(株)長谷工総合研究所はこのほど、「2003年上半期マンション市場のまとめと下半期の見通し」と題したレポートをまとめ、発表した。 首都圏・近畿圏における2003年上半期のマンション市場を総括し、下半期市況を予測したもの。
これによると、首都圏の上半期マンションの新規供給戸数は、1,417件、4万135戸(対前年同期比▲9.0%)。平均初月販売率は78.3%と前年同期を上回ったが、同研究所では、2002年秋以降強まっている「売れる戸数を供給する」傾向を受けての結果ではないかとみている。6月末の在庫は8,996戸と前年末より2,615戸減少した。地域別に見ると、都内23区の山の手エリアでは、9,062戸(対前年同期比44.7%増)と高水準の供給が継続している一方、横浜市・埼玉県・千葉県では減少している。また、平均面積は75.17平方メートル(対前年比▲3.7%)、1平方メートル当たりの分譲単価は54万1,000円(同5.5%増)であった。
近畿圏の新規供給戸数は、423件、1万5,271戸(対前年同期比▲25.3%)。平均初月販売率は70.1%と前年同期を0.4ポイント下回った。依然として販売状況は厳しいが、近畿圏では中小規模物件の割合が高く、じっくりと販売活動を行なう物件が多いこともあり、6月末の在庫は6,396戸と前年末より772戸減少している。地域別に見ると、供給の中心は大阪市で構成比27.6%を占め、特に中心部である中央区・天王寺区では前年同期を上回る結果となった。神戸市では、東灘区の大規模物件の供給によって665戸の大幅増となったため、前年同期並みの供給となったが、阪神間、京都市では、いずれも前年同期比で50%以上下回る大幅減となった。また、平均面積は77.13平方メートル(対前年比▲1.3%)、1平方メートル当たりの分譲単価は40万9,000円(同▲1.2%)であった。阪神間、京都市で若干のアップもみられるものの、供給戸数の大幅減の影響であると思われ、全体としては依然弱含みの状況。
下半期の見通しとしては、首都圏、近畿圏ともに、上半期を上回る供給抑制の可能性は少ないと見ている。首都圏の新規供給戸数は8万2,000戸、総販売戸数は8万3,100戸、分譲中戸数は1万500戸(年初予測より3,000戸減少)。近畿圏の新規供給戸数は3万2,000戸、総販売戸数は3万1,600戸、分譲中戸数は7,600戸(年初予測より900戸減少)。
着工戸数は、首都圏、近畿圏ともに前年比10%程度の減少は想定しており、潜在的な供給余力が高水準である状況には変化はない。一方、各ディベロッパーとも在庫販売へ注力する傾向に変化はなく、販売手法のさらなる多様化も進むため、初期販売率の大幅な低下や分譲中戸数の大幅増は生じないと分析している。
なお、同レポートの全文は、同社発行の「CRI」8月号(7月25日発行)に掲載されている。