記者の目 / 開発・分譲

2008/3/20

「津田沼サンペデック」を再生、「Morisia津田沼」がオープン

津田沼駅南口のにぎわい復活へ

 JR総武線「津田沼」駅南口にある「津田沼サンペデック」。千葉県で生まれ育った記者にとっては、非常になじみの深い、懐かしい施設である。学生の頃はここでショッピングをし、友人と食事に出かけた、ある意味“ハレ”の場所でもあった。しかし、いつの頃からか北口にある「PARCO」、「丸井」(現在は「mina津田沼」)にばかり出かけるようになり、…。2005年にメインテナントであったダイエーが撤退してからは、実は一度も足を踏み入れることがなかった。  この「津田沼サンペデック」を、野村不動産ホールディングス(株)の子会社である野村不動産インベストメント・マネジメント(株)(以下、NREIM社)が私募ファンドで取得。バリューアップを図り、「Morisia津田沼」として13日にグランドオープンさせた。  今回は、オープンに先駆け12日にプレスプレビューが開催されたので、その様子をリポートする。あの、やや寂れた印象であった「津田沼サンペデック」が、どう生まれ変わったのだろうか。

津田沼駅からのぞむ「津田沼Morisia」。ペデストリアンデッキでつながっており、駅からのアクセスは抜群
津田沼駅からのぞむ「津田沼Morisia」。ペデストリアンデッキでつながっており、駅からのアクセスは抜群
施設正面に設置された鉄骨のパーゴラ
施設正面に設置された鉄骨のパーゴラ
店内も一新。全テナントの4分の1強が千葉県初出店だ(写真は1階部分の様子)
店内も一新。全テナントの4分の1強が千葉県初出店だ(写真は1階部分の様子)
エレベーター周りには、家具を多数配置し、ゆったり休憩してもらえるように配慮している
エレベーター周りには、家具を多数配置し、ゆったり休憩してもらえるように配慮している
ターゲット層である20~30歳台のヤングファミリー層を意識し、ベビー休憩室(おむつ交換、授乳スペース)も完備した
ターゲット層である20~30歳台のヤングファミリー層を意識し、ベビー休憩室(おむつ交換、授乳スペース)も完備した



出店テナントの4分の1強が千葉県初出店

 「津田沼サンペデック」とは、1978年10月に竣工した、2つの商業施設とホール(習志野文化ホール)が一体となった大規模商業施設。今回NREIM社が日本生命(相)から施設の区分所有権を取得し、バリューアップ、リーシングを実施、「Morisia津田沼」として今回オープンとなったものだ。
 今回のプロジェクトについて、NREIM社アセットマネジメント部長の芳賀 真氏は、「ペデストリアンデッキでつながった駅前という立地と、規模の大きさ(延床面積9万3,000平方メートル)。また半径3kmに10万人が居住するというその厚い商圏に加え、当該施設の南西部で土地区画整理事業(約35ha)が進められており、さらなる人口の増加が想定されることから、投資を決定した」と語っており、今回の再生プロジェクトの勝算は高いと見られている。

 今回の再生で、内装に加え、外観も大きく変化した。施設正面にはシンボリックな鉄骨のパーゴラを設置。夜はライトアップすることで、駅からの視認性を向上させた。また店外部にもエレベーターを設置することで、回遊性の向上への工夫もこらしたという。

 リーシング・施設運営については、野村不動産ホールディングスの子会社である(株)ジオ・アカマツが担当。「厚い商圏に対応すべく食品ゾーンを充実させ、さらに20~30歳台のヤングファミリー層をターゲットに据え、テナントを集めた」(同社取締役東京事業本部長・加茂忠秀氏)と語るとおり、ファッション、雑貨、その他含め、そうした層が好む店舗が多数出店している。
 また今回千葉県初出店となるテナントが多いのも特長だ。「良質な日常を求める、目の肥えた『千葉都民』のニーズに応える」(加茂氏)べく、スイーツの「hop createur」、「ギンザ プティ カスタ」、パン・スイーツの「シェ.リュイ」、アウトドア・小物の「フェールラーベン」、ファッショングッズの「ハートクリック」など、25店。テナント総数95店であるから、4分の1以上が千葉県初出店となる。


地元では驚きの、「メインテナントはイオン」

 地下には、大手スーパーイオンがメインで出店しているが、これは地元では大変な驚きをもって受け止められている。というのも、駅の北口側には、「イオン津田沼ショッピングセンター」という、イオン(株)直営の大規模ショッピングモールが存在しているからだ。
 「イオンが至近距離に2店出店を決断したということからも、この地の商圏の厚さを証明しているのでは」(芳賀氏)とのことで、今回の再生の成功が高い確率で予測できる。

 今回のリノベーションにあたり、ターゲット顧客層を意識し、トイレ・休憩スペースなどのアメニティスペースに力を入れている。
 授乳室・おむつ替えスペースなどを設置し、またエレベーター回りにはイス・テーブルといった家具を、多数、しかもゆとりをもって配置している。ゆっくり・ゆったり買い物を楽しんでいただきたい、との思いからだという。

 プレスプレビューに続いて、12時がプレオープンであったが、開店を待ちきれない多くの人が、入口付近に行列をなしていた。
 地元の人の期待を受け、華々しくオープンした「Morisia津田沼」が、いつまでも賑わいを失わずに発展していってほしい…。「津田沼サンペデック」の栄華、そして後の姿を知る記者の、切なる願いである(NO)。

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