不動産ニュース / その他

2011/4/1

不動産各社で、入社式。黙とうを捧げながら

 新年度を迎えた1日、東北地方太平洋沖地震の被災者に哀悼の意を表しながら、不動産各社においても新たに不動産業界の一員となる新入社員を迎えるべく、入社式が執り行なわれた。以下、各社入社式での社長挨拶の要旨。


■三井不動産(株)代表取締役社長 岩沙弘道氏
■三菱地所(株)取締役社長 杉山博孝氏
■東京建物(株)代表取締役社長 畑中 誠氏
■住友不動産(株)代表取締役社長 小野寺研一氏
■(株)大京代表執行役社長 山口 陽氏
■(株)長谷工コーポレーション代表取締役社長 大栗育夫氏
■三井不動産販売(株)代表取締役社長 竹井英久氏
■住友不動産販売(株)代表取締役社長 大橋正義氏
■東京建物不動産販売(株)代表取締役社長 倉重喜芳氏
■大和ハウス工業(株)代表取締役社長 大野直竹氏
■ミサワホーム(株)代表取締役社長執行役員 竹中宣雄
■住友林業(株)代表取締役社長 市川 晃氏
■三井ホーム(株)代表取締役社長 生江隆之氏
(順序不同)


■三井不動産(株)代表取締役社長 岩沙弘道氏

 皆さん、ご入社、おめでとうございます。人生の門出となるこの日に、私の思うところをお話したいと思います。
 まずはじめに、東北地方太平洋沖地震により不幸にもお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に、心からお見舞い申しあげます。三井不動産グループは、街づくり・地域再生に携わる企業として、被災地の一日も早い復興に、可能な限り貢献していきたいと思います。
 ここに、哀悼の意を表し、黙とうを捧げたいと思います。
 今般の一連の災害と事故、そしてそれに伴う電力供給不足という不測の事態が、景気回復の兆しが見え始めていた日本経済に与える影響は甚大です。しかし、私たちはただ悲観にくれるのではなく、これらを前途ある未来を切り開くための試練と受け止め、ポジティブな議論を活性化させていくことが、きわめて重要だと思います。
 政府が描いた「新成長戦略」にあるように、私は「東京をはじめとする大都市の国際競争力を高めることが、国の成長に直結する」と考えています。今後、私たち不動産業界の本業である「街づくり」や「住宅」は、国の成長にとって大変重要な役割を担うといえるでしょう。私たちは、この仕事に誇りを持つとともに、社会的な責任の重さを自覚し、積極的に試練に挑むことが求められます。
 そして業務遂行にあたっては、三井不動産グループのステートメントである「都市に豊かさと潤いを」、そして環境ビジョン「&EARTH」の意味合いをしっかりと理解して取り組んでいただきたいと思います。街づくりの推進と魅力的で豊かなすまいとくらしの実現が我々の使命と心得、高い環境意識を持って、日本の社会・経済の発展に貢献していく志を持ってください。
 三井不動産グループの歴史は、それぞれの時代の社会経済の不連続な変化、すなわちパラダイムの転換をとらえた、新たな価値創造の歴史です。その歴史の中で培われた三井不動産グループのDNAは、新たな価値創造にイノベーティブに挑戦する姿勢といえるでしょう。現在我々が迎えている日本の社会・経済の「成熟化」と、全世界的な「グローバル化」というふたつのパラダイム転換は、私たちの将来の価値創造に夢を与えてくれます。変化をチャンスととらえ、お客様の期待・課題・悩みがあるところに、不動産に関するグローバル・ソリューション・パートナーとしての私達のビジネスチャンスがあり、それを実現していくのは他でもない諸君らであるという自覚を持って、日々の業務に取り組んでほしいと思います。
 ここから、新たに三井不動産グループの一員となる皆さんに期待することを申し上げます・。
 まずは「自立した個人」になるということです。今後は、自立した個人が会社のビジョンに自らの志を重ね合わせ自己実現を果たしていくことがますます重要になります。
 二つ目は、「ポジティブな発想」で臨むということです。不透明な状況下で難題を前にしたときでも、できない理由を考えるのではなく、どのように実現するかを考えることを習慣づけてください。
 三つ目は、「幅広い視野を持つ」ということです。あらゆることに好奇心を持って、社内外を問わずネットワークを広げ、外向き指向で物事を見る視野と人間の幅を広げてください。そのような思いで、今年から必修となる海外研修にも臨んでもらいたいと思います。
 四つ目に、「心と体の健康」を大切にしてください。自立した個人としてポジティブな発想で臨むための前提として、自分の健康は自分で管理することが基本です。仕事のオンとオフを意識して行動し、心と体の健康について十分な自己管理を心掛けてください。
 最後に、「社会人としてのコモンセンスを持て」ということを申し上げます。「やって良いことと、悪いことを見極める」、「おかしいと思うことは正す」といった、ごく当たり前の常識を大切にしてください。そして、コンプライアンスの精神にかなった行動をとるようにしてください。法律・規則は、守るべき最低限のルールであり、その精神に反する行為も許されない、という価値観を身につけることです。
 私は、不動産業は社会的意義が大きく、人々に夢と感動を与えられる産業だ、と思っています。これから、諸君の生活のかなりの時間を仕事に振り向けることになります。お客さまのために汗をかくことにより、社会と自分とのかかわりを実感する。そして「仕事を通じて自らを高めていく」という揺ぎない気持ちを持つ。これらの繰り返しが、諸君を社会人として成長させるとともに、悔いのない青春を過ごした、という自信につながるのではないか、と思います。
 三井不動産グループはがさらに魅力あふれる企業グループとして成長しつづけられるよう、共に頑張りましょう。
 

