不動産ニュース / その他

2006/12/15

「平成19年度税制改正大綱」に業界・各社がコメント発表 

◆三菱地所(株) 取締役社長 木村 惠司氏

 「長期所有の土地等から土地・建物等への買い換え特例の適用期限が2年延長されたことは、地方圏等にあっては未だ資産デフレから完全に脱却したとは言い切れない状況にあって、不動産流通の促進に大きく貢献するものと思われ、高く評価できる。
 また、JREITやSPCが取得する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限が2年間延長されたことも、不動産証券化市場に更なる発展をもたらすものと考えられる。
 更に、住宅税制についても、個人住民税への税源委譲に伴う実質的な住宅ローン減税効果の低下を補う特例やバリアフリー改修促進税制の創設等、個人消費の拡大が求められる中、時宜に適った改正が為されたものとして歓迎したい。
 日本経済は堅調に推移しており、不動産市場においても都心エリアでは資産デフレからほぼ脱却したと言える水準まで地価の回復が認められているが、今後も、この傾向が地方圏にまで力強く波及し、不動産市場の安定的な成長に資するような税制度の適切な導入・運用に期待したい」。

◆(社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 藤田 和夫氏

「我が国経済は、『いざなぎ景気』を超える戦後最大の好況でありながら、格差の拡大や少子高齢化が進展する中で、企業の好業績に対して、消費者は景気回復を実感できずにいる。
 平成19年度税制改正は、安倍政権発足による『イノベーション』(技術革新)の推進と新たな本間政府税調により、減価償却制度の見直し等、企業減税中心となる答申がなされ、抜本的な土地・住宅税制改正については触れられていなかった。
 そのような中で本会では、全国的な資産デフレからの脱却を目指して、不動産の有効活用、流動化の推進を図るべく、特に、存続が難しいとされた『特定事業用資産の買換特例制度』については、地方の街なか再生に資するものとして、47宅建協会一丸となって精力的に要望活動を展開した結果、同特例制度の適用期限延長がなされた。
 また、住宅取得者支援の一環としての『住宅に係る登録免許税の軽減措置』、『居住用財産の買換特例制度』、『不動産の譲渡等に係る印紙税の軽減措置』の適用期限延長のほか、三位一体改革に伴う『住宅ローン減税』についても従来と同様の効果を確保することができる等、内需の中心である個人消費を支える住宅関連税制での特段の配慮がうかがえる。
 さらに、住宅をバリアフリー等に改修する工事費用に係る減税措置の創設は、本格的な高齢化社会到来に向けて、大変喜ばしいことである。 
 今回の税制改革はまさに本会にとって満額回答であり、これにより今後の不動産市場が活性化し、既存のストックの有効活用により、早期の全国的な資産デフレ脱却が望まれる」。

◆(社)不動産流通経営協会 理事長 三浦 正敏氏

 「今般発表の税制改正大綱は、厳しい財政状況の中で、経済の活性化をさらに促進する観点から、不動産流通関係の税制面でも所要の配慮がなされたものとして歓迎したい。
 具体的には、当協会の重点要望事項でもあった「特定の居住用財産の買換え等に関する特例」、「住宅ローン減税の効果の確保」、「住宅用家屋についての登録免許税の軽減措置」等の住宅に関する各特例措置の延長あるいは新制度導入が図られたことは、税制措置が住宅の購入、売却に与える影響について、充分に配慮されたものとして評価したい。
 また、「特定事業用資産の買換え特例制度」の延長も、地価下落傾向がなお継続している地方都市の活性化等に寄与することが期待できる。さらに、バリアフリー改修促進税制が創設されたことは、その所得税の税額控除がローン部分に限定されたとはいえ、昨年度の耐震改修に関する制度創設に続き、良好な住宅ストックの形成に寄与し、ひいては、今後の住宅流通市場にも好影響を与える税制として期待される。
 最後に、改めて、今般の税制改正にご尽力いただいた、関係の国会議員の諸先生方ならびに国土交通省など関係省庁の皆様に厚く感謝申し上げたい」。

◆(社)日本ビルヂング協会連合会 会長 高木 丈太郎氏

「・特定の事業用資産の買換えなどの特例や都市再生促進税制が、一部見直しはあるものの、ほぼ期待どおりの形で延長されることとなった。土地の流動化を図り都市再生を促進するためには、いずれの制度も不可欠であり妥当な措置と考える。
 ・減価償却制度については、償却可能限度額が撤廃され、新規設備について残存価額が廃止されることとなった。経済界全体において、従来により懸念とされてきたものであるが、ビル事業者にとっても影響は大きく、国際的な視点からも評価される改正と考える。
 ・一方で、固定資産税についてはその後進性が浮き彫りになったともいえる。家屋評価における残存価格は、依然として20%とされているが、明確な根拠もなく疑問である。特に地方都市においては、土地だけでなく建物の固定資産税がビル事業者の大きな負担となっており、地方活性化の観点から、また土地の有効利用促進といった観点からも、より合理的な制度に早急に是正されるべきであると考える」。


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