不動産ニュース / 政策・制度

2017/2/10

「新たな住宅セーフティネット制度」検討会、最終とりまとめ案/国交省

 国土交通省は10日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会の「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」(委員長:浅見泰司東京大学大学院工学系研究科教授)の第4回の会合を開催、最終とりまとめ案を発表した。

 案では、(1)新たなセーフティネット住宅、(2)住宅確保要配慮者に対する居住支援の強化、(3)地方公共団体における制度運営、についての具体的な施策の方向性を示した。

 新たなセーフティネット住宅については、「耐震性など最低限の居住環境を備える」、「共同居住型住宅の場合の専有部分の最低面積基準の設定など安全性等を確保する」、「住宅確保要配慮者の入居を拒まない」、「入居者が生活保護受給者である場合には、住宅扶助の代理納付の活用を促進する」など円滑な入居を確保する。また、管理を事業者に委託する場合、一定の能力等を備えた適正な事業者による管理の推進など居住できる仕組みを構築。空き家・空き室の活用場合の改修工事についての補助や融資による支援の実施などを行なっていく。

 住宅確保要配慮者に対する居住支援の強化については、居住支援の充実に向け、民間事業者等との連携の促進、地方公共団体の住宅部局と福祉部局の間の情報共有や連携の促進、市町村単位での居住支援協議会設立、都道府県の協議会への市町村の参加の促進、都道府県が居住支援を行なう団体等を指定することなどにより積極的な居住支援を促す。

 地方公共団体における制度運営については、都道府県と市町村が地域の実情を踏まえ、計画的にセーフティネット住宅の提供を促進するとともに、適切に役割分担をすることができる仕組みとする。また、改修や家賃の低廉化等への支援を行なう場合には、住宅確保要配慮者の状況も踏まえ、地方公共団体が対象や期間を設定可能とするなど、地域の実情や、国や地方の財政状況等を踏まえた持続可能な仕組みとすること、などを打ち出した。

 今回の最終とりまとめ案について委員からは特に異議は唱えられなかったが、「低所得者の入居負担軽減のための措置として、地方が積極的に補助を進められるよう国が支援する体制が必要」「シェアハウスなど、一般の入居者と要配慮者が居住する場合の管理について具体的に決めておいた方がよい」「居住支援協議会が1つでも多く設置されるよう広めてほしい」「この制度についての情報が対象者にきちんと届けるような方法を考える必要がある」など、制度施行後に関する意見が挙げられた。

 閉会に当たり国土交通省住宅局長の由木文彦氏は「この制度は大変期待が大きい。つくることが目的ではなく、使うところまでしっかり見届けたい。委員の方からも施行後の意見をいただいたが、直ちに取り掛かれるもの、検討が必要なものとある。できる限りさまざまな省庁、業界団体などと意見交換をしながら実効性が上がるよう努めていきたい」と挨拶した。

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