■三菱地所(株)取締役社長 杉山博孝氏

・ 未曾有の大震災の最中、無事に33名の新入社員を迎え喜ばしく思う。入社式を取りやめる企業もあったようだが、当社は復興にむけ、皆が揃い、思いを新たにすることが必要だと感じた。激動の最中の入社となるが、若い力で困難を乗り越え、当社グループを発展させて欲しい。
・ 当社には、時代が移り変わっても「守るべき」我々の原点、三菱三綱領(所期奉公・処事公明・立業貿易)がある。現代風にいえば、それぞれpublic、fair、global。公明正大にグローバルな視点で社会に貢献するという意識をもつことである。
・ 当社はコーポレートブランド「人を、想う力。街を、想う力。」を掲げている。震災対応の中でも、その「想い」は存分に発揮されているが、具体的には以下の3つを意識しチャレンジを続けて欲しい。
(1) インテグリティ、コンプライアンス:社会やお客様に対し誠実な行動を心掛け、一層の信頼を得られるよう努力すること。コンプライアンスは単に法律を守るという意味だけなく、お客様や社会のニーズを捉え、応えていくことだという認識をもって欲しい。
(2)アズワンチーム:一人の力には限界がある。皆の力を結集し仲間への思いやりや連携によって、8,000人強の社員がいる三菱地所グループ全体を盛上げていって欲しい。
(3)グローバル:海外へ進出する外なるグローバル化と日本・東京に海外から人や資金を呼び込む内なるグローバル化がある。語学だけではなく、多様な価値観を受容し、理解できる真なるグローバル力を高めて欲しい。
・ 希望していた部署に配属されなかった人もいるかもしれないが、会社に不用な仕事はない。自分の仕事は三菱地所の街づくりに間違いなくつながっていることを忘れないで頑張って欲しい。


■東京建物(株)代表取締役社長 畑中 誠氏

 皆さん入社おめでとうございます。
 まずは、今回の震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災地が一日も早く復興されるよう我々も微力ながら支援していきたい。
 (一部省略)
 今回の震災は、東日本地区に甚大な被害を及ぼしたばかりでなく、日本経済や当社を取り巻く事業環境においても少なからず影響を受けるものと懸念される。
 しかし当社はこれまで、震災や戦争、恐慌など、幾多の苦難・試練を経て、創立115年目を迎えるに至っている。このたびの災害に対しても、役職員一丸となってこの難局に真正面から立ち向かい、乗り越えていきたい。
 このような中、皆さんのような若さあふれる新人が入社し、共に立ち向かって貰える事は大変心強い限りである。この未曾有の国難に対し、怯むことなく挑戦し続け、共に「新たなステージへの飛躍」を実現していくことを大いに期待する。
 また、「お客様第一」の精神に立脚し、「顧客視点での事業展開」に真摯に対応していくことで、当社の企業理念「信頼を未来へ」を体現する担い手となってもらいたい。
 そして、自分の可能性を伸ばす大きなチャンスを生かすためにも、次の4点、即ち、
第一に、「初心忘るべからず」
第二に、「謙虚な気持ちで、何事も基本に忠実に学ぶ」
第三に、「あらゆる人との『出会い』を大切にする」
第四に、「自分の責任で、心身の健康管理を怠らない」
を励行してほしい。


