不動産ニュース / その他

2014/1/6

「2014年 年頭挨拶」(業界団体等)

国土交通大臣 太田昭宏氏
(一社)不動産協会理事長 木村惠司氏
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会会長 伊藤 博氏
(公社)全日本不動産協会理事長 林 直清氏
(一社)不動産流通経営協会理事長 竹井英久氏
(独)都市再生機構理事長 上西郁夫氏
(独)住宅金融支援機構理事長 宍戸信哉氏
(一社)マンション管理業協会会長 山根弘美氏
(公財)日本賃貸住宅管理協長 三好 修氏
(一社)住宅生産団体連合会長 樋口武男氏
(一社)プレハブ建築協会会長 和田 勇氏
(一社)日本ビルヂング協会連合会会長 髙木 丈太郎氏
(一社)不動産証券化協会会長 岩沙弘道氏
(公社)日本不動産鑑定士協会連合会会長 緒方瑞穂氏

(順不動)

■国土交通大臣 太田昭宏氏

第二次安倍内閣は2年目に入りました。この内閣では、「被災地の復興の加速」、「景気・経済の再生」、「防災・減災をはじめとする危機管理」を三本柱としています。そのいずれについても、社会資本や交通体系の整備、国民の安全・安心の確保などを使命としている国土交通省は大きな役割を担っています。本年4月に消費税率の引上げが実施されますが、それに伴う反動減を抑制しながら、成長力を底上げしていかなければなりません。本年も国民の皆様に前進を「実感」していただけるよう、引き続き総力を挙げて対策を充実してまいります。

東日本大震災からの復興の加速については、被災地の方々に復興を早期に実感していただけるよう、総力を挙げて取り組みます。基幹インフラの復旧は順調に進んでおり、引き続き事業を着実に実行してまいります。一方、住宅再建・まちづくりについては更なる加速化が必要であるため、住まいの復興工程表と加速化措置を着実に実施していきます。具体的には、労務単価の柔軟な見直し、人材・資材の確保、用地取得の短縮化などの措置を引き続き講じてまいります。

住宅の安定的な供給については、消費税率引上げに伴う反動減を抑制するため、住宅ローン減税の大幅な拡充など税制上の措置や、すまい給付金の措置を実施します。
中古住宅流通・リフォームを促進するために、既存住宅のインスペクションの普及や長期優良住宅化の支援、消費者への情報提供の充実、建物評価手法の改善と担保評価への反映を推進します。また、不動産の評価基準などの整備、不動産証券化手法の一層の活用、海外からの不動産投資を促進してまいります。


■(一社)不動産協会理事長 木村惠司氏

新たな年を迎え、今年は明るい展望が拓けている。我が国経済は、アベノミクスの効果で、円高の是正や株価の上昇が進み、企業収益や設備投資が改善するとともに、個人消費や雇用情勢も持ち直し、緩やかに回復している。

日本経済の持続的な成長のためには、大都市の国際競争力の向上が必要であり、世界中からヒト・モノ・カネ・情報を呼び込む国際的なビジネス環境の整備が不可欠だ。

近々国家戦略特区の指定が行われるので、特区の運用が事業の推進に有効に機能するよう、しっかりとフォローしていく。

良質な新築住宅の供給は依然として重要であり、マンション建替えの促進は、安全・安心なまちづくりの観点からも大切だ。ライフスタイルの多様化や世帯構成の変化に合わせて、多様な住宅の供給も大事なテーマである。

環境への取組みもさらなる進化が必要であり、環境性能の向上を図る設備投資減税も創設されたので、先端的技術を活用し、低炭素まちづくりを加速していく。

今後もさらなる活動の充実を図り、国民生活の向上と日本経済の成長に向け、全力を挙げて取り組んでまいりたい。


■(公社)全国宅地建物取引業協会連合会会長 伊藤 博氏

全宅連と全宅保証は、公益社団法人として発足し2年目を迎えておりますが、国民の住生活の安定や消費者保護に向け、都道府県宅建協会と連携のうえ、種々の公益事業を実施しております。

全宅連では、昨年6月に法務省へ民法(債権関係)の改正に関する中間試案に対するパブリックコメントを提出し、今回の改正が不動産取引だけでなく国民生活のさまざまな分野で大きな影響があることを説明し、世に民法改正を喚起する提案をしました。

