不動産ニュース / 開発・分譲

2016/12/20

震災を機に見直した千葉・新浦安の大規模複合開発、本格始動/スターツグループ

「上質な住宅の提供はもちろん、防災に向けた強固な地盤形成と循環型のまちづくりを進めることで、新浦安の福祉や防災、生活の拠点となるようなまちを目指す」と話す、引地専務
「上質な住宅の提供はもちろん、防災に向けた強固な地盤形成と循環型のまちづくりを進めることで、新浦安の福祉や防災、生活の拠点となるようなまちを目指す」と話す、引地専務

 スターツグループは、かねてより進めてきた大規模開発「新浦安プロジェクト」を本格始動する。

 開発面積約5ha。JR「新浦安」駅徒歩約15分に位置。分譲マンション・戸建て、認可保育園と介護付有料老人ホームといった福祉施設、集会所、公園、遊歩道などからなる複合開発。住宅は同社が展開するハイクラスブランド「QUWON(クオン)」を投入する(詳細は12月19日付のニュース参照)。ネーミングは「タイムレスタウン新浦安」とした。

 同地は、2011年時点で販売開始を予定していた分譲地だったが、東日本大震災発生で一部液状化が発生したことなどから、販売を中断。産・官・学のコンソーシアムを設立し、震災被害内容を踏まえて、全面的にまちづくり計画を見直した。防災はもちろん、高齢化への対応や多世代交流、健康配慮といったテーマでのまちづくりなどの手法を検討。同地をモデル街区に、周辺の行政、団体、民間の活動・施設やスターツグループの既存施設・サービスなどと連携しながら「スマートウェルネス住宅・シティ」「地域包括ネットワーク」の形成を目指すこととした。

 「タイムレスタウン新浦安」では、世代を超えて交流が生まれ、住み継がれることをコンセプトに、若い世代向けの分譲住宅と高齢者向け施設、保育園を開発することに。高齢者向け施設と保育園は隣接させる「幼老一体型複合福祉施設」とすることで、世代間交流の促進に拍車をかける。
 周辺住民も立ち寄りやすいよう、開発地外周には健康促進を目的とした遊歩道を整備するほか、川沿いに公園も開発する。

 また、新浦安エリアは震災時に液状化被害等が深刻だったため、今後の地震発生時に備えて、地盤改良工事を実施。敷地全体では「静的締固め砂杭工法」を採用、約1万8,000本のパイプを用いて地盤を締め固めた。川に面した護岸側境界部の地盤には約2,300本の柱を打ち込み、格子状の固化壁を形成し、地盤変形を抑制する。東日本大震災相当の地震があっても、地盤がほぼ傾斜しない仕様とした。
 分譲マンション用地は年内に、全体は17年2月に工事が完了する予定。

 そのほか、タウンマネジメントも実施する方針。マンション管理組合、戸建管理組合、施設の3団体で「全体管理組合」を発足し、全体が一体となって運営できる環境を整備。同社による各種コミュニティプログラムなど、タウンサービスを永続的に運営する。また、その効果を検証・発信するため、入居者には、各住戸にタブレットを配布。それをもとにまちづくりの指針等を作成する予定。デバイスを通じて、健康や医療、エンターテイメントの情報提供等も実施。行政サービスとの連携も視野に入れている。

 すでに福祉施設は着工しており、17年1月にはマンションを着工する予定。施設は18年4月、マンションは18年9月、戸建ては19年秋頃、入居開始予定。

 19日の会見で、スターツデベロップメント(株)専務取締役・引地 豊氏は「防災に向けた強固な地盤形成と循環型のまちづくりを進めることで、新浦安の福祉や防災、生活の拠点となるようなまちを目指す」と述べた。

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