■住友不動産(株)代表取締役社長 小野寺研一氏

 住友不動産グループを代表して、皆さんの入社を心より歓迎します。
 はじめに、先月11日に発生した東日本大震災で被災された方々ならびにその関係者の方々に、謹んでお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復興をお祈りするとともに、当社グループとしてできる限りの支援をしてまいります。
 現在、当社グループは、「増収増益路線への復帰」と「過去最高益の更新」を目標に捧げた第五次中期経営計画の達成に、全社一丸となって取り組んでいるところですが、大地震と原発事故という未曾有の事態となり、予断を許さない経済城情勢になりました。
 しかし、当社グループは、これまで幾多の経済危機を、グループ全員の英知を結集して乗り越えてきており、その経験から言えることは、「順風満帆な好景気の時代より、苦しい時代の経験の方がいざという時には生きる」ということです。皆さんは、このような厳しい時代にスタートを切ることを逆にチャンスと捉え、明るく、前向きな姿勢で何事にも取り組んでいただきたい。当社グループ最大の特徴である成長力を、将来にわたって支える人材として大いに期待しております。一日も早く一人前になって、会社に貢献できるよう努力して欲しいと思います。
 まず、当社グループの一員として、三つのモットーをよく理解し、実行して下さい。
 「快活な気風と率直な提言」、「高い目標をもって現状改革」、「新しい発想で新分野の開拓」の三つです。当社の成長力の原点である、これをよく肝に銘じて行動していただきたい。
 皆さん、この難局を乗り切るべく、一丸となって頑張ってまいりましょう。


