不動産ニュース / リフォーム

2016/1/26

中古ビル再生事業で初の賃貸住宅。東京・東陽町に竣工/三菱地所レジデンス

「ザ・パークレックス東陽町」外観。写真手前は、敷地内に設けられた菜園予定地
「ザ・パークレックス東陽町」外観。写真手前は、敷地内に設けられた菜園予定地
機械室を改修して作ったアトリエ。DIYニーズに応える
機械室を改修して作ったアトリエ。DIYニーズに応える
室内は、従前の部材を極力いかしながら、床にラーチ合板や無垢フローリングを張り込むなど木のぬくもりを押し出した
室内は、従前の部材を極力いかしながら、床にラーチ合板や無垢フローリングを張り込むなど木のぬくもりを押し出した
リビングと居室を仕切る引き戸には、黒板塗料を塗り、子供たちが絵を描けるようにした
リビングと居室を仕切る引き戸には、黒板塗料を塗り、子供たちが絵を描けるようにした

 三菱地所レジデンス(株)は、中小ビル等をコンバージョンで再生する「Reビル事業」第6弾で、初の賃貸住宅となる「ザ・パークレックス東陽町」(東京都江東区、総戸数10戸)の主要工事を完成。26日、報道陣に公開した。

 同事業は、築年数の経過等で競争力が低下した中小ビル等を、同社が定期借家契約でマスターリース。同社負担で、耐震補強工事を含むリノベーションを行ない、賃貸住宅等として供給し、借上期間終了後、オーナーに返還するもの。同社100%子会社で環境負荷低減に貢献する新規事業等を手掛ける(株)メックecoライフが中心となって、2014年5月に立ち上げた。

 リノベーション会社(株)オープン・エーがコンセプトや企画設計を助言。テナント募集も、同社代表の馬場正尊氏が立ち上げに関与した物件サイト「東京R不動産」に依頼するほか、三菱地所グループ各社が連携して、事業物件の収集やテナント仲介・管理を行なっていく。借上期間は10~15年を想定。その半分の期間で投資コストを回収する。

 同物件は、東京メトロ東西線「東陽町」駅徒歩14分に立地する、築34年、地上5階地下1階建て、延床面積約1,200平方メートルの企業社宅をコンバージョンしたもの。戸当たりの専有面積が大きく、共用部のピロティやポーチ、共用収納、専有部のサンルームなどゆとりのある造りを生かすため、子育て世帯をメインターゲットにした「子供とともに成長する住まい」をテーマにコンバージョンを行なった。

 共用部に、ハンモックや卓球台を置いたラウンジ、1坪農園、機械室を改修したアトリエなどを設置。あえてエレベータは設置せず、階段室に山登りをテーマにした壁画を描いた。玄関前のポーチは居室ごとに色分けし、植物や自転車が置ける空間とした。

 住戸は、専有面積90、92平方メートルの3LDK。無垢フローリングやラーチ合板の多用など、木の風合いや温かみを感じられる空間としているのが特徴。LD引き戸を黒板塗装し、子供が自由に落書きできるようにしたほか、LD壁の1面を自由に棚などを設置できるカスタマイズ壁とした。水回りやサッシは従前のものを再利用する。改修コストは、約5,000万円。想定賃料は、月額18万円。

 同日会見した三菱地所レジデンス資産活用室・メックecoライフ常務取締役の明嵐二朗氏は「築古ビルのオーナーは、知恵がない、投資リスクが取れないなどを理由に、バリューアップができず、ポテンシャルを生かしていない建物が多いことが、この事業を通じてよくわかった。ますます増えていく既存ストックの有効活用のため、オーナーが安心して使えるビジネススキームとして提案し、少しでも多くのビルをバリューアップしたい」などと抱負を語った。

 同社は、事業開始3年間で15棟、5年間で計30棟の事業展開を目標としている。現在、事業推進中が5棟、事業検討中のものが10棟前後。「こればで千代田区・中央区中心だったが、今後は地方都市での事業や、倉庫や商業ビルなども視野に入れていきたい」(明嵐氏)。

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