三菱地所レジデンス(株)と(一財)首都圏不燃建築公社が参加組合員として事業を進めてきた「荏原町駅前地区防災街区整備事業」(東京都品川区)がこのほど竣工。16日、報道陣に公開された。
同事業は、東急大井町線「荏原町」駅前に広がる小規模店舗併用住宅密集地(984平方メートル・建築面積680平方メートル)の再開発。通路が狭隘で、建物の多くが1950年代築であるなど防災上の問題から、平成以来幾度となく再開発が検討されてきた。東日本大震災を機に再開発の機運が高まり、2012年都市計画決定とともに、不燃公社・三菱地所レジデンスが組合員として参画。防災街区整備の事業手法を用いて土地・建物の共同化を行なった。
同スキームは、通常の市街地再開発と違い容積割増が受けられない代わりに、高度利用地区の指定や公共施設の整備等の必要がなく、小規模の再開発でも利用が可能。今回の事業では、同整備事業に加え東京都の不燃化特区のコア事業にも位置付けられ、総事業費(約30億円)の4割にあたる補助金を受ける。権利者は22名。全国で7件目、都内4件目となる。
再開発後の建物は、地上18階地下1階建て、高さ65m、延床面積約5,520平方メートル。沿道は、避難通路としても機能する歩道状空地とし、防火水槽や区の防災備蓄倉庫も設置。1、2階には地権者含め、商業店舗14店舗が入居。3階が中間免震装置と防災備蓄倉庫、ラウンジ。4~18階を分譲マンション「ザ・パークハウス品川荏原町」(総戸数55戸)として、三菱地所レジデンスが、14年11月に販売。全戸即日完売した。住戸は1LDK~3LDK、専有面積39~76平方メートル。販売価格は、3,748万~7,708万円。
16日会見した三菱地所レジデンス街開発事業部建替事業推進室室長の石原和彦氏は「防災街区整備事業は全国的にも事例が少ないが、社会的に意義も大きいことから手を挙げさせていただいた。再開発事業、マンション建て替え事業には今後も力を入れていく。これまで15件のマンション建て替えを手掛けた。現在も、建替組合設立に向け動いているプロジェクトが10件ほどある」などと語った。