■(株)大京代表執行役社長・山口 陽氏

 大京グループへの入社、誠におめでとうございます。グループ全役職員を代表して心からお祝い申し上げます。
 東北地方太平洋沖地震の影響により、東北地区、信越・北陸地区、関東地区では、甚大な被害が発生しております。また、福島の原発についても深刻な状況が続いております。震災からちょうど3週間が経ちましたが、たくさんの被災された方々が、今も大変な生活を強いられております。当社グループでも、東北地区に事務所があり、グループで供給したマンションもありますが、震災に遭われた方々と少しでも痛みを共有し、この危機を乗り越え、早期復興のためにグループ一体となって現在も支援活動を行っているところです。
 大京グループを取り巻く現在の事業環境については、リーマンショック以降停滞していた日本経済もようやく回復基調へ向かおうとしておりましたが、中東情勢の不安から原油が高騰し始め、さらに今回の震災の影響など、先行きは不透明な状況が続くものと思われます。
 マンション市場については在庫や価格調整が進んだことや、住宅ローン金利の低下、贈与税非課税枠の拡大など、政府の住宅購入促進策の効果もあり、契約率は改善し、供給戸数も回復傾向となっています。このような中、大京グループは、新築マンション事業における収益力が回復し、管理事業を主体とした、ストック事業の拡大・強化に向けた取り組みも順調に推移しております。しかしながら、影響の影響もあり、今後しばらくは楽観できない状況が続くものと思われます。
 当社グループの経営理念は、マンション分譲、マンション管理、不動産仲介、ビル管理事業などの各事業を通じ、「あらゆるライフステージに応える住まいとサービスを提供し、『住文化』の未来を創造していく」と掲げています。具体的には、マンションの開発、販売にはじまって、お客さまがご入居された後のお住まいの管理や住み替えのお手伝い、リフォーム、インテリア商品の販売、立体駐車場の開発やアフターサービスなど、お住まいに関わる様々なサービス、さらには、ビル管理を通じて職場環境と資産価値の向上に向けたご提案など、グループ各社において高い品質のサービスを提供していこうというものです。
 そのためには自己満足に陥らず、常にお客さまの視点に立ち、お客さまから選ばれる最適な商品・サービスを創造し、提供していかなくてはなりません。これを実現するには、部所や会社の枠を超えた「グループ連携」が重要です。皆さんの入社される会社はそれぞれ異なりますが、会社の枠を超えて強い仲間意識、グループ意識を持ち、同じ会社の一員だという気持ちで、お互い切磋琢磨しながら成長していただきたいと思います。
 また、昨年より大京グループの目指す将来像である「大京グループビジョン2020」のキーメッセージとして、「お客さまに選ばれる、住生活をコアとした新しい不動産サービス事業を目指す」を掲げております。皆さんが入社した2011年はこのメッセージを具体化し、イノベーションを通じて、実現の道筋を確かなものにしていくスタートの年と位置づけています。少子高齢化による人口減少社会の到来や、地球温暖化など、企業を取り巻く環境は大変な勢いで変わってきています。このような変化を、私たちは新たなビジネスチャンスと捉え、次の成長に向けたイノベーションを起こしていかなければなりません。新入社員の皆さんも、このイノベーションに積極的に参画し、長期的に成長し続ける会社を創ってください。ぜひ、皆さんには若さと新しい発想力にあふれる「イノベーター」になっていただきたいと思います。
 最後に私から2つのお願いを申します。まず、一つ目は「自分の意見、持論に声を出す」ということです。意見を言うということは、しっかり考えているという証拠です。皆さんが新しい発想、会社を良くしていきたいという気持ちで積極的に発言をしてくれたならば、その気持ちがイノベーションを生み、大京グループの価値の向上・拡大につながっていくのです。新入社員だからといって、臆する必要はありません。思い切って自分の意見を述べていってほしいと思います。
 二つ目は、「社会や会社のルールをしっかりと守る」ということです。いわゆるコンプライアンス、法令遵守です。今日から大京グループの一員となる皆さんは、同時に社会人であることも肝に銘じてください。会社の内、外に関わらず、恥ずかしくない行動を心掛けるのはもちろんのことですが、さすが大京グループの社員だと言われるような振る舞いを心掛けてください。そして、自分達は、お客さまの住まいや暮らしに関わりながら、世の中において、非常に貢献度の高い仕事をしているのだという気概と、お客さまの生活をお預かりしているのだという責任感をしっかりと持ち、「カスタマーズ・サティスファクション=顧客満足」を超えた「カスタマーズ・ディライト=顧客感動」を感じていただけるような仕事を目指してください。会社も人間も常にイノベーションが必要です。自分を高めるための研鑽を忘れないでください。
 最後になりますが、これから皆さんの会社生活が実り多きものとなりますよう祈念し、お祝いの言葉といたします。皆さんの活躍を期待しています。頑張ってください。


■(株)長谷工コーポレーション代表取締役社長 大栗育夫氏

 新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。
 この度の東北地方太平洋沖地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災されました皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 ご存知の通り、このたびの震災の被害は甚大であり、今後の国内経済への影響は避けられません。企業を取り巻く経済環境は相当厳しく、当社の主力であるマンション・不動産市況も先が読めない状況にあります。しかし、発想を転換すれば“厳しさは成長の好機である”とも考えられます。臆することなく、夢と希望をもって、前向きに明るく社会人としてのスタートを切っていただきたいと思います。
 当社は今年で創業74年になりますが、40数年前からマンション建設とその周辺事業に特化している特色あるゼネコンです。これまでに累計約50万戸の分譲マンションを建設してきましたが、この実績は日本のマンションストックの約1割に相当するものであり、当社はマンションというひとつの居住形態を広く普及する役割を果たしてきました。同時に、時代ごとのニーズに応えるべくさまざまな技術開発を行い、マンションのスタンダードをつくってきました。最近では、日本で最初の「長期優良住宅認定マンション」を東西同時に2つのプロジェクトで取組み、まもなく完成する運びです。皆さんはこれから長谷工グループのことをしっかり勉強してください。そして長谷工グループの社員であるという事をしっかりと認識し、自分の入った会社に「自信と誇り」を持っていただきたいと思います。
 長谷工グループは「都市と人間の最適な生活環境を創造し、社会に貢献する。」を企業理念として行動していきます。それは「住まいのオンリーワングループ」として、お客様に「安全・安心で快適な生活環境を提供する」ということです。その為には、長谷工コーポレーションの営業・技術・管理の各部門とグループ各社が連携を強め、情報を共有し、求心力を高めて、総合力を発揮していくことが大切です。そして、その源泉となるのは人です。人が働いて、汗を流して、はじめて「いいものづくり」ができ、「いいサービス」が提供できます。
 人は一人では何もできません。誰か一人が手を抜いてもうまくいかなくなります。一人一人が確実にその責任を果たしながら、お互いに協力し合って成果を出していく、それが「長谷工のものづくり」なのです。
 新入社員の皆さんも、早くこの一翼を担う人材になってください。職場の上司や先輩の良い面を学び、自分の会社を好きになってください。そこから成長が始まります。皆さんが一日も早く成長し活躍されることを期待しています。