平成26年度税制改正では、本年4月から消費税率が上がる状況の下、新築住宅に係る固定資産税の減額、住宅用土地に係る不動産取得税の特例等、各種税制の特例措置が延長となったほか、既存住宅の買取り再販における登録免許税の一部軽減措置が講ぜられる等、国民の住宅取得の負担軽減が継続されることとなりました。また、宅地建物取引主任者に対する社会的評価をより一層高めるための『宅地建物取引士』名称変更に関する件、良質な既存住宅の流通活性化策の推進等についても積極的な提言活動を実施いたしました。

不動産に関する調査研究活動としては、民法の改正動向を踏まえた宅地建物取引制度のあり方や、大規模災害時における要配慮者等への住まい確保方策に関する調査研究を行い、また、都道府県協会会員支援策として、不動産流通と価格査定のあり方に関する調査研究を行っております。

また、人材育成として、不動産取引従事者の資質向上策として『不動産キャリアサポート研修制度』を創設し、その第一段階となる通信教育資格講座『不動産キャリアパーソン』の受講申込を開始し、既に約6,000名の方が受講されております。

流通関係では、不動産に関する有益な情報を提供するため、不動産情報検索サイト「ハトマークサイト」のさらなる充実に努め、「ハトマークサイトとSUUMOとの連動オプション」としてデータ連携を可能とする業務提携を行い、一般消費者に対するより有益な情報提供の体制を拡充させていきます。

さらに、「みんなを笑顔にするために、地域に寄り添い、生活サポートのパートナーになることを目指します」とした、ハトマークグループビジョンを策定し、今後各種事業を通じて具体化を図ってまいります。

会員のみなさま方の業務支援の一環として設立した『一般財団法人 ハトマーク支援機構』においては、ハトマーク会員10万事業者のスケールメリットを活かし、「ハトマーク支援機構ならではの事業を行う」という基本姿勢のもと、各種業務提携を行い、今後も様々なサービスの提供に努めてまいります。

全宅保証においては、消費者保護を図るための苦情解決相談業務や弁済業務、手付金等の保管業務や紛争の未然防止のための研修業務等の実施を通じて、宅地建物取引の健全化・適正化に向け、各事業を推進してまいります。


■(公社)全日本不動産協会理事長 林 直清氏

昨年6月に、4期8年間理事長を務められた川口 貢氏の後を受け、理事長に就任いたしました。

新たな年を迎え、業界団体として最も古い歴史を持つ全日本不動産協会を夢と誇りのある日本一の協会にしていく決意を新たにしております。

わが国の不動産業界は今、デフレからの早期脱却と経済再生の実現に向けたアベノミクス効果や、2020年東京オリンピックの開催効果もあり、新設住宅着工回復、マンション供給戸数や契約率の向上、地価の下落率縮小傾向など、ようやくリーマンショック後の状況から回復基調が見られています。

しかしながら、4月の消費税引き上げに伴う反動減等の課題もあり、政府は住宅ローン減税の拡充や住まい給付金等により影響が最小限にとどまるよう努力を続けています。

住宅・土地政策は、経済や雇用に対して極めて大きな波及効果を有しています。わが国が持続的な成長を遂げるためには、土地や建物の有効利用、流動化を図ることが不可欠であり、不動産流通市場の活性化のため、引き続き、政府には、より効率的な税制措置について検討をお願いするものです。

さて、全日本不動産協会は、昨年4月1日に公益社団法人として新たなスタートを切り、公益目的事業を中心に消費者及び会員の利益に資するよう事業を進めてまいりました。平成26年度も、引き続き、公益目的事業の適正かつ確実な実施に努めるとともに、昨年設置した「会員支援業務検討特別委員会」を中心に、会員支援業務に取組み、「全日不動産相談センター」の開設を講じてまいります。


■(一社)不動産流通経営協会理事長 竹井英久氏

昨年のわが国経済はアベノミクスが功を奏し、久しぶりに明るさが戻ってきた一年でした。不動産流通市場においても、景気回復期待や金利・物件価格の先高感などを背景として、昨年1年を通して堅調に推移しました。

