プレ協、人気の郊外型開発を紹介
土地価格の下落を受けて、都心回帰の動きが急速に進んでいるが、子育てファミリー世帯を中心に、環境の整った郊外型戸建住宅の人気は依然として高い。なかでも、都市インフラがまるごと整備されている「ニュータウン」は、環境・利便性とも良好なことから、ロハスライフを志向する若年層にも受けているようだ。 今回は、(社)プレハブ建築協会が報道機関向けに実施した視察会で紹介された3団地について、その魅力を3回に渡って紹介していく。




成熟の多摩NTでタウンハウスのまちづくり
ミサワホーム「ミサワガーデンN-City」
最初に紹介するのは、ミサワホームが手掛ける「ミサワガーデンN-City」(東京都八王子市)だ。
同物件は、京王相模原線「南大沢」駅、「京王堀ノ内」駅ともに徒歩17分に立地。総敷地面積約4,400平方メートル、2街区で構成される、総戸数30 戸の建売団地だ。
敷地は、およそ40年の歴史を持つ多摩ニュータウンのなかでも比較的開発年次が遅い「ライブ長池地区」にあり、自然の起伏をいかし、電柱を埋設した美しいまちなみが特徴。さらに同団地は、保存林である「浄瑠璃緑地」に面しており、とりわけ環境がいい。
もともと同敷地は、集合住宅用として東京都から譲渡を受けたものだが、厳しい開発規制や住宅地としての付加価値付けを考慮した結果、建売住宅としての開発に変更した。
まず、ランドプランが面白い。浄瑠璃緑地に食い込むようになっていることから、緑地の心地よさを住まいに取り込む工夫を行なった。ミサワホームがいうところの「微気候デザイン」である。緑地に沿うように建物を配置した後、内周道路を回し、その内側にさらに建物を配した。これにより、周回道路が風の通り道になる。
この道路は、通常の4m幅の市道に加え、各敷地から1m分の歩道スペースを供出し、開放感を増している。御影石を敷きつめた歩道は、ガーデンパーティができるほどの開放的スペースになっている。
ただ、通常の戸建住宅を配していったのでは、建物間を風がうまく抜けていかない。そこで、建物を連棟型(タウンハウス)として、棟間を充分取ることで風の通り道を確保している。
タウンハウスは、一直線に並べてしまうとマンションやアパートと変わりがなくプライバシー上で問題がある。そこで、敷地形状に合わせ雁行させることで、個々の独立性を高め、4面採光・通風を実現した。戸境部も、基本的には外壁2枚が重なり合っているのと同等性能だという。
建物は、4LDKに容積不算入の収納空間「蔵」を設けたもので、専有面積117~122平方メートル。蔵スペースを中2階風に処理したスキップフロアが特徴で、これをいかした天井高3.2mのリビングが開放的だった。設備機器や内装・建具については、ミサワホームの標準的仕様だ。
販売価格は、5,260万円~6,180万円。坪単価でみると、戸建よりマンションと競合する。実際、マンションと比較して購入を検討するユーザーが多いそうだ。すでに30戸中22戸が販売済み。また、30戸の団地ではあるが、管理組合を組織してまちなみの維持管理が行なわれる。
‐続‐ (J)