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(株)WHEREは2日、時事通信ホール(東京都中央区)で宇宙産業と不動産業界による新市場の創造を目的とした「宇宙×不動産カンファレンス2025(SRC 2025)」を開催した。同社は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構発のスタートアップ。宇宙衛星データからAIを使って不動産取引につながる情報の提供等のサービスを手掛けている。
開会に当たり、同社CEOの阿久津 岳生氏が挨拶。「衛星データとAIを組み合わせ、地球全体が俯瞰できるようになった。今まで見つけることができなかった価値ある不動産を見つけ、その価値を瞬時に評価できるようになる。このカンファレンスは、宇宙という新たな視点に立って地球を捉え、不動産という最大の活動領域をアップデートするためのものだ」と話した。
初めに、宇宙飛行士の野口聡一氏が登壇し「宇宙ビジネスが開く不動産業の新しい可能性」と題して基調講演。特別セッションでは、小説『地面師たち』の作者・新庄 耕氏と、漫画『正直不動産』原案者の夏原 武氏、同社CEOの阿久津氏が登壇し、不動産の未来等について語り合った。
「宇宙データが動かすリアルな不動産市場~最新取引事例を読み解く~」のトークセッションでは、パネリストとして三井不動産リアルティ(株)や阪急阪神不動産(株)等の実務者が登壇した。用地仕入れのための不動産AIツール「WHERE」に関して、導入している各社の空き地や駐車場等の取引での成功事例等を披露。宇宙技術の実用例を紹介することで、不動産業界が宇宙データの利用者として得られる価値について掘り下げた。
また、国土交通省総合政策局社会資本経済分析特別研究官の小林正典氏、東京都市大学建築都市デザイン学部都市工学科教授の秋山祐樹氏、(株)Tellusフェロー小笠原 治氏、JAXA第一宇宙技術部門地球観測プログラム戦略室参事の村木祐介氏の4者が「サステナブル都市の新ガバナンス~データとルールで再構築する社会システム~」というテーマでセッションし、サステナブルな都市を形成するためには何が必要なのか等について意見交換。登壇者からは、「基礎知識がなくても衛星データを活用できる技術を普及させる必要がある」「不動産取引に衛星データを活用することが必要だ」などといった声が挙がった。
この他、「宇宙テクノロジーで創造する10京円の不動産市場」や「宇宙空間の賃貸」をテーマにしたトークセッション等が行なわれた。