■三井不動産販売(株)代表取締役社長 竹井英久氏

 皆さんのご入社を役職員を代表して心より歓迎いたします。
 皆さんへのお話の前に、先般の東北関東大震災において、亡くなられた多くの方々のご冥福をお祈りするとともに、甚大な被害に遭われ避難等されている皆様に、衷心よりお見舞いを申し上げます。
 当社の東北地方での事業を担う三井不動産販売東北株式会社は、幸いなことに人的被害なく、不自由で不安な時期を乗り越え、通常業務の回復に向け社員が一丸となって元気に行動しております。
 この大震災によって今後の日本経済は大きな影響を受けると思われますが、役職員全員の気持ちを一つにしてこの難局に立ち向かうことで、乗り切っていく所存ですので、皆さんは安心して会社生活のスタートをきっていただきたいと思います。
 当社の基幹事業は不動産仲介事業と駐車場事業ですが、少子高齢化で低成長になると言われる日本経済の中で、どちらも成長が期待されている分野であります。
 政府は昨年「新成長戦略」を閣議決定し、ストック重視の住宅政策への転換を図り、2020 年までの目標として中古住宅流通市場・リフォーム市場の規模倍増」を掲げています。新築住宅市場が人口減少・世帯数減少で先細りが迫る中で、世の中の軸足がストック重視に動いていることは皆さんもご承知のとおりです。法人仲介も不動産の証券化ビジネス・投資需要の伸張や企業会計の大きな課題である企業不動産の効率化の動きなど、今後とも多くのビジネスチャンスが期待できる分野といえます。更に、富裕層ビジネスは日本では底堅く続くでしょうが、今後は東アジアからの投資需要の取り込みなどの広がりが出てくると思われます。リパークの駐車場事業も現在のシェア、エリア、事業形態などにまだ多くの成長余地があり、アライアンスやサービス面の拡充などチャレンジングな事業であります。
 皆さんはこのような成長するチャレンジングな事業分野で、これから大いに力を発揮していただくことになるのです。
 振り返れば当社の歴史はチャレンジの歴史であったと思います。設立目的でもある新築住宅販売から始まり、不動産流通近代化の先頭にたち現在のNO1 の座を獲得し、リパークという新しい仕事ではゼロからのスタートで12 万台を超える運営を行うまでになりました。このチャレンジを支えたのは大きく二つの要因があったと思います。
 ひとつは、「お客様からの信頼」であります。長年培った三井のブランド・信用によるところが大きいのですが、それを社員みんなが支え、お客様から評価いただいた結果です。不動産は大きな金額の動く商売ですし、業務内容は難しく、また誘惑の多い商売でもあります。そうした商売であるからこそ、企業倫理・コンプライアンスなどが重要ですが、そうしたもの以前に、三井のブランドでお客様にすべてを理解いただけるのは本当に幸せなことです。皆さんも三井のブランドを自分のものとして業務できるのですから、先輩の残した財産を汚すことなく、むしろブランドを高めるよう努力してもらいたいと思います。お客様から「ありがとう」と言われる仕事ができるようになりたいものです。経験とか知識とかも必要ですが、結局は一人ひとりの人間性に帰着するものであり、奥が深い仕事です。奥が深いからこそ、当社の仕事はおもしろいと言えるでしょう。
 ふたつめは、「社員のやる気」であります。当社の社風は、人を大切にする、暖かみのある社風です。でもそれだけではありません。やると決めた目標に向かって、困難があってもやり遂げる力があります。受託販売業務は最後の一戸を売るまで終わらない業務でした。とことんやり抜く社風はそんなところから出てきたのかもしれません。仲介業界も駐車場業界もこれからはシェア争いの時代になります。いくら成長市場であると言っても、ベンチマーク企業との激しい戦いを勝ち抜いてはじめて成長できるので、絶対一番でありたい、この勝負に勝ちたいという気力が会社に漲っていないと話になりません。我々は販売力を会社の存在基盤においていますので、皆さんもとことんやり抜く気迫を勉強してください。
 皆さんは学生生活が終わり、会社員となったわけですが、これがゴールでないことは良くお分かりのことと思います。イギリスのチャーチルが、戦争のある局面で少し好転の兆しが見えたときに、「いまは終わりではない、これは終わりの始まりでもない」と有名な言葉を語っています。気を緩めることなく、これから会社を通じていろんなことを勉強する、勉強を続けていくことが、人生を豊かにするために大切なことなのです。期待していますので、皆さん一人一人が、どの事業分野、どの職種においても、その分野の「プロフェッショナル」と呼ばれる社員に早くなれるように、いまのフレッシュな気持ちを忘れずに努力いただきたいと思います。
 最後に、何よりまず心身を健康に保ち、自由に自分らしく、力いっぱい活躍していただけることを重ねて期待して、私の挨拶といたします。


