不動産ニュース / 政策・制度

2025/12/19

「令和8年度税制改正大綱」、各業界団体がコメント

 政府与党が19日に発表した「令和8年度税制改正大綱」について、各業界団体のトップから、以下の通りコメントが発表された。

(一社)不動産協会理事長 吉田淳一氏
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)会長 坂本 久氏
(公社)全日本不動産協会(全日)理事長 中村裕昌氏
(一社)不動産流通経営協会(FRK)理事長 遠藤 靖氏
(一社)不動産証券化協会(ARES)会長 菰田正信氏
(一社)日本ビルヂング協会連合会 会長 木村惠司氏

(一社)不動産協会理事長 吉田淳一氏

 本日決定された「令和8年度税制改正大綱」では、最重点要望と位置付けていた住宅ローン減税について、新築住宅に係る環境性能等に応じた借入限度額や子育て世帯等に対する措置が延長されるとともに、中古(既存)住宅に対しても拡充等がなされた。また、長期保有土地等に係る事業用資産の買換特例、都市再生促進税制や国家戦略特区税制についても延長等されることとなった。我が国経済が物価上昇の継続をはじめとする様々な課題に直面し、先行きも不透明な状況にある中、再びデフレに後戻りすることなく、国民生活の向上や「強い経済」の実現に向け不可欠な措置が講じられたものと評価している。
 また、ウォーカブル推進税制や新築住宅に係る固定資産税の特例、土地の登録免許税や物流施設に係る特例等、例年以上に多くの重要な不動産関連税制が適用期限を迎える中、都市、住宅、土地等に係る政策の推進等に向け、延長等が認められ、評価している。
 ご尽力頂いた関係各位に対して、厚く御礼申し上げたい。

 今回の税制改正を踏まえ、当協会としても、引き続き、国民の暮らしを豊かにする魅力的なまちづくりや住環境の整備を通じ、我が国の経済・社会の発展に貢献して参りたい。

(公社)全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)会長 坂本 久氏

 昨今深刻化している物価高に加え、住宅価格も高騰が続いており住宅購入者にとっての環境は、より厳しい状況にある。
 また、数年来問題となっている全国の空き家・空き地の増加に対する対策も急務となっているなか、本会では、低未利用土地等を譲渡した場合の100万円控除の適用期限の延⻑、さらには住宅ローン減税制度についての子育て世帯等の借入限度額の上乗せ措置や既存住宅に係る支援措置の拡充及び床面積要件の緩和等について要望した。
 今回の税制改正は、政局が混迷するなかにあって10月に高市新政権が発足後、大変短い期間での改正議論となった。
 そうした中、令和8年度税制改正大綱において、本会が重点要望事項とした各種要望項目についての実現がなされたことは大変喜ばしく歓迎したい。
 近年の社会情勢や日本銀行による追加利上げの実施、今後の住宅ローン金利上昇リスクが懸念され、不動産業界における市場環境も変化しているなか、本会においては、今回の税制改正の成果を活かしつつ、空き家問題の解決等、地域に根ざした活動や消費者の住宅取得支援への取り組みを通じ、不動産業の信頼向上に努めて参りたい。

(公社)全日本不動産協会(全日)理事長 中村裕昌氏

 住宅ローン控除に関して、当協会がかねてより要望して来た既存住宅の適用面積引下げをはじめとして要件拡充・上限額の拡張が盛り込まれたことを高く評価したい。多くの政治課題が渦巻く中、大綱のとりまとめにご尽力いただいた与党、政府関係者の皆様に心より感謝を申し上げる。
 一方で、従来は新築住宅を対象としていたZEH等の省エネ性能基準を、そのまま既存住宅に適用することについては、実効性の確保の面で懸念もある。既存住宅においては、事後的に基準に適合させるための“グリーンリノベ”や“後からZEH”など新たなスキームや支援策の検討、そしてまたその施工を担う人材の養成も不可欠であると考える。
 建築コストの高騰に晒される今、既存のものを取り壊し、新しい建物を建てるという手法だけではもはや健全な市場環境は成り立たなくなっている。
 それだけに、本会としても良質な既存住宅の維持と流通の促進にこれまで以上に積極的に貢献していく所存である。

(一社)不動産流通経営協会(FRK)理事長 遠藤 靖氏

 今回の税制改正大綱では、特に、住宅ローン減税が5年間延長されるとともに、既存住宅について、最低床面積要件の引き下げ(新築住宅同様に50平方メートル→40平方メートル)、控除期間の延長(新築住宅同様に10年→13年)、子育て世帯等が購入するZEH水準住宅及び認定住宅の借入限度額の引き上げ(3,000万円→4,500万円)等の拡充措置が講じられるなど、当協会の要望は十分に反映されたものと考えている。

 これらの措置を通じて、当協会が重要改正要望と位置づけてきた新築住宅と既存住宅のイコールフッティングは大幅に進展するものと考えられ、大いに歓迎したい。

 これらの措置を受け、今後、当協会としても、新築住宅と既存住宅が互いに補完し合いながら厚みのある住宅流通市場を形成する住宅循環システムの構築への貢献に取り組んでまいりたい。

 最後に、今般の税制改正にご尽力いただいた政府・与党の関係者の皆様に厚く御礼申し上げたい。

(一社)不動産証券化協会(ARES)会長 菰田正信氏

 Jリートに代表される不動産投資・証券化市場は、国内外の投資家に優良な不動産への投資機会を提供するとともに、不動産と金融を繋ぐ資金循環機能を通じて都市の再生と地域の活性化を推進し、我が国経済の成長や雇用の拡大に重要な役割を果たしてきた。

 令和8年度税制改正大綱では、当協会が要望した「特定の事業用資産に係る買換え特例措置の延長」や「土地の売買による所有権の移転登記及び土地の所有権の信託登記に係る登録免許税の軽減措置の延長」等が認められた。
 これらの措置は、継続する物価上昇や世界経済の不確実性の高まりによって先行き不透明となる中で、我が国における不動産投資市場の活性化を図り、民間資金の活用を通じた内需拡大や都市再生等に寄与するものであることから、高く評価したい。
 ご尽力いただいた関係者の方々に深く感謝を申しあげる。

 当協会としても引き続き、市場の健全な発展を通じて、強い経済の実現に貢献すべく、一層の使命感を持って取り組む所存である。

(一社)日本ビルヂング協会連合会 会長 木村惠司氏

 令和8年度税制改正大綱において、長期保有事業用資産の買換え特例の延長や都市再生緊急整備地域等に係る課税の特例措置の延長・拡充など、当連合会が要望していた税制上の特例措置の延長等が決定されたことを評価したい。
 当連合会としては、今回の税制改正も踏まえ、良質なオフィスビル環境の提供を通じ、引き続き、我が国経済の成長力・国際競争力の維持・向上に貢献するとともに、都市再生と地方創生の推進に寄与してまいる考えである。

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