不動産ニュース / 政策・制度

2014/12/1

「IT重説」、来年度から最大2年間の社会実験を開始/国交省

 国土交通省は11月28日、「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)の5回目となる会合を開き、重説のIT化に向けた社会実験を、年末発表予定の最終とりまとめ後、半年の準備期間を経て開始すると発表した。

 同実験は、IT重説を希望する事業者および取引主任者を登録した上で賃貸契約、法人間取引に限定して実施。消費者にIT重説に関する同意確認書と重要事項説明書を事前に送付、IT重説を希望した消費者に対し、ITツールを用いて主任者証の提示や重要事項説明を行なう。すべてのやりとりは消費者サイド・主任者サイドともに録画、実験期間中保存する。契約時と契約後半年時点で消費者にアンケートを行なう。また、毎月末にIT重説の利用状況を同省に報告する。

 また、主任者証の表記・顔写真の確認、契約者の本人確認、契約者の説明内容への理解の確認、説明内容と図表等の関係に誤認や齟齬を生じさせないような説明を行なうことは、電話やメールでは難しいとして、同実験における「ITツール」は「インターネットテレビ電話」を利用する。また、実験期間は検証状況に応じ、最大2年間とした。個人の売買については、賃貸契約・法人間取引の運用後、あらためて社会実験を行なう方針。

 この同省の方針に対し、IT重説の推進派からは「電話やメールが重説に必要な要素を満たしていないというが、やり方次第で可能ではないか」「2年間という実験期間は長すぎる」「ITが対面に劣るという前提がおかしい」「2年間の実験後、さらに2年間の社会実験を行なうのは無駄ではないか」などの意見が出された。
 一方で、不動産業界団体や消費者団体等からは「賃貸契約は2年間が多く、トラブルは2年後以降に出てくる。2年間の実験期間では間に合わない」「事前説明と契約は分けて考えるべき。ツールもテレビ会議並みのものでなければ厳しい」「IT化でトラブルが減るとは思えない」といった意見が出された。この他にも、「トラブル防止の観点も大事だが、消費者や業者の利便性を高めるような代替手段、トラブルを合理的に解決するための手段としての可能性を探っていくべき」「将来的には、重説そのものの見直しにも踏み込んでほしい」などの意見もあった。

 同省は、今月25日の次回会合で、最終とりまとめ案を示し、年内にとりまとめを行なう予定。

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重説IT化

不動産取引における重要事項説明を、インターネット等を活用して対面以外の方法で行なうこと、またはその方法を導入すること。 重要事項説明は、宅地建物取引士が対面で行ない、書面を交付しなければならないとされていた(宅地建物取引業法)。

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