■住友不動産販売(株)代表取締役社長 大橋正義氏

 皆さん「住友不動産販売」入社おめでとう。
 先ず、新入社員214名の中に「東北地方太平洋沖地震」において被災された東北地区の4名が含まれています。全員の無事を確認していますが、交通事情により本日の入社式に4名は出席しておりません。今回の震災の影響は計り知れませんが、我々は乗り越えなければならないし、当社の職員ならば必ず乗り越えることが出来るはずです。
 私からは皆さんの入社にあたり、心がけて欲しいことを3つ申し上げます。第一は「報・連・相を徹底せよ」。各職場における円滑なコミュニケーションと情報の共有は大変重要です。第二は「一体感を持って仕事に取り組む」。センター一丸、部一丸、全社一丸、当社の強みはここにあります。第三は「スピード」。「スピード」すなわち「確実に早く」をモットーに、与えられた業務における自己研鑽に励んで下さい。
 尚、当社はモノを作る会社ではないので、皆さん自身が商品です。他社より優れた人材をいかに多く擁しているかが会社の強みになります。私は常々職員に、「部下を育てて下さい。じっくりと、愛情をもって育てて下さい」と言っています。判らないこと、困ったこと、悩んでいること等、何でも遠慮しないで、上司、先輩に、どんどん相談して下さい。
 最後に、どうか健康に留意して、明るく元気に、そして早期に「当社を支える人材」になっていただきたい。


■東京建物不動産販売(株)代表取締役社長 倉重喜芳氏

 東北地方太平洋沖地震により、日本経済が未曾有の危機にある中、本日新入社員のみなさんを迎え入れることができ、大変感慨深いものがあります。
 不動産は社会を支えるインフラ基盤そのものであり、経済発展に対して重要な役割を担っています。当社はその中で不動産流通を中心とした不動産の総合ソフトウェア企業として、有益な情報やソリューションを提供し続けることで、「顧客評価No.1の総合不動産流通企業」となることを目指しています。そのためにも、みなさんは常にフレッシュな感覚で物事を見て、アイデアを育み、新たなマーケットを自ら創るような気概を持って、仕事に取り組んで欲しいと思います。
社会人として成長を続けるためには、健康と明るさが基盤となります。当社のみならず、日本の社会全体にとっても、みなさんの前向きな姿勢が活力を与えてくれるはずです。本日の新鮮な気持ちを忘れず、これからも常に勉強し、研鑽を続けていって欲しいと願っています。


