不動産ニュース / 政策・制度

2009/7/29

「不動産市場安定化ファンド」、資産規模は3,000億~5,000億円に/国交省

「不動産市場安定化ファンド」スキーム図
「不動産市場安定化ファンド」スキーム図

 国土交通省は28日、「第3回不動産市場安定化ファンドの設立・運営に関する検討委員会」を開催。「中間とりまとめ(案)」を発表した。

 これによると、不動産市場安定化ファンドの融資対象は、主に既発の投資法人債のリファイナンス資金とし、貸付けの形式で行なうとした。既存借入金のリファイナンス資金やJREIT同士の合併等再編に必要な資金の貸付けについては、やむを得ない場合に許容するが、その場合でも厳格に運用するとしている。

 出資構成は、金融機関からのシニアローン、(株)日本政策投資銀行からのメザニンローン、関係業界各社からのエクイティの3区分を検討。

 ファンドの資産規模は、必要となる資金需要に応じて決まっていくため、現時点で決まった数字はない。ただし、2012年3月までの投資法人債の償還総額が3,268億円であることに加え、既存借入金にかかる金融機関の破綻・撤退等への備え分、JREIT同士の合併等再編に必要な資金を考慮して、アンコミットメントベースで総額3,000億~5,000億円程度の規模を確保する、としている。
 運用期間は、ソーシング(貸付実行)期間を2.5年(2012年3月末まで)、個別の融資期間を原則3年として、最長5.5年とする方針。原則として融資期間の延長による運用期間の延長は行なわない。

 貸付条件としては、資金使途を借入人の発行済み投資法人債のリファイナンス資金とし、返済期間は原則3年とする。また、LTVや資産規模等により、機械的にスプレッドを決定できる「スプレッド・マトリクス」を作成、これによりスプレッドを決定する。当初1年間はTIBOR+150bps~550bps程度となる見込み。
 貸付可能額は、原則として借入人の鑑定評価の65%、かつNOI Cap8%レベルが上限。減価償却の範囲内で約定返済を行なうことを原則とし、元本返済期日において残額を一括返済することを条件とする。また、原則無担保での貸付は行なわない。

 原則として期限延長は行なわず、期限までに当該JREITが(1)投資法人債発行、(2)投資口追加発行、(3)民間金融機関からの借入れ等にて資金調達ができる体質への改善を促すものとし、借入人が承諾をした場合は、貸付人による債権譲渡を可能とする。
 
 なお、スキームは、貸付対象JREITの導管性要件を前提とし、信託+投資事業有限責任組合(LPS)方式を用いる。

 なお、(社)不動産証券化協会より、各プレーヤーの選定結果が発表され、アセットマネージャー(GP)にDBJ野村インベストメント(株)、信託受託者に住友信託銀行(株)、私募取扱者に野村證券(株)が選定された。

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