不動産ニュース

2013/3/21

「平成25年 地価公示」、業界団体・企業トップがコメント

 国土交通省が22日に発表した「平成25年 地価公示」結果について、業界団体・企業のトップから以下のようなコメントが発表された。(以下抜粋、順不同)

(公社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 伊藤 博氏
(一社)不動産協会 理事長 木村惠司氏
(一社)不動産流通経営協会 理事長 袖山靖雄氏
住友不動産(株) 代表取締役社長 小野寺 研一氏
東急不動産(株) 取締役社長 金指 潔氏


◆(公社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 伊藤 博氏

 今回の地価公示の結果をみると、政府のデフレ脱却政策である、金融政策、財政政策、成長戦略のいわゆる「三本の矢」が功を奏しつつある証であり、株高、円安の傾向とともに大変明るい兆しの現れであり、喜ばしいことである。

 平成24年1年間の地価は、依然として全国的に下落を示しているが、住宅地においては、低金利や住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支えがあり、さらに商業地においても、都市部ではJ-REITによる積極的な不動産取得等の動きも出ていることから、下落率は縮小し、上昇・横ばいの地点も大幅に増加する等、回復傾向が見られる状況である。

 このような状況下において、本会では昨年、消費税率の引き上げに対し、国民の住宅取得の税負担を増やさないような効果的な軽減措置を実行するよう、都道府県宅建協会と連携し政府等に提言するとともに、新聞紙上での意見広告掲載を実施した結果、平成25年度の税制改正大綱では、住宅ローン減税の拡充・延長、リフォーム減税や各種税制特例措置の延長と拡充等が盛り込まれることとなった。特に住宅ローン減税については、消費税率の引き上げに伴う対応として、控除額を使い切れない場合は、増税後の給付措置を導入することが大綱に盛り込まれた。
 
 住宅政策については、消費税増税に伴い消費者マインドが冷え込まない対応を切に望むものである。

 本会は公益社団法人となって間もなく1年を迎えるが、今後も不動産流通市場活性化を図るとともに良質な住宅ストックの形成や消費者保護施策の充実に向けて、各種事業を行なっていく所存である。


◆(一社)不動産協会 理事長 木村惠司氏

 平成25年の地価公示は、全国的には下落を示したが、住宅地、商業地とも下落率は縮小し、一部地域において回復傾向が見られる。不動産市場全体にようやく回復の兆しが見え始めてきた。

 我が国の経済は、昨年末の安倍政権の誕生以来、株価の上昇や円高の是正で、持ち直しの動きがみられる。政府においては、日本経済再生に向けた緊急経済対策で、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を三本の矢として掲げており、デフレ脱却・経済再生に向けた施策の展開が期待されている。

 その中でも、成長戦略の推進はとりわけ重要である。今後さらに経済の活性化を促し、持続的な経済成長を実現するためには、住宅・都市分野の内需主導による成長戦略が不可欠である。大都市の国際競争力の強化、良好な住宅ストックの形成、低炭素まちづくりの推進が必要であり、スピード感をもって力強い実行をお願いしたい。

 当協会としても、魅力的なまちづくりや良質な住宅の供給等を通じ、資産デフレからの脱却と日本経済の持続的成長に向け、貢献して参りたい。


◆(一社)不動産流通経営協会 理事長 袖山靖雄氏

 今回の地価公示をみると、平成24年1月以降の1年間の地価は、全国的にはリーマンショック以降5年連続の下落となっているが、下落率が縮小し、上昇・横ばいの地点が大幅に増加するなど回復傾向が徐々に鮮明になってきた。

 半年毎の地価動向を都道府県地価調査(7月1日時点の調査)との共通地点でみると、24年前半(1~6月)に比べ後半(7~12月)は下落率が縮小していることからもそのことが伺える。

 流通現場においては、年明け以降その影響もあり、新築・中古住宅それぞれにおいて取引が活況を呈している。

 用途別にみると、住宅地は低金利の継続や住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支えもあり下落率は縮小した。都市中心部における住環境良好あるいは交通利便性の高い地域では地価の上昇がみられ、また郊外の住宅地でも都心へのアクセスの良い地区等では同様な現象がみられるなど、地価の回復は都心から郊外へと拡大している。