■大和ハウス工業(株)代表取締役社長 大野直竹氏

 本日、晴れて245人が大和ハウス工業の仲間となりました。本当におめでとうございます。
 また、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震で被災された新入社員の方、そのご家族の皆様、そして、本日この場に来られなかった新入社員の皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。
 被災地では、未だ復興の芽は見えず、現地の役職員全員が一生懸命目の前の「現実」と戦っています。この未曾有の状況下で入社される皆さんも、本日から大和ハウス工業の一員として、この厳しい難局を切り拓き、何事にも積極果敢にチャレンジしてください。
 皆さんには無限の可能性があり、これからの頑張り次第で、いかようにも人生を切り拓くことができるのです。失敗を恐れず、自分を突き動かす「夢」を持って、何事にも臨んでください。また、これから経験するだろう様々な厳しさを“バネ”として仕事に取り組み、自分を磨いてください。
 今回の災害は“国難”ともいうべきもので、阪神淡路大震災以上に被災地の復興は長引くものと思われます。よく、「厳しい時に入社される社員は、逆境に負けまいとするため、本気で努力し、気骨のある社員が多く育つ」といわれます。皆さんも「今、自分にできることは何なのか」を常に考え、配属された支店で、新たな風を吹き起こせるように努力してください。
 最後に、大和ハウスグループの経営ビジョンは「心を、つなごう」です。心をひとつにすれば、必ずこの難局も乗り越えることができます。新入社員の皆さんも同期同士、お互いに助け合い、激励しあいながら、仕事に取り組んでください。私も本日から社長に就任しました。ともに新たな一歩を踏み出して一緒に頑張りましょう。


■ミサワホーム(株)代表取締役社長執行役員 竹中宣雄氏

 入社おめでとうございます。
 先月発生したマグニチュード9.0の東日本大地震は、日本国内観測史上最大であり、世界でも4番目の規模として非常に多くの被害を出した震災となりました。私も地震発生から1週間後に被災地に入りましたが、とても残酷な光景を見て参りました。ミサワホームは、創業以来、戸建住宅事業を中心に事業を展開してきましたが、改めて住宅の大切さ、命を守る住宅を供給する責務を痛感いたしました。
 この度の震災は、命や家族の大切さ、思いやりなど、日本人が忘れかけていたことを思い出させるとともに、エネルギーの問題など大きな課題を投げかけています。震災の年に社会人になられた皆さんには、今の日本の状況や今感じている想いを忘れずに、日本の発展を牽引していただきたいと思います。
 昨年度の新設住宅着工戸数は、住宅ローン減税や住宅版エコポイント制度など住宅需要刺激策により、一昨年の77万5千戸から回復し、80万戸台前半で着地すると予測されています。私が入社した当時と比較すると、丁度半分の市場であり、今後も少子高齢化や長引く景気低迷の影響により、市場の拡大は期待できない状況にあります。このような住宅市場の変化に対応できるよう、ミサワホームは「事業構造の再構築」と「事業ポートフォリオの最適化」を骨子とした事業展開を推進しています。「事業構造の再構築」は、社員一人一人の生産性を上げ業務効率を改善することで、利益の最大化を図っていきます。一方「事業ポートフォリオの最適化」は、現在の戸建住宅事業に依存したビジネスモデルから早期に脱却し、リフォームなど住まいに関わる周辺事業を拡大していきます。また、来るべき時に備え、海外での事業展開など、今のうちから強いミサワホームを築き上げていきたいと考えています。
 社会人になられる皆さんに、二つのことをお伝えしたいと思います。
一つ目は、「時は命」です。命とは自分が自由に使える時間であり、何かを行うことは命を削っていること、何事も命懸けであるということを認識し、有効な時間の使い方、社会に貢献できる時間の使い方を心掛けていただきたいと思います。
 二つ目は、「コンプライアンス遵守」ということです。皆さんは、これからミサワホームの看板を背負って仕事をします。たった一人がコンプライアンス違反を犯してしまうだけで、グループ全体が社会的制裁を受けることに繋がります。信頼を一度失うと、それを取り戻すのは並大抵のことではありません。「コンプライアンス遵守」を、常に心掛けていただくようにお願いします。
 皆さんのご活躍を期待しております。


