不動産ニュース / イベント・セミナー

2014/5/19

ヘルスケア施設の流動化に向け、評価指標整備などが課題/ARES

セミナーの様子
セミナーの様子

 (一社)不動産証券化協会(ARES)は16日、金融庁、(株)東京証券取引所と共同で、ヘルスケア施設運営事業者対象特別セミナー「高齢者向け施設運営事業拡大のための新たな資金調達手法~運営事業者の事業評価の現状とREITの活用事例、今後の展望~」を開催した。

 冒頭、挨拶に立った国土交通省土地・建設産業局不動産市場整備課不動産投資市場整備室長の久保田 誉氏は「今後の不動産投資市場の活性化においてJREITの商品の多様性が求められている。ヘルスケアリートはその中でも注目だ。現在、関係省庁や団体と連携を取り、ヘルスケアリートの課題を解消しようと取り組んでいる。このようなセミナーを通じ事業運営に携わっている人たちとも意見交換・連携していくことで、取り組みの歩みを加速させていきたい」などと述べた。

 セミナーでは、「高齢者向け施設運営事業者の事業評価の現状」というテーマで、(株)学研ココファンホールディングス代表取締役社長の小早川 仁氏と、KPMGヘルスケアジャパン(株)取締役・パートナーの松田 淳氏が対談した。
 小早川氏は運営者の立場から同社の事例を紹介しながら高齢者向け住宅流動化について「流動化するには、ある程度の規模が必要となり、本来普及すべきミドル層向きの物件は難しい。また流動化するに当たり、いかに居住者にわかりやすく説明をしていくかがポイントとなる」などと話をした。
 また、「評価する側が高齢者向け施設についての知識が不足していることから、結果的に高額な物件しか流動化しないのではないか」などの課題を挙げた。松田氏はそれに対し「高齢者向け施設は本来非常に安定性が高い不動産であるが、評価する側に確固たる評価の指標ができていないためにリスクが高く見られる。評価する側もすべての情報開示を運営者側に求めるのではなく、外部情報のみで把握できない内容について運営者側に確認する、というような姿勢が必要である」と述べた。

 続いて「事例から見るREIT活用のメリット、今後の展望」をテーマにパネルディスカッションを実施。牛島総合法律事務所弁護士の田村幸太郎氏をモデレータに、松田氏に加えオリックス・リビング(株)代表取締役の森川悦明氏、大和リアル・エステート・アセット・マネジメント(株)代表取締役社長の山内 章氏、金融庁監督局証券課資産運用室課長補佐の海野昌司氏、(株)東京証券取引所上場推進部課長アセットファイナンス統括の横田雅之氏をパネリストに迎えた。「流動化することにより運営現場はサービスに集中できるというメリットがある」「ヘルスケア施設は良い運用者と組み、内容をきちんと理解できれば従来のリートよりもリスクが低い金融商品となる」などの意見が挙がった。

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