記者の目

2006/7/11

「武蔵小杉マンション戦争」本命物件が登場

日本最高層59階建て、三井不動産「パークシティ」販売開始

 総面積37ha・計画人口1万5,000人という大規模再開発が始動し、今後数年間で約5,000戸ものマンションが集中供給されるといわれているのが、「武蔵小杉」エリア。今年の首都圏マンション市場を占ううえで、外すことのできない注目エリアだ。その武蔵小杉エリアのなかでも、おそらく最大の話題となるであろう物件が、いよいよ販売を開始する。三井不動産(株)による「パークシティ武蔵小杉」だ。駅前再開発、商業施設開発との一体計画、日本最高層となる59階建てを含むツインタワー、十分な緑化計画を伴った街づくり、多彩な住戸プランと、見所も数多い。激戦区にあって、頭一つ抜け出た物件となりそうだ。

「パークシティ武蔵小杉」完成予想図。地上59階建ては日本最高層マンションとなる
「パークシティ武蔵小杉」完成予想図。地上59階建ては日本最高層マンションとなる
多摩川も間近の武蔵小杉エリアは、2006年マンション販売の激戦地
多摩川も間近の武蔵小杉エリアは、2006年マンション販売の激戦地
ランドスケープデザインは、オリエンタルランドグループの(株)グリーンアンドアーツが監修。駅前とは思えない植栽に包み込まれる
ランドスケープデザインは、オリエンタルランドグループの(株)グリーンアンドアーツが監修。駅前とは思えない植栽に包み込まれる
モデルルーム室内。ライフスタイルの変化に合わせ、可変性に富んだプランを提案
モデルルーム室内。ライフスタイルの変化に合わせ、可変性に富んだプランを提案
最近では数の少ない二世帯近居のプラン。2つの住戸をコネクティングしたもので、独立性も高い
最近では数の少ない二世帯近居のプラン。2つの住戸をコネクティングしたもので、独立性も高い
「武蔵小杉は、やがて恵比寿や吉祥寺にも負けない街になる」と販売に自信を見せる、池上澄善三井不動産横浜支店長
「武蔵小杉は、やがて恵比寿や吉祥寺にも負けない街になる」と販売に自信を見せる、池上澄善三井不動産横浜支店長

再開発で「恵比寿や吉祥寺に負けない街」に

 「パークシティ武蔵小杉」(川崎市中原区新丸子東)は、東急東横線、同目黒線、JR南武線「武蔵小杉」駅前の企業グランド跡地に建設される、地上59階建て、同47階建ての2棟、総戸数1,437戸のマンションで、三井不動産(株)、三井都市開発(株)、新日鉄不動産(株)のJV。三井不動産は、同マンションと商業施設、メディカルモールなどで構成される「武蔵小杉駅南口地区東街区再開発事業」に参画。駅前再開発全体の計画段階からプランニングに参加している。

 武蔵小杉は、川崎市の総合計画で重要エリアに指定され、総面積37haの再開発事業が進行している。マンション開発は、その再開発計画の中でも重点事業となっており、計画戸数は約5,000戸。すでに分譲が開始されている東京建物(株)他による「THE KOSUGI TOWER」(総戸数689戸)を皮切りに、今後数年で4,000戸強のマンションが分譲される、首都圏有数の激戦区となる。
 そのなかにあって、「パークシティ」は、駅前ロータリーとの一体開発であり、高さ203m、地上59階建てという日本最高層の建物は、今後タワーマンションが林立することになる同エリアのランドマークとなる、最大の注目物件だった。

 「今後武蔵小杉は、横須賀線の新駅設置、商業施設の拡充など都市インフラが充実し、やがて吉祥寺、自由が丘、恵比寿といった人気の街に負けない素晴らしい街になるはず。その武蔵小杉の中でも、当社の物件は、駅前という、他社にはないナンバー1の立地を得た。商品企画にも自信を持っている」と話すのは、三井不動産横浜支店の池上澄善支店長。
 同氏は千葉支店時代、平均専有面積120平方メートル、「家族の絆」を商品企画に盛り込んだ「パークシティTokyoBay新浦安」などを企画。今に続く「新浦安ブーム」を生み出した人物の一人だ。そんな池上氏が自信を持って作りこんだ「武蔵小杉」は、やはり並の物件ではなかった。