このようななか、昨年、国土交通省では、政府の中古住宅・リフォーム市場倍増の目標に向け種々の委員会等を設けての取組が進められ、当協会も委員として参画してきました。本年も引き続きこれらの取組について流通現場の視点から意見具申を行なってまいります。

また、昨年は、消費者がより参加しやすい市場環境の実現のため、『新時代の流通スタンダード』とも言うべき今の時代に適したルールを商慣習として定着させるべく、新たな取組に着手しました。具体的には、売買契約書の文言や解釈の整理とマンション管理情報の開示のあり方についてです。引き続き本年は、各業界団体と協力体制を構築しながら、その考え方や方向性を整理していきたいと考えており、重点課題として取り組んでいきます。

尚、26年度税制改正大綱では、買取再販に係わる登録免許税の特例措置、及び中古住宅取得後に耐震改修工事を行う場合の住宅ローン減税等の特例措置が創設されました。これらの特例措置は中古住宅流通の促進へ向け実効性のある税制支援として期待され、施行され次第これらの活用と普及を図ってまいります。

政権交代以降、脱デフレへの期待はますます高まってきており、内需牽引の一翼を担う不動産流通業界としても、不動産流通市場の活性化のため本年も引き続き尽力して参りたいと思います。


■(独)都市再生機構理事長 上西郁夫氏

昨年は、近年の独法改革の集大成として「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」が閣議決定され、当機構に関しましては、民業補完の徹底と財務構造の健全化とを両立させ、20年先までを見据えた持続的な経営体制を確立することとされました。

本閣議決定を受けて、当機構としましては、多額の負債を可能な限り早期に削減し、キャッシュフローの最大化を目指すため、民間的経営手法も積極的に取り入れながら、従来の枠組みにとらわれない経営改善策の検討を進めてまいります。

具体的には、賃貸住宅事業については、既存団地の収益力の向上や資産圧縮により財務体質の強化を図るため、団地別経営管理を徹底するとともに、ストックの再生・再編により資産・負債の削減を着実に進めてまいります。都心高額賃貸住宅については、民間的経営手法を導入し、更なる収益力の向上や住宅管理コストの削減を図るほか、関係会社が行う住宅管理業務については、業務の効率化とコストの縮減に努めてまいります。

また、UR団地については、医療福祉施設や生活サービス施設の誘致を行うなど、超高齢社会に対応した地域医療福祉拠点への転換を図り、今後7年間に100団地で重点的に実施してまいります。
都市再生事業については、事業実施段階における支援メニュ―を多様化することにより、民間事業者の方との連携を強化し、政策目的を果たしつつ、リスクに見合った収益を適切に確保してまいります。
東日本大震災からの復興については、今後、事業のピークを迎えますが、引き続き最優先の業務として体制を強化しつつ、一日も早い復興へ全力で取り組んでまいります。

ニュータウン事業については、事業収束に向けた供給・処分の最大化と損失の最小化を図ってまいります。

今後、これらの経営改善の実現に向けて全力で取り組んでまいるとともに、公的な機関としてこれまでに積み上げてきた経験や私どもが有しているノウハウを十全に発揮し、民間事業者の方と連携しながら時代の要請に的確に対応した業務を行っていくことで、皆様の期待に応えてまいる所存です。


■(独)住宅金融支援機構理事長 宍戸信哉氏

住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供する【フラット35】は、昨年10月おかげ様で開始から10年を迎え、買取債権残高も10兆円を超えました。全期間固定金利の住宅ローンが多くの方々にご支持頂いたものと感謝しております。将来の金利水準が見えない今だからこそ、【フラット35】を通じて、住宅を取得される方に安心という選択肢をご提示するとともに、質の高い住宅の普及と住宅市場の活性化を支えてまいります。

また、「サービス付き高齢者向け賃貸住宅融資」や「マンション共用部分リフォーム融資」等により、生涯を通じて安心して居住できるすまいづくりの推進に役割を果たしたいと考えております。

更に、東日本大震災については、発生当初よりご返済中のお客様の返済条件の変更や「災害復興住宅融資」等に取り組んでまいりました。被災地の復興が進みつつある中、引き続き、東北支店の東北復興支援室を中心に、地元の地方自治体等と連携を図りながら、被災者の方のニーズに、丁寧にきめ細かく対応してまいります。

