(公財)不動産流通推進センターは24日、AP東京八重洲(東京都中央区)にて、「今、時代は『不動産コンサルティング』を求めている!~不動産価値の創造と最大化を目指す」と題したセミナーをオンライン併用で開催。会場に120人が集まり、ウェブでも770人が視聴した。
同イベントは6月に国土交通省が公表した「不動産業による空き家対策推進プログラム」内で言及されている「全国不動産コンサルティングフォーラム」のプレイベントとして実施したもの。有識者や実務者、行政関係が講師となり、テーマごとに取り組みや不動産コンサルティングの必要性について講演した。
冒頭、同センター理事長の坂本 久氏が、「全国から多くの参加者・視聴者を集めており、不動産コンサルティングへの関心の高さがうかがえる。不動産コンサルティング技能試験・登録事業は創設から32年が経過し、これまで制度の充実を図ってきた。現在の公認 不動産コンサルティングマスターに求められる知識は、不動産実務を中心に、経済・金融・税制・建築・法律など多岐にわたっており、研修等を通じて継続的なブラッシュアップが必要になっている。最近では、相続や空き家問題に対応するための最適な人材としても、不動産コンサルティングマスターが評価されている」などと挨拶した。
セミナーでは、国土交通省不動産・建設経済局不動産業課参事官の鹿渡 寛氏が、「不動産業による空き家対策推進プログラム」について解説。特に不動産コンサルティングに関連するコンサルティングフィーの位置付け明確化やコンサル業務の推進などといったポイントを解説した。
その後、(一社)リノベーション協議会会長の内山博文氏が「不動産ストックの活用」、(公社)和歌山県宅地建物取引業協会副会長の木村勝次氏が「地方の取り組み」、(一社)エリア・イノベーション・アライアンス代表理事の木下 斉氏が「地域活性化」をテーマにそれぞれ講演した。和歌山宅協の木村氏は、総務省の住宅・土地統計調査で空き家率が全国1位となった和歌山県内の不動産市場の実情と、同協会の空き家対策に向けた活動について紹介。「未登記だったり境界未確定だったりと、空き家問題はさまざまなリスクの集合体」だとして、同協会による独自資格「空き家管理活用マイスター」や、不動産コンサルティングマスターと宅建マイスター、賃貸不動産経営管理士をすべて取得している実務者を認定する「エキスパート資格者」制度について説明。「高い知識を持つ実務者が、『不動産のかかりつけ医』としてユーザーの困りごとに応えていく必要がある」(木村氏)などと話した。
最後に、国交省不動産業課課長の川合紀子氏が挨拶し、「(空家対策プログラムは)空き家問題だけをフォーカスするというよりは、地域の不動産市場の課題を解決するという色合いが強い。地域において適切な役割分担の下、不動産業と行政が連携して取り組んでいくことがもっと進んでほしい。今日をキックオフとして、不動産の使い道に迷っている方々をサポートするために、不動産コンサルティングを推進していきたい」などと述べた。