海外トピックス

2017/3/6

vol.317 住まいの改装・改築、トラブルを防ぐポイントは?

なんと2年以上もかかってまだ完成していない住宅。家族は別の場所に住んでいる(イリノイ州シカゴ市。以下同)
なんと2年以上もかかってまだ完成していない住宅。家族は別の場所に住んでいる(イリノイ州シカゴ市。以下同)
冬季に階段が凍らないように熱線を仕込んで仕上げる。氷で滑るのは危険が多いので、改築する家が多い
冬季に階段が凍らないように熱線を仕込んで仕上げる。氷で滑るのは危険が多いので、改築する家が多い
シカゴはレンガの壁が多く、職人が一つ一つ手で積み上げ塗り込めてゆくので時間がかかる
シカゴはレンガの壁が多く、職人が一つ一つ手で積み上げ塗り込めてゆくので時間がかかる
地下室から改築するので、大仕事になる。しかし壊して建て直すのでなく、部分的に残して改築している
地下室から改築するので、大仕事になる。しかし壊して建て直すのでなく、部分的に残して改築している
屋根を引き上げ、2階を建増しする工事
屋根を引き上げ、2階を建増しする工事
常に最新の窓や床に改装しておくとよい価格で売ることができよう
常に最新の窓や床に改装しておくとよい価格で売ることができよう
特にキッチンと洗面所は新しい建材と機具に改装しておくとよい
特にキッチンと洗面所は新しい建材と機具に改装しておくとよい

 「古い仕様のままでは家は売れない。売るなら改装・改築するべき」と不動産エージェントの友人。また、将来売るために改装するのなら、“いま”気に入った家に改装して、気持ちよく住みたいものだ。しかし壁をペンキで塗り替える程度ならたいして負担には感じないが、施工業者を入れての改装、改築となるとそう簡単にはいかない。

 どこをどう改築したいか、予算はどの程度までか、おおよそまとまったらまず事業者選びにとりかかる。

身近な経験者から優良業者を推薦してもらおう

 なんといっても第一に大切なのは、優良な施工業者を選択することだ。

 では、どうやって選ぶか? 一番良いのは信頼のおける近隣の人々に聞いてみること。彼らを通して最近良い仕事をしたいくつかの業者の情報が得られるだろう。

 改築をした友人に尋ねるのもよいが、はるか遠い場所に住む友人に聞くのは避けたい。なぜなら、良い事業者を紹介してもらっても遠くにいては現実的でない。1時間程度で来てもらえる地元の施工業者がふさわしい。

 50万円以上の改築をする場合、優良な事業者を選ぶためには少なくとも5~6事業者をまず候補としたい。その選択肢の中から見積もりを取るが、最も高い見積もりと低い見積もりを出した事業者は除く。専門家によると、高額だからといって事業者が一番良い仕事をするとは限らないそうで、中間の見積もり価格の20%以上の価格であれば除いたほうがいいそうだ。

 異常に低い場合も要注意。安いに越したことはないが、安いにはそれなりの理由があろう。正当な労働賃金を払わない技術の未熟な労働者を雇っていたり、適切な資材を使わなかったり、地域の建築基準を無視するなどの懸念がある。

 また、親戚や友人が格安でやってあげようと申し出ても断った方が無難。何か問題が起きた時に義理がからむと厄介だ。

最近の施工物件を見せてもらおう

 事業者を絞るにあたっては、候補業者に最近仕上げた改装・改築物件を見せてもらうよう依頼する。

 近所で改築をした場合に家族の人々に内部を見せてもらい体験談を聞ければ最上である。実際に行って見るのが最も望ましいが、遠ければ施工業者に写真かビデオをメールで送ってもらう。

 なお、事業者に連絡してもすぐに返事(例えばメール)が来るとは限らない。アメリカでは景気低迷が数年間続き、住宅地開発や新築物件建設の動きが鈍かったせいで、現在新築の物件は不足しており、資格を持った電気技術者、鉛管工、熟練したレンガ積みや屋根、コンクリート、床やタイル、絨毯施工などの職人達は現在引っぱりだこ。こうした技能者をとりまとめるコントラクター(施工業者)も皆忙しい。

 返事がすぐに来なくても、早急にあきらめてしまわないことだ。2~3回催促して、それでも返事がなければ候補からはずす。

口約束はダメ。値切りすぎると手痛い目に

 選んだ事業者とは、仕事の内容を文書で交わして、時間をとって互いに確認し合う。契約書を重んじるアメリカ人は口約束で仕事を始めることはまれだ。信頼し合わないというよりは、高額な仕事については当事者が互いに納得し合い、工事中のトラブルを避けるためである。

 契約書には仕事の内容のほか、建築許可などの規定の数々、工事の推定開始日と終了日、変更に関しての条件、支払いのスケジュール明細などが記載されるはずだ。

 質問があれば、この時点ではっきりさせておく。ちなみに料金をひどく値切るのは禁物。事業者によっては値切った分を補うために資材の質を落としたり熟練工を寄越さないなど、結果として施主が手痛い目に合うことも。

不測の事態に備える気持ちの余裕を

 改築・改装工事は予想以上に時間もお金もかかり、ストレスも倍増するという声を周囲からしばしば聞かされる。個人住宅においては住みながら工事をする場合が多く、期間が長引けば不便も増す。工事の規模や内容によっては、その期間別の場所に引っ越さねばならない場合もあり、工期が遅れれば借家やアパートの契約を延ばさねばならない。

 そして、必ずといっていいほど何か問題が起きる。例えばドアハンドルの色が指定したものと違っていたり、コンセントの位置が低すぎたり、キッチンキャビネットが壁にぴったりとおさまらなかったり…。

 その度に対応と決断を迫られる。だから不測の事態や予算の超過、工期の遅れなどに備える気持ちの余裕が必要となろう。改装・改築では、たくさんのパズルを正確に嵌め合わせ、完成させるのは容易ではないのだ。

 それにしても、である。不便さや間違い、イライラの我慢を乗り越え、ついに出来上がって気持ちのよい空間に落ち着く満足感、達成感は言うに余りある。

 がんばって改装・改築に踏み切ろうではないか。


参考資料
Chicago Tribune newspaper Jan. 29, 2017
www.hgtv.com/shows/holmes-on-homes/articles
www.cbsnews.com/news/


Akemi Cohn
jackemi@rcn.com
www.akemistudio.com
www.akeminakanocohn.blogspot.com

明美コーン

コーン 明美
横浜生まれ。多摩美術大学デザイン学科卒業。1985年米国へ留学。ルイス・アンド・クラーク・カレッジで美術史・比較文化社会学を学ぶ。 89年クランブルック・アカデミー・オブ・アート(ミシガン州)にてファイバーアート修士課程修了。 Evanston Art Center専任講師およびアーティストとして活躍中。日米で展覧会や受注制作を行なっている。 アメリカの大衆文化と移民問題に特に関心が深い。音楽家の夫と共にシカゴなどでアパート経営もしている。 シカゴ市在住。

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2017/11/6

「海外トピックス」更新しました

Vol.333 スポンジハウス の記事を更新しました。

8月にテキサス州ヒューストンを襲ったハリケーンでは、多くの家屋が被災。その後家に住めなくなった人々も多くいます。

筆者の友人ミーナもその一人。水害で住めなくなった家をどう修理するのか、今後同じ家に住めるのか…

現状をレポートします。