今後とも、お客様をはじめ、住宅事業者、金融機関等、関係機関の皆様方のご期待に応えられるよう、役職員が一丸となって一層の努力を重ねてまいる所存でございます。


■(一社)マンション管理業協会会長 山根弘美氏

新年明けましておめでとうございます。昨年も各地で自然災害が発生し、多くの方が被害に見舞われました。そして、東日本大震災で被災された方々の避難生活も続いています。被災された皆様が一日も早く復旧・復興を迎えられることをお祈り申し上げます。

さて、2013年の社会情勢を振り返ると、一番に挙げられるのは、景気が上向いてきたことです。マンションの着工戸数が久しぶりに上向きに転じてきたという事実は、我々の業界にとって非常に嬉しいニュースです。また、消費税増税に伴う様々な政策の影響もあり、売れ行きも堅調に推移しています。さらに社会全体を見ても2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致が決定し、明るいムードが広がってきました。この流れに乗って今年も希望溢れる年になってほしいと願っております。

一方で見過ごせない問題もございます。まずは協会としても取り組んでいる東日本大震災の被災地の復旧・復興です。取り組むべきことはまだまだ多く残されていると痛感しています。また、復旧・復興工事に伴う支出は大規模修繕の予算を圧迫しており、現地の管理組合の方々からお話を聞くと、その深刻さがひしひしと伝わってきます。「3・11」への対応は今後も当協会の大きなテーマとして取り組まなければなりません。

もう一つは、コンプライアンスの遵守です。これまでも当協会ではマンション管理適正化法を含めた様々な法令遵守のための施策に取り組んできました。しかし、なかなか改善されない現状があります。そこで今、当協会では法令を遵守するためにどのような仕組みが設けられているのか、推進する委員会などの体制が整備されているのかをチェックし、フォローアップする「新モニタリング制度」を推進しています。この法令遵守に関する問題は何としても解決していきたいと思っています。

私は常々、協会として取り組まなければならないのは、マンション管理業の「知名度の向上」と「品質の向上」「地位向上」の3つだと思っています。まず昨年4月、知名度を上げるため、名称を「マンション管理業協会」に変えました。品質の向上はもちろんのことですが、さらに踏み込んで「地位向上」を目指していきたいと思います。管理会社の在り方は10年前とは随分変わりました。ディベロッパー系の場合、以前は子会社という地位でしたが、今は協力会社という関係になっています。新規でマンション開発をする時は、管理会社の知恵は必要不可欠になってきています。一方で、社会的な地位向上という面では、まだ十分とは言えません。まずは、当たり前のことを一生懸命に実行し、お客様の財産管理とサポートをしっかり行っていくことが重要だと考えています。

マンション管理適正化法施行規則の改正が3年半ほど前にありました。金銭毀損事故の多発を鑑みて、管理組合資金の収納・保管の仕組みを変えたものです。しかし、残念ながら事故が無くなったわけではありません。これは管理会社内部の風通しなどまで踏み込んで、改善していかなければならないと考えています。

さらに、管理組合の監査機能も引き上げていく必要があると思います。
管理会社が作成した決算報告書などに対して、客観的な視点からチェックをするといった「第三者による監査」が必要だと思います。マンション管理士の方々がこの監査を担うという手法もあるでしょう。マンションを取り巻く他の業界団体とも連携強化を図りながら、マンションを巡る社会的リスクを減らしていくことが必要です。今年はその第一歩を踏み出す年にしたいと考えております。

マンション管理業には、ハードとソフトとハートの3つの側面があると思っています。その中の「ハート」の部分をどう推進していくかが、住生活総合サービス業の浸透の鍵を握っていると思います。例えば、耐震性に脆弱なマンションの建て替え等を進めやすくするために、決議要件を「5分の4から引き下げる」ということも検討されています。しかし、それを強行することは反対者を増やすことともなり、後に訴訟が起こり補償問題になるケースが増加するかもしれません。日本人のコミュニティには「和を以って尊しと為す」という特性があり、合意形成のプロセスが非常に重要です。大規模修繕や様々な規約改正などの場面で意見を押し通してしまうと、次の合意形成の場面で互いの溝を作る結果となってしまいます。

そこで必要なのは「ハート」、心を通わせ理解を深めることです。特に「3・11」以降は、人と人との「絆」に対する意識が目覚め始めました。管理会社はその「ハート」の部分、つまり健全なコミュニティをファシリテート(促進)する役目を持っていると思います。

