記者の目 / その他

2010/3/23

片付けられない原因は…

実践心理学と実践行動学で理想の生活に

 気がつくと部屋には雑誌が散乱し、いつかDVDに焼こうと捨てずにとっておいたビデオテープは山積みのまま…「週末になったらやろう!」と自分に言い聞かせてみるものの一向に行動に移さず、状況は深刻化するばかり。  なぜこのような悪循環にはまってしまうのか。ヒントは“考え方のクセ”にあるという。  今回のレポートでは、先日開催された、自分では気がつかない“クセ”を発見するためのセミナー「いらないコト・モノに気付き手放すことで手に入れる理想の自分の引き出し方」の内容を紹介していく。

セミナーには約30人が集まり、講義後には交流会が開催された
セミナーには約30人が集まり、講義後には交流会が開催された

思考パターンの変換で理想に近づく

 同セミナーは人材開発コンサルタントの神名美江氏(Prima Human Support代表)とインテリアコーディネーター・収納コンサルタントの香取美智子氏(アットホームデザイン代表)のコラボレーションによるもの。

 まずはじめに、神名氏が実践心理学NLP(Neuro Linguistic Programming)を参考にした講義「自分の思考のクセを知る」を行なった。
 NLPとは、1970年代にアメリカで開発されたもので、精神科医や成功体験者などの思考および行動を分析し、体系化。誰でも簡単に実行できるメソッドとしているもの。
 コミュニケーション能力向上などに効果がみられることから、日本でも経営者や教師などが活用しているという。

 講義では、たくさんのメソッドのうちの一つ、「リフレーミング」をワークとして実践。4人1組になり、各自が自分で思う自身の長所を発表、ほかのメンバーからも印象を述べてもらうことで、まず自分の個性を確認する。
 次に、自分の思う短所を発表。少し悲しい気持ちになるが、すぐ後にメンバーから違った視点での解釈を与えてもらえる。例えば、「優柔不断」であれば「協調性がある」などといった具合だ。
 
 このように、ある事象に対して違った視点を持つ練習が「リフレーミング」であり、これを繰り返すことで、次第になりたい自分の姿に近づいていくことができるという。

 そのほか、寝る前や寝起きにはできるだけポジティブな言葉を発するようにする、電車で乗り合わせた人の長所を探してみるなど、日常生活ですぐに活用できるNLPのポイントが紹介された。

それぞれのライフスタイルにあった収納を

 次に、香取氏が“行動することで人生を変えていく”という実践行動学を取り入れた「いつでも誰でもカンタンにできる魔法の行動」と題したワークが行なわれた。具体的には、各自、自分の持ち物の中で処分に困っているものをリストアップし、それらを捨てられない理由を見つめなおすというもの。
 物が捨てられない理由には(1)購入時に高額だった、(2)目立った欠陥がない、(3)捨てるのに手間がかかる、(4)思い入れがある等が挙げられる(香取氏)とのことだが、確かに、記者自身のリストにも(4)を理由に処分できないものばかりが書かれていた。

 セミナーで示されたデータによると、約8割の人が現在の住宅に対して「収納が足りない」と感じているという。それでもなんとか上手に収納し、少しでも部屋を広く使いたい、とたくさんの人が収納ノウハウ本を買う。
 本のとおりに実行してみるが、数ヵ月経ち、ふと気付くと元の部屋に戻ってしまっている…
 「収納の答えは人によって違います。自分に合っていないやり方をしても、リバウンドしてしまう」とは香取氏の弁。
 ポイントは前述したように整理したいものをリストアップし、自分にとって何が大切かを見つめなおすことだという。
 きっちりまとまって少しの乱れもない部屋が好きという人もいるが、意外に少し散らかっているくらいの方が居心地が良いというのはよくあること。固定観念に縛られず、それぞれのライフスタイルにあった収納法を探してみてるというのも有効なようだ。
 ちなみに同氏の家庭ではデジカメの置き場所を玄関に決めているそうだ。写真の撮影は外出先で行なうことがほとんど。行方不明にもならず、うっかり忘れてしまうこともないという。

すぐに実践できる心理学×行動学

 今回のセミナー参加は、記者自身が自分のなかにいくつかの視点を持つことの重要性や、大切にしたいものを見つめなおすきっかけとなった。
 大切にしたいものは人それぞれである。友人の夫は独身時代をともに過ごしたブラウン管テレビとパソコンが捨てられないらしいが、視点を変えれば“ヴィンテージ物”になる可能性もある。 
 誰かと一緒に生活するのであれば、相手の大切にしているものが理解できなかったとしても、リフレーミングで解決することができるかもしれない。(中)

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