 商業地については、オフィス系の空室率は依然高いものの、新規供給の一服感から改善傾向がみられる地域も多く下落率は減少している。

 圏域別にみると、東京圏の地価は後半はほぼ横ばいとなり、その後上昇傾向に向かう気配を示している。大阪圏は昨年に引き続き1年間を通じて下落率が縮小した。名古屋圏は、後半上昇基調を強め、この1年では愛知県全体で0.1%の上昇となった。また、震災復興需要の影響で宮城県は1.4%上昇と全国1位の上昇率となった。

 昨年末の政権交代以降の円安・株高の流れにより、長期デフレからの脱却の兆しがみられるが、それを更に確実にするためにも、成長戦略の柱の一つである不動産流通市場活性化促進を後押しする税制・金融等の一層の政策支援を政府に要望いたしたい。


◆住友不動産(株) 代表取締役社長 小野寺 研一氏

 今回の地価公示では、横ばいもしくは上昇に転じた地点が大幅に増加したほか、年後半(7月~12月)にかけて下落率も縮小しており、地価の底入れ感がより鮮明となった。

 東京のオフィスビル市場では、大型ビルの新規供給が一巡し、足元の空室率は低下傾向で推移、優良ビルの募集賃料は上昇に転じている。また、低金利を背景に消費者の住宅取得意欲は底堅く、分譲マンションの販売環境は良好だ。都心では、原材料となるマンション用地価格も上昇している。このように、地価はすでに反転しているというのが実感で、この回復感が今後の地価公示にも反映されてくるだろう。

 景気回復とデフレ脱却のため、地価の緩やかな上昇は欠かせない。安倍政権には、引き続きスピード感のある政策実行を期待したい。


◆東急不動産(株) 取締役社長 金指 潔氏

 米国や中国を中心とする海外経済の持ち直しに加え、欧州債務危機の混乱も一服したこともあり、世界経済の見通しも緩やかながら回復基調になりつつある。国内においては、昨年末の政権交代から始まり、経済政策による株価の上昇や円安の進行により、企業および消費者のマインドは回復傾向にあると認識している。

 なお、地価公示の結果については、以下のとおりと理解しており、ご参考として頂きたい。

 住宅市況については、住宅取得に関する諸施策や低金利といった良好な住宅取得環境を背景に、実需を中心とした堅調な需要に支えられ、下落率は縮小傾向にある。お客様の消費活動にも回復が見られ、年明け以降モデルルームの来場者数が増えるなど、東京圏を中心に回復の程度が加速している。今年3月に販売を開始した千代田区の「ブランズ四番町」などの都心部の高額物件も好調な売れ行きを示しており、都心の住環境が良好、あるいは交通利便性の高いエリアは、マンション用地の希少性が高まってきたことも相俟って、一部で横ばいまたは上昇の傾向が見受けられる。

 商業地についても、同様に下落率が縮小の傾向にある。賃貸オフィスにおいては、新規大型物件の開業が一巡したこともあり、また災害時の対応性の高いビルへの移転や業務機能の集約、増床・拡張等の動きにより、空室率の高止まりから転換し、低下への傾向が見られた。一方賃料の下落傾向は、継続しているものの、都心部ではオフィスの賃料調整が進み、改善の傾向が見られる。
 
 また商業施設についても、銀座や表参道など都心部での競争力が強く商業集積の高い地域において、店舗賃料に底入れ感が見られ、昨年4月に神宮前交差点に開業した当社商業施設「東急プラザ表参道原宿」などの新規出店による集客力向上などを背景に、地価が上昇に転じるケースも見られる。今後は、銀座数寄屋橋交差点にある銀座TSビルの建て替えなども控えており、同様の傾向は継続するものと考えられる。

 不動産投資信託市場においては、昨年には相次ぐ新規上場とともに、金融緩和策への期待等からREIT指数も上昇傾向で推移するなど好材料に恵まれ、年明け以降も同様の傾向は継続している。今後も不動産投資信託による積極的な取得は継続するものと考えられ、地価の回復基調から同市場に与える影響も大きいものと認識している。但し、今後の経済環境については、国内外ともに景気の下押し圧力として働くリスクも内在しており、慎重に市場を注視していきたい。

                               

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