健全なコミュニティの育成を推進する一つの手段として、良い事例を協会が表彰する方法があると思います。防災、高齢化対応、子どもの見守りなど、地域と一体となった活動に取り組んでいる管理組合を表彰するのです。マンションの中には社会が抱える様々な課題が見受けられます。管理組合を表彰する場を設けることで、社会にその取り組みとプロセスを「見える化」して示すことができます。互いの絆を深めようという取り組みに焦点を当てた表彰をぜひ実現したいと思います。

最後に、私たちマンション管理業協会の会員各社は、管理組合の皆様の大切な財産である建物(ハード)、資金(ソフト)、そしてコミュニティ(ハート)を守り、より良い暮らしをサポートしてまいりたいと考えております。東日本大震災被災地の皆様をはじめ、様々な課題を抱える数多くのマンション管理組合の皆様のお力になれるよう、力を尽くしていく所存です。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。


■(公財)日本賃貸住宅管理協長 三好 修氏

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

これからの賃貸管理業者は、賃貸物件だけではなく、オーナーの資産全般を任せてもらえる知識と技能を身に付ける必要があります。

生命保険等、全ての資産を管理させて頂ける存在にならなければなりません。そのため、オーナーの懸案である相続という視点で信頼を得る必要があります。

現在、平成27年からの基礎控除引下げ等により、相続税の対象者が大幅に増えると言われています。しかし、オーナーの多くが節税対策等の準備が十分でないように思われます。

当協会は、相続支援コンサルタントという相続支援の専門家を育成し、弁護士、税理士等の各分野の専門家と連携してオーナーの相続対策をサポートします。

上級資格においては、レジュメ作成やプレゼン能力など、各社でオーナーセミナーの講師ができる人材も数多く育成して参ります。


■(一社)住宅生産団体連合会長 樋口武男氏

新年あけましておめでとうございます。

昨年は、新政権に対して「決断と実行」を期待した1年でしたが、デフレからの脱却、経済再生に向けて3本の矢が放たれ、積極的な経済政策がスピーディに実行された結果、円安や株高が進み、着工戸数も5年ぶりに90万戸を越える見通しです。住宅業界としても景気回復が順調に進んでいると感じています。本年も引き続き、着実な成長戦略の実行によって、景気回復をより確かなものとしてサスティナブルな成長軌道を進んでいく年となることを期待します。

4月にはいよいよ消費税が8%に上がります。昨年は、裾野が広く経済波及効果が高い住宅投資の役割について関係方面へ広く要望活動を行った結果、「すまいの給付金」を創設していただき、ローン減税の拡充効果とあいまって、駆け込み増やその反動減については前回の引き上げ時のような大きな影響がでないのではないかと感じています。本年はさらに10%への議論が行われますが、消費税率引き上げ後の景気動向は依然不透明です。住団連としましてはこの消費増税への対応を最重要課題と位置づけ、住宅への軽減税率の適用を含めて、これ以上住宅を取得する国民の負担が増え、景気の冷え込みを招くようなことにならないよう、慎重な議論を求めてまいります。

平成26年度税制改正大綱では、固定資産税の特例措置の延長をはじめ、中古住宅流通・リフォーム市場の活性化のための特例措置の創設など、住宅が内需の柱であるという位置づけをご理解いただき様々な支援措置が継続、創設されました。また低炭素・循環型社会を実現するための地球環境問題への取り組みや、ストック重視の住宅政策への転換を目指す「中古住宅・リフォームトータルプラン」、高齢者が健康で長寿を全うできる「スマートウエルネス住宅」など、今後目指すべき将来ビジョン、ゆとりある豊かな暮らしの実現に向け、われわれの取り組む課題は山積しております。

住団連は、一般社団法人への移行とともに、昨年設立20周年の節目を迎えました。今年も会員一丸となって我が国の住宅産業における諸課題への取り組みや、税制・金融・財政面など幅広い政策支援の充実のための要望活動などを通じて、国民の豊かな住生活の実現に貢献してまいりたいと思います。


