(一社)不動産協会は11日、日経ホール(東京都千代田区)にてシンポジウム「豊かで活力ある社会を目指して~大都市および住生活のあり方~」を開催した。
冒頭、挨拶した同協会理事長の木村惠司氏は、「日本経済は、持続的な成長を迎えられるかどうかの正念場に立っているといえる。不動産協会では、今般、人口減少や高齢化などの社会構造の変化が本格化する中での諸課題への取り組みとして“大都市および住生活のあり方に関する提言”を発表したところだが、これを一つの処方箋とし、本日のシンポジウムにおいて一緒に考えてほしい」などと話した。
シンポジウムでは、学習院大学国際社会科学部教授の伊藤元重氏が「これからの日本、その歩むべき道」をテーマに基調講演。日本やアメリカ、欧州が直面する構造的不況の要因として(1)少子高齢化、(2)資産価格下落の長引く後遺症、(3)技術革新を成長につなげられていない点を挙げ、今後は需要拡大対策が必要であることを解説した。
また、今後については、IoTやAI、ビッグデータなどに代表されるイノベーションを取り込んでいくことや、20年後のアジア太平洋地域を見据えた国際的な分業とグローバルバリューチェーンの構築が必要と解説した。
続いて、東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏と事業構想大学院大学学長の田中理沙氏、国土交通省建設流通政策審議官の海堀安喜氏、木村理事長によるパネルディスカッションを開催。「2025年、さらにその先を展望して~不動産業が担う役割」をテーマに議論を展開し、目指すべき大都市のあり方や住生活のあり方、ストックの活用などについて意見を交換した上で、「経済成長には、都市の競争力が果たす役割が大きく、それを広く認識してほしいと思っている。不動産業はハードとソフトを総合的にプロデュースする事業。新しい社会構造の中で大胆な発想を持ちながら積極的に行動していきたい」(木村氏)と結んだ。