国土交通省は11日、社会資本整備審議会建築環境部会(部会長:中埜良昭東京大学生産技術研究所教授)の28回目となる会合を開いた。今回は、脱炭素社会の実現に向けた建築物のライフサイクルカーボン評価の促進と、省エネルギー性能の一層の向上をテーマに意見交換を行なった。
冒頭、同省から前回の会合で委員から挙がった意見や、国の取り組みについて紹介したのち、両テーマに関して具体的な論点を提示した。
「建築物のライフサイクルカーボン評価を促進する制度」については、内閣官房に「建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議」が4月に設置され、その基本構想において2028年度をめどに評価制度の開始を目指すことが盛り込まれた。その上で、具体的な論点として、建築主・設計者・施行者・建材設備製造事業者の役割を明確化することや、算定ルールの策定と結果を評価する基準の策定、表示ルールなどを検討すべきだと提案した。
これに対して委員からは「設計段階に応じた在り方の検討も必要では」「オペレーションによるライフサイクルカーボン削減をどう評価するか」などといった意見が挙がった。
一方、「2030年ZEH・ZEB水準目標に向けた新築建築物の省エネ性能の一層の向上」については、23年時点での新築住宅のZEH基準適合率が約46%、新築建築物のZEB適合率が37%という実態を踏まえ、論点を提示。住宅については、住宅トップランナー制度の強化や、現在評価されていない省エネ技術の導入を促進するため、特殊な構造・設備を用いる場合の省エネ性能を別途評価して大臣認定の取得を可能にするなどが打ち出された。
これに対して、委員からは「トップランナー基準は、大手企業に市場をけん引してもらうという意味でも重要。しかし、当該企業の事業エリアによっては空白地ができる可能性もある、もっと供給地域を考慮した制度にすべきでは」「省エネだけでなく、再エネの活用についても検討していく余地がある」「消費者のメリットをどう打ち出していくか」などの意見が出された。
次回の会合は12月12日に開催する予定。
