日鉄興和不動産(株)は31日、オフィスビル「赤坂インターシティAIR」(東京都港区)で実施していたマイボトル利用促進プロジェクト「Building 2 Bottle」の効果の検証結果を公表した。
同プロジェクトはSDGsの取り組みの一つ。同ビルの就労者を対象に実施したアンケート結果では、マイボトルを利用する上での不満では「ボトルの洗浄が面倒」(46.5%)が、マイボトルを利用する理由では「節約のため」(34.2%)が、それぞれトップとなった。そこで「マイボトルの洗浄の手間を省くとともに節約効果を高めれば、マイボトルの利用が促進されるのではないか」という仮説を立て、実験を行なった。
8月26日~10月31日に、プロジェクト参加企業4社が入居する専有部・共用部に、象印マホービンが開発中のマイボトル洗浄機と、コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、お湯を選べる無料の給茶機を設置。参加企業それぞれに100本ずつマイボトルを無償で提供し、洗浄機・給茶機の利用状況を確認した。
洗浄機と給茶機を近くに併設するケース、独立させて設置するケース、給茶機の紙コップ設置の有無、さらに社員数も含め、環境が異なる状況で実施したが、おおむねプロジェクト開始前と比較して20~30%程度、マイボトル利用者の増加が確認された。
プロジェクト参加企業従業員をを対象にしたアンケート調査でも、プロジェクト開始前は「週4回以上」と回答した利用者は45.3%から68.3%に伸長、「利用していない」は30.2%から8.5%へと大幅に減少した。
また、マイボトル洗浄機と給茶機をセットで設置した場合は、そうではないケースと比較して洗浄機の利用回数が最大で約4倍多かったことから、洗浄機と給茶機をセットで設置することが、マイボトルの利用促進には効果的であることも明らかとなった。
副次的効果も判明。アンケートの中で、「マイボトルについて同僚と会話をしたか?」の問いでは「話題になった」が76.2%を占め、マイボトルがコミュニケーションの増加につながっていることも分かった。
マイボトル洗浄機・給茶機の利用回数が最も多かったテナントの利用状況を基に、給茶機の利用数(1杯140ml)を500mlのペットボトルに換算、ペットボトルの削減量を試算してみたところ、1ヵ月(20日)で1,008本、1年間で1万2,096本の削減効果があったという結果に。空のペットボトルが1本25gとすると、年間約302kgの削減に相当。これは、同ビルの1フロア当たりのペットボトル排出量である約840kg/年の約3分の1に相当するという。
同社では、この取り組みを赤坂・品川エリアで、エリアマネジメントの一環として広めていきたい考え。
なお、マイボトル利用によるペットボトルの削減効果を実感してもらうため、10月28日~11月8日、同ビル2階において海洋プラスチックを溶かして板状にしたもの約300kg分をタワー状に組み上げた、現代美術作家の藤元 明氏の作品「海のバベル」を展示している。