森ビル(株)は20日、「2016年 東京23区オフィスニーズに関する調査」結果を発表した。
東京23区に本社が立地する企業で資本金上位の1万社を対象に、今後の新規賃借予定等のオフィス需要に関するアンケートをDM等で行なっているもの。03年より毎年発表している。調査期間は10月3~28日。有効回答社数は2,080社。
新規賃借意向のある企業は22%と例年並み。新規賃借予定面積を「拡大」と答えたのは64%(前年比5ポイント増)と、同設問をスタートした09年以来、過去最高の割合。企業のオフィス需要は潜在的に高まっているとした。大企業を中心とした300~500坪の大規模ビルニーズはもちろん、100~200坪の優良な中小ビルにも人気が集まっている傾向にあるとした。
新規賃借予定時期は「1年以内」(同1ポイント減)が2年連続で減少したものの、約3割を占めた。「3年以降」(同2ポイント増)が2年連続で増加。「空室率が3%前後ということもあり良いスペースが見つからない」「今後好立地での大量供給が控えている」といった影響があるとし、長期的に検討している企業が増えてきているとした。
新規賃借する理由は「業容・人員拡大」(同5ポイント減)が4年連続1位。次いで「1フロア面積が大きなビルに移りたい」(同6ポイント増)が、07年以来、9年ぶりに2位にランクインした。そのほか、上位に「立地の良いビルへ移りたい」(同5ポイント減)、「耐震性の優れたビルに移りたい」(同1ポイント減)が入るなど前向きなオフィス移転のトレンドが継続。また、「賃料の安いビルに移りたい」(同6ポイント増)が上位に入っているが、スペースや業務効率を踏まえての意向でネガティブな理由ではないとした。
同社営業本部マーケティング部部長の山口 嘉寿明氏は「IT企業を中心に、ほぼ全体の業種で人員拡大等の意向があり、前向きな理由を要因に、切迫はしていないがオフィス移転を検討開始した企業が増えている傾向にある」と述べた。
新規賃借する希望エリアは、環状2号線沿いの「新橋」(同7ポイント増)、「虎ノ門」(同2ポイント増)、「東京」~「品川」駅間に位置する「浜松町」(同5ポイント増)、「田町」(同8ポイント増)といった港区の人気が高まった。そのほか、「渋谷」「新宿」といった再開発などが進み、まちの変貌が期待できるエリアのポイントが全体的に高まった。
1坪当たり賃料では、現在、「2万円未満」と答えた企業が約5割で、新規賃借する場合でも同等の賃料で想定している企業がほとんどで、拡大意向はあるものの、コスト面でシビアな意識のある企業が多いとした。
過去1年間の賃料改定については、賃料改定があったと答えたのが18%。そのうち増額改定だったのが79%(同16ポイント増)で、07年の調査開始以来最大の割合となった。
今後「ワーカー数が増加する」と答えた企業は40%で、一人当たりのワークスペースが不足している企業は28%だった。今後のワークスペースの方針を効率化と拡充に分けてヒアリングしたところ、効率化のポイントが46ポイントと、拡充の31ポイントより高い結果となった。
今後取り組みたいオフィス環境づくりでは、「オープンミーティングスペース」「フリーアドレス」が上位にとなり、「スペースを効率的に使いながら生産性を高めたい」「ホスピタリティを充実させ優秀な人材を確保したい」意向がみてとれた。