■住友林業(株)代表取締役社長 市川 晃氏

 ただいま、震災でお亡くなりになった方々のために全員で哀悼の意をささげましたが、地震発生以来、避難所生活も含めて厳しい生活をされている方がたくさんおられます。あらためて、今回の震災で被害に会われた皆様に対して謹んでお見舞いを申し上げたいと思います。
そのような状況の中、幸いにして、当社社員及び内定者全員の無事を確認することができ、今年もこのように新入社員入社式を迎えることができました。今日、こうして皆さんとお会いすることができたことは、本当にありがたく、感謝いたしております。
 住友林業グループとしても、今日お迎えした新入社員のみなさんも含め、一致団結して、被災地の支援と一日も早い正常化に向けて、取り組みを加速させていきます。
 それでは、今日は、皆様をお迎えするにあたり、3つの話を致します。
1つ目は住友林業の歴史と経営理念について。
2つ目は住友林業の現状と、現在取り組んでいるプロジェクトスピードについて。
3つ目は人生の先輩として贈る言葉です。
(中略)
 最後に、私から、入社されるにあたって、若い皆さんに心よりエールを贈りたいと思います。
 私たちは、これまで、たくさんの歴史を学んできました。現在の当社の姿は、先輩たちの努力や苦労の上に築き上げられたものであることはいうまでもありません。でも、それはあくまでも過去のことです。これからの当社の歴史は皆さんが担っているのです。誰でもなく、皆さんが積み上げていくという意識をしっかりと持ってください。
 人生は生きていく限り、それは日々、自己との飽くなき戦いであり挑戦でもあります。常に夢と希望を持ち、悔いのない人生を送るには、自分自身と戦い続けること、努力を惜しまないことです。もし、皆さんのチャレンジが成功しない時があれば、謙虚に理由を考えて下さい。そして、再度チャレンジをしてください。あきらめないということが大切です。
 今日、皆さんに、「至誠一貫」という孟子の言葉を贈ります。この言葉の意味は、何事も真心を持って対応すれば解決できない問題はないということです。本当に強い心とは、謙虚でひたむきな心です。改善を重ねながら、成功するまで、何度も目標に向かってチャレンジを続けましょう。私たち全員の力で、明るく元気な会社を作っていきましょう。
 心から皆さんの住友林業への入社を歓迎いたします。


■三井ホーム(株)代表取締役社長 生江隆之氏
 
 皆さん、本日は三井ホームへの入社、誠におめでとうございます。三井ホームグループを代表して、皆さんを心より歓迎いたします。
 まず、冒頭に、先般の東北地方太平洋沖地震では、未曾有の被害により、多くの方が被災されました。あらためて被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。三井ホームでは、被災エリアにも多くの引渡しのお客様がいらっしゃいます。震災直後から、本社に災害対策本部を、東北と茨城に現地対策本部を設置し、情報の収集とあわせてお客様対応を実施しています。
 グループ社員全員が一致協力し、1日も早い復興に向け、日々奮闘を続けています。当社が創業期以来掲げているお客様志向と社会貢献の気持ちを常に忘れずに社員一人ひとりが行動することが今ほど求められているときはないのではないでしょうか。
 三井ホームは設立以来、ツーバイフォー住宅のリーディングカンパニーとして、これまでの建築実績は20万棟を超えています。これは、お客様から当社グループがご評価いただいた証でもあります。私たちの家づくりへの思いを表したブランドメッセージ「暮らし継がれる家」を具現化するために、年初来、当社の「第二の創業」期として位置づけ、これまでの37年の歴史・伝統は大切にしながらも、過去にこだわることなくチャレンジングな取り組みをしようと、全社員に呼びかけました。そして、本日、新年度のスタートにあたり、「今」と「未来」に向けた私たちのこの思いを“暮らし継がれる よろこびを未来へ”というステートメントとしてあらわすこととしました。
 企業にとって一番大事な資産は「人」すなわち「人財」です。お客様の夢やこだわりを形にする、私たちの仕事は大変責任ある仕事であり、また大きなやりがいがあります。皆さんは、これから出会うであろうさまざまなことを糧として、何事にも貪欲に取り組んでください。三井ホームには自由闊達な企業文化があります。皆さんは今日から仲間です。ぜひ、「第二の創業」期にあたり、これからの三井ホームの新しい文化をつくっていただきたいと思います。
 皆さんの活躍を期待しています。一緒に頑張りましょう。

動画でチラ見!

第18回 ジバコー 「原点」を語る

ニュースはこちら

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2025年5月号
「事故物件」、流通の課題は?
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2025/4/21

「記者の目」を更新しました

有事に立ち向かうエリアマネジメント」を公開しました。

エリアの価値向上に大きく寄与する複合開発。住宅や商業施設、公共施設、教育施設や図書館、クリニックなどが一体的に整備されることで、再開発されたエリア内で日常生活が完結できるような、利便性の高い生活環境が整うケースもありますが、その規模感の大きさから有事の際に全体が連携できるのかといった懸念も…。今回は、オフィスビル・賃貸マンション・分譲マンションの3棟からなる複合開発「MEGURO MARC」を取材。防災対策の本音を調査しました。