■(一社)プレハブ建築協会会長 和田 勇氏

安倍政権の経済政策「アベノミクス」の効果により円安・株高へ進み、デフレ脱却に向けて、日本経済は回復の兆しが見えて参りました。最後に放たれました第三の矢「成長戦略」により民間投資が活発化する基盤が固められ、第四の矢とも言われる東京オリンピック効果にも後押しされながら国内景気が本格的に上昇していくことを期待しています。

そのような中、住宅は自動車と共に内需の柱と位置付けられておりますが、昨年10月の新設住宅着工数は、対前年同月比7.1%増の9万226戸と14カ月連続の増加で5年ぶりの高水準となりました。また、受注状況につきましても個人消費の持ち直しにより好調に推移致しました。今年4月からの消費税増税の影響もあり、経過措置期限の9月を境に落ち込みを見せましたが、住宅ローン控除の拡充・給付金措置などによる緩和効果も見られました。これら政策が引き続き住宅需要を下支えすることを期待すると共に、今後は住宅資金の贈与税非課税枠の再拡充など住宅需要をより促進する政策も望まれるところです。

昨年も台風や局地的豪雨による災害が各地で数多く発生し、甚大な被害をもたらしました。与論島や伊豆大島では現在も応急仮設住宅の建設に取り組んでおります。被害にあわれた皆様に対しお見舞い申し上げるとともに、支援活動にご尽力頂いております会員企業の皆様に改めて御礼申し上げます。気候変動が激しい中で自然災害も多様化しており、今後は災害時のより柔軟かつ迅速な対応への準備も不可欠であります。

「環境」が社会問題として叫ばれるようになり久しくなりましたが、国内の温室効果ガスの排出量は依然増加傾向であり、家庭部門に限ってみると基準年より約50%も増加している現実を私たちは真摯に受け止めなくてなりません。当協会では2012年に環境行動計画を見直し、「エコアクション2020」として省エネルギー・再生可能エネルギーへの取り組みを強化しておりますが、実績値を見てもその成果は次第に高まっております。

今後CO2削減に向けて、当協会は業界全体の環境配慮住宅普及の先導役としてより一層の努力が求められます。

「量」から「質」を求めた我が国の住宅政策は、特に2006年の「住生活基本法」の制定を契機に、住宅が長く住み継がれるストック型社会を目指すようになりました。ストック型社会は当協会の行動憲章の大きなテーマの一つでもありますが、実現に向けてより良質な住宅の供給は勿論のこと、またそれと共に適正にメンテナンスを行い、流通させていくシステムの強化も業界全体としての課題であります。

社会が刻一刻と変化する中、社会生活の基盤である住宅に対するニーズも多様に変化しております。本年もその変化に合わせて、質の高い住宅・良好な住環境の提供できるよう会員と共に邁進致したく存じます。


■(一社)日本ビルヂング協会連合会会長 髙木 丈太郎氏

2014年を迎え、安倍政権が推し進めるアベノミクス効果が実体経済に波及し始め、各地域で景気が回復傾向にあることを実感できるようになってきました。オフィス市況は、こうした経経済環境を背景に、テナント需要が徐々に顕在化し、空室率に改善の兆しが表れてきています。今年は賃料が底を打ち、市況が本格的に回復していくことを期待しています。

2020年東京オリンピックの開催が決まりました。明るい話題であり、誠に喜ばしいことであります。グローバル化の進展に伴って、国際的な都市間競争が激化するなか、都市の魅力を高め、都市の国際競争力を強化していくことは業界の大きな課題であります。これから7年を節目として、世界各国の方々をお迎えするにふさわしい都市づくりを進めていかなければなりません。東京都の「アジアヘッドクォーター特区」ははじめとする国際戦略特区が全国7地域で動き始めているのに加え、先の臨時国会では「国家戦略特区関連法案」が成立いたしました。当協会では、こうした法制度を活用しつつ、会員と一致団結し、各地の魅力ある都市づくりに取り組んで参ります。

また、ビル業界には、東日本大震災を契機に関心の高まっている「耐震」、「防災」、「環境」といった社会的ニーズに的確に対応していくという重要な役割が求められています。会員の総力を集結し、これらの課題に対し鋭意対応して参る所存です。


■(一社)不動産証券化協会会長 岩沙弘道氏

昨年は、安倍政権による経済政策が功を奏し、長年の経済の低迷に終止符が打たれるとともに、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催決定により、国民のマインドが大きく改善した年であった。