駅前開発と一体化 緑豊かな住商空間に

 基本計画は、同社の「青山パークタワー」など数多くのマンションを手がけている光井純氏。2つのタワーを2羽の鳥に見立て、59階建て「ミッドスカイタワー」は青・緑などを基調に、47階建て「ステーションフォレストタワー」は赤・茶を基調に、それぞれ羽ばたく鳥をイメージしたデザイン処理がなされている。

 建物周囲のランドスケープデザインは、オリエンタルランドグループの(株)グリーンアンドアーツが監修。「武蔵野の森の再生」をテーマに、7つの庭園や広場に2,000本の樹木を植栽。同時に、駅前広場直結の都市計画道路整備、周辺道路の拡幅、歩道・歩道状空地・広場などの整備、電柱の地中埋設などが行なわれる。マンションの足元は、駅前でありながら豊かな緑に囲まれた空間となるわけだ。

 2本のタワーとは別に、商業施設棟が建設される。同建物には、ダイエーの新業態店とフィットネス施設が入居。同エリアへは、さらに川崎市認可保育園、子育て支援施設、市民館、コンビニエンスストアも建設・誘致される予定で、日常生活面でも将来的なポテンシャルは極めて高い。

ライフスタイルの変化に対応するプラン 二世帯近居も

 2本のタワーは、強固な地盤上に建設されることから、杭工法ではなく直基礎を採用。制震構造に加え、住戸部分最大100Nの超高強度コンクリートを採用している。ボイドスラブ厚は320mmと十分。8m以上のワイドスパン、ハイサッシュと基本性能は充実している。オール電化を採用。ICカードと携帯電話を使った4重のセキュリティシステムも評価できる。

 住戸プランについては、まだ「ステーションフォレストタワー」643戸分しか明らかになっていないが、「ミッドスカイタワー」についても、ほぼ同様のものとなるだろう。プランは、専有面積46平方メートルの1LDKから、128平方メートルのメゾネットタイプ3LDKまで、約200タイプ。さらに無償のメニュープランを組み合わせた500バリエーションを用意している。

 モデルルームは、専有面積72平方メートルの3LDK、89平方メートルの2LDK、88平方メートルの2LDKと54平方メートルの1LDKをコネクトした二世帯住戸の3つ。室内の扉、建具、水周りなどのクオリティは、三井不動産の物件としてはごくごく平均的レベルだが、ライバルの「THE KOSUGI TOWER」と比較すると、若干物足りなさも感じる。しかし、引き戸にちゃんとストッパーが付き、キッチン収納もソフトクローザーを採用するなど、ユーザーへの細かい配慮が評価できる。また、坪当たり10万円強の追加仕様となる「プレミアムパッケージ」を選ぶと、クオリティは格段に上がる。同仕様では、玄関・廊下・リビング・洗面所・トイレの床は大理石張りとなり、建具はガラリ扉、LD扉もガラス入り木扉となる。

 どのプランも、ライフスタイルの変化による間取りの可変性を容易にしているのが特長。二世帯近居のプランは、2つの住戸を中廊下部分でつなげたもの。個々の独立性を保ちながら近居できる現実性のあるプランとして評価できる。ただ、公庫付き(抽選)物件だから、2戸まとめて購入できない可能性もあるが…。

事前反響も9,000件 高単価を跳ねのけるか?

 気になる販売予定価格は、専有面積70平方メートルで5,000万円台が中心。坪単価にすると230万円から240万円の間に落ち着きそうだ。先発の「KOSUGI TOWER」より10~15%ほど高い。「希少価値のある立地と将来性を考えれば、決して高くはない」と、前出の池上支店長も言い切るが、記者も全くそのとおりと感じる。230万円台という単価は、同じ三井不動産の「豊洲」、あるいはみなとみらい地区のタワーマンションとほぼ同レベル。いずれも、街の将来性が豊かなエリアだ。

 同社にとって頼もしいのは、すでに事前反響が9,000件以上にのぼっていること。ここ数年のマンションでは、ぶっちぎりの反響数だ。この反響をベースに考えれば、約16%の歩留まりで完売することになる。同社にとっては高いハードルではあるまい。(J)

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