不動産ニュース / リフォーム

2016/3/18

「池袋」駅徒歩圏内で、築47年の店舗併用住宅を外国人向け旅館に改修/ブルースタジオ

元とんかつ屋を改装した「シーナと一平」。昔の看板はあえて残し、同物件のシンボルとした
元とんかつ屋を改装した「シーナと一平」。昔の看板はあえて残し、同物件のシンボルとした
カフェは畳の小上がりでくつろげる雰囲気に。壁にはさまざまな柄のカーテンをかけた
カフェは畳の小上がりでくつろげる雰囲気に。壁にはさまざまな柄のカーテンをかけた
カフェの一角には客が使えるミシンコーナーを設置
カフェの一角には客が使えるミシンコーナーを設置
客室にはテーマカラーを設定。写真は「葵」の間で、そのイメージにもとづいた布団カバーが特色
客室にはテーマカラーを設定。写真は「葵」の間で、そのイメージにもとづいた布団カバーが特色

 (株)ブルースタジオは、同社が企画・設計を担当したカフェ+旅館「シーナと一平」(東京都豊島区)を竣工。18日、開業に伴い、報道陣や関係者に公開した。

 豊島区が、2016年1月に策定した「リノベーションまちづくり構想」の第1号プロジェクト。同区では、消滅可能性都市に指定されたことを受け、子育て世代等の定住を促進する取り組みを進めており、同構想では、遊休不動産の再生等を通じて多世代が豊かに暮らせるまちづくりを目指している。

 敷地面積78.46平方メートル。建物面積111.78平方メートル。木造2階建て。西武池袋線「椎名町」駅徒歩約4分、駅前商店街の一角に立地する、築47年の1階飲食店、2階住居の建物をリノベーション・コンバージョンしたもの。元とんかつ屋で、20年前に閉店後は住居として利用されていたが、1年前にオーナーが他界し、現・オーナーに相続されてからは空き家状態となっていた。15年3月に、豊島区が開催した第1回「リノベーションスクール@豊島区」の中で、同物件の改修案が発表されたことをきっかけに、立案グループのリーダーだった同社専務取締役の大島芳彦氏のほか、3人でまちづくり会社(株)シーナタウンを立ち上げ、事業化を進めた。同社はオーナーより物件を借り上げ、改修費用を出資。オーナーは事業費を出さない代わりに2年間ほぼフリーレントで同社に貸し出している。そのほか、優先株式による同事業賛同者による出資、豊島区と日本政策金融公庫等による新規開業融資を利用して資金集めを行なった。

 「椎名町」駅は池袋から徒歩圏内で、電車では3分と利便性が高いものの、少子高齢化が進んでいることから、人を集める施設へと生まれ変わらせることに。池袋が空港からのバス発着数が多いこと、椎名町への訪日外国人観光客が多いことから、訪日外国人をメインターゲットとした宿へリニューアルするに至った。

 1階はスケルトン状態にして、「ミシンカフェ」に改装。手芸を通じてさまざまな世代が集まれる空間を目指す。壁には日本をはじめ、世界各国の布を利用したカーテンをかけた。
 2階の旅館は、廊下増設や水回りの刷新以外はほぼ既存の内装を活用。ツインルーム3室、シングルルーム1室、ドミトリー(3ベッド)とした。部屋それぞれに日本の色のテーマカラーを設定し、それに合ったファブリックで空間に特色を出した。カフェやまちに出てほしいという思いから極力簡素なインテリアとした。
 そのほか、耐震補強、腐食部分の改修などを行なっている。壁の塗装工事には地域住民も参加。100人ほどが集まったという。

 料金は定価で、個室が二人利用で1室1万4,000~1万8,000円(一人利用でいずれも1万円前後)、ドミトリーが3,800円。
 2月より、プレオープンを展開し、カフェには多くの地域の人が集まったほか、週末は旅館が満床状態だったという。外国人のみならず国内の地方からのビジネスユーザーにも反響が高かった。今後は、カフェで手芸教室や落語会など、地域住民が主体となったワークショップなどを行なっていきたい考え。

 同エリアでは、空き家が増えていることから、シーナタウンは今後も地域活性化につながる不動産再生を行なっていく方針。

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