分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、「2007年前半戦首都圏マンション市場総括と後半戦の展望」と題したレポートを発表した。いわゆる「新価格物件」「新新価格物件」の動向、大手・中小の「ブランド格差」などに焦点を当て、市場を展望している。
07年前半の市場については、供給ボリュームが前年比17%強縮小(約2万8,000戸)となった。また、市場価格については「新価格物件」の供給が本格化し、都区部の19.3%上昇を筆頭に、首都圏全域で価格が上昇。ただ、郊外部の上昇率は5~10%にとどまるなど、エリアによる温度差が激しいとしている。成約率についても、07年前半戦は75.2%(前年同期比▲5.4ポイント)で、東京都を除く3県が軒並み成約率60%台に落ち込むなど、売れ行きが悪化した。
こうしたなかで、大手と中小の「ブランド格差」が拡大しており、大手12社とそれ以外のディベロッパーでは、分譲価格が25%、成約率が12.1ポイントの差が付くなど、その「ブランド料」が大きく上昇していることがわかった。
一方後半戦の市場については、(1)販売不振による先送り、改正建築基準法によるスケジュールの遅れなどで、大量供給が行なわれる可能性が低い、(2)価格上昇に返済能力が追いつかない、賃料がほとんど上昇しないため、「買ったら得」というメリットがなくなった(3)マスコミによるバブル報道への期待と不安(4)「新新価格物件」の供給量が少ないこと、などからユーザーの様子見傾向がますます強くなり、販売は低水準で推移すると分析。これらを踏まえ、販売用不動産の見直し・見切りの必要性、自社の強みをいかすための地域密着戦略、ブランド系ディベロッパーとの競合回避の必要性、「掘り起こし営業」「長期戦を見越した販売計画の策定」など新発想の営業スタイルが必要としている。
また、後半戦は「ブランド力」が今まで以上に重要度を増してくるとし、「ブランド力のある大手との競合を回避するだけでなく、独自の商品、供給姿勢などでブランドを印象付け、TVCMやイベントスポンサーなどで認知度を上げていくなど、トータル・継続的なブランド戦略が必要」と分析。「価格の急激な上昇、個人の所得がほとんど上昇していないこと、建築費の急上昇と高止まり、サブプライムローン問題などを契機にした景気不透明感が市場に与える影響は大きく、後半戦はこういった数々の複合的要因により、市場の潮目が大きく変わることが懸念される」と結んでいる。