本年は、わが国の経済成長を加速させるため、成長戦略を確実に実行しなければならない。

不動産投資市場は、資金の循環を通じて都市再生や地域活性化を促進することで、成長戦略を後押しする役割を担っている。当協会としても、日本経済の成長のため、使命感を持って取り組んでいるところである。

昨年のJリート市場については、物件取得額が2兆円を超え、上場銘柄数は43銘柄、資産規模は約11兆円、時価総額は約7兆円に達し、いずれも市場創設以来最高の水準となった。

また、2010年に誕生したオープンエンド型私募リートも、機関投資家の長期安定的な投資先として評価を得ており、現在、6銘柄、資産規模約4,000億円にまで拡大している。

市場の成長に資する法制・税制度の改正も大きく進んだ。昨年は、資金調達手法の多様化等を導入する投信法の改正や、倒産隔離スキームを拡充する不特法の改正が実現した。

加えて、平成26年度税制改正では、正ののれんが生じた場合の導管性要件の改善について手当てがされるとともに、積年の課題であった税会不一致の抜本的解決策が、平成27年度税制改正に向けて具体的に検討されることとなった。

投資対象の多様化も進んでおり、ヘルスケア施設や海外不動産を投資対象とするリートも登場している。特に、ヘルスケア施設の供給拡大は、わが国が抱える課題の一つであり、当協会としても課題解決の一翼を担えるよう、その環境整備等を進めてまいりたい。

加えて、老朽化したインフラの更新や、耐震性に劣る公的施設の建替えも重要な課題である。これらの推進のためには、民間の資金やノウハウの活用が不可欠であり、当協会としても、PPP・PFIの推進を働きかけていく。

本年はNISA開始の年となる。Jリートは長期安定的な投資に適した商品であり、NISAの普及を通じて個人投資家のさらなる投資を喚起していきたい。

年金については、現在、GPIF等の公的年金は不動産への投資実績がなく、企業年金についても不動産への投資は、投資額全体の約1%にすぎない。リートや不動産への投資拡大のため、インデックス等の積極的な情報発信や、投資家との連携強化に注力してまいる。

本年は、不動産投資市場の成長を持続的かつ確かなものとし、さらなる飛躍を実現する年と考える。当協会としても、市場の活性化を通じて、わが国の経済成長に貢献してまいりたい。


■(公社)日本不動産鑑定士協会連合会会長 緒方瑞穂氏

2014年は、不動産の鑑定評価に関する法律施行令が、1964年4月1日に施行されて以来、いよいよ制度発足50年を迎えることとなりました。また、来年は、当会が創立50周年を迎えることになります。

昨年は10月に第1回日中韓鑑定評価協力会議を開催。さらに11月には、業務提携を結んだ英国王立チャータード・サーベイヤーズ協会(RICS)のアジア資産評価会議を共催するなどグローバル化への対応を進めました。
今後は、さらなる鑑定評価の持続的発展のため、一層の業務拡大を目指していく必要があります。

今年の重点課題は、まず「既存住宅流通の促進」。ストック型社会における個人住宅流通促進のさまざまな局面において、不動産鑑定士が評価、助言、提案等の対応ができるよう、さらには、他の分野の専門業者とも連携ができるよう、建物評価の精緻化を図る予定です。

また、農地評価の研究、地方公共団体の所有不動産の調査(PRE)等の他に、契約形式に関連して鑑定評価制度の存続に影響を及ぼすような行き過ぎた競争入札による低廉報酬を避けるため鑑定報酬基準の利用を見直すこと等も進めていきたいと思います。

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お知らせ

2024/5/5

「月刊不動産流通2024年6月号」発売開始!

月刊不動産流通2024年6月号」の発売を開始しました!

編集部レポート「官民連携で進む 空き家対策Ⅳ 特措法改正でどう変わる」では、2023年12月施行の「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」を国土交通省担当者が解説。

あわせて、二人三脚で空き家対策に取り組む各地の団体と自治体を取材しました。「滋賀県東近江市」「和歌山県橋本市」「新潟県三条市」「東京都調布市」が登場します!空き家の軒数も異なり、取り組みもさまざま。ぜひ、最新の取り組み事例をご覧ください。