今回は、「建築分野の中長期的なビジョン」策定に向け、建築分野の政策に関する中長期的なあり方や、建築物のライフサイクルカーボン評価(LCACO2)の促進・省エネルギー性能のさらなる向上について議論を行なった。
前回(4月)の合同会議において、「建築分野の中長期的なあり方に関する懇談会」「集団規定に係る基準検討委員会」「建築物LCA制度検討会」といった枠組みを活用して中長期的な課題の洗い出しをすることが示されたのを受け、今回はこれらの懇談会・検討会等によるとりまとめなどの報告が行なわれた。同時に、同住宅宅地分科会における住生活基本計画の見直し議論、中央建築士審査会による建築士試験制度のあり方議論に関する検討の内容も報告された。
いずれの内容も既存ストックの活用を中心的な課題として位置付けており、それぞれ法規範や人材育成、技術の承継、地域社会での既存ストックのあり方、金融システムの見直し、脱炭素に向けたストック向けの基準作りなどの必要性が盛り込まれた。これら報告を受け、「建築分野の中長期的なビジョン」策定に向けての検討を本格化させる。
出席した分科会・各部会の委員からは「既存ストックは個別性が強いため、これまでの新築向けの規制のような一律的なルールではカバーできない側面がある。柔軟な制度設計が必要」「カーボンニュートラルの実現に向けては経済合理性バランス求められる」「一般市民の建築リテラシーを上げる努力も必要だ」などといった意見が挙がった。
次回は11月11日の建築基準制度部会で中長期的なビジョンの枠組みについて検討。2026年1月にはビジョン検討に係る中間的なとりまとめを議論し、その後も継続検討し、27年春をめどにビジョンに関するとりまとめを行なう予定。