全国空き家対策コンソーシアム(代表理事:(株)クラッソーネ代表取締役CEO・川口哲平氏)は19日、参画団体である東京大学連携研究機構 不動産イノベーション研究センター(CREI)が実施した「空き家の外部不経済に関する研究」結果について、メディア向けの説明会を開催した。
同コンソーシアムは、空き家の増加抑制、また空き家問題に向き合うESG経営の体現、CSR活動の推進を目的に、2023年9月28日に設立された団体。独自に専門ノウハウを持つ事業会社・学術団体がコンソーシアムを形成し、知見を共有することで、各事業者の空き家所有者に対する啓発活動を強化していく。具体的な課題解決の促進を目指している。
CREIが実施した「住環境悪化に伴う長期空き家の外部性:東京圏の人口減少都市における検証」では、数年(4年以上)にわたり継続している長期空き家の外部性(物理的・心理的に周囲に与える悪影響)は、約50mの範囲に及び、長期空き家が1軒増えるごとに、その半径50m圏内の住宅の取引価格が約3%低下すると発表。また、3年以上にわたり空き家状態が継続している物件では、空き家化して3年目から外部性が見られ、2年目に至るまでは外部性が確認されなかった、としている。
また、クラッソーネがCREIへデータ提供し、実施した「空き家の外部不経済:空き家解体工事実績データを用いた検証」では、長期空き家が解体される前年において、その長期空き家から半径50m圏内で取引された住宅の成約価格が低下。また、長期空き家の少ない場所ほど管理不全の空き家の存在が際立つため、周辺環境への負の影響が大きいと示した。
これら結果を受け、同コンソーシアムは「半径50m以内に一定数以上の住民が住んでいる管理不全空き家に対し、補助金を増額する」「固定資産税減免措置の改変」「所有者不明空き家情報の公開」「公民連携による空き家相談窓口業務の強化」といった、空き家問題解決に向けて打つべき施策の具体例を提案。川口氏は、今後のコンソーシアムの活動について、「空き家の解体や利活用による外部不経済解消の因果関係を検証する。空き家所有者に対しては、早期に意思決定ができるような情報提供を行ない、公民連携での空き家対策に取り組んでいく」と話した。