不動産ニュース / 政策・制度

2017/2/15

「都市のスポンジ化」防ぐための政策課題等を議論/国交省

 国土交通省は15日、社会資本整備審議会都市計画・歴史的風土分科会都市計画部会都市計画基本問題小委員会(委員長:中井検裕氏・東京工業大学大学院社会理工学研究科教授)の第1回会合を開いた。

 都市の社会問題の解決にはどのような方策が必要かというアプローチで、計画制度だけでなく事業や運用改善など幅広い観点から検討する。まず、人口減少社会で顕在化しつつある「都市のスポンジ化」をテーマとする。

 「都市のスポンジ化」とは、都市の内部において、スポンジの小さな孔のように、空き地、空き家等が、小さな敷地単位で、時間的・空間的にランダムに発生することを指し、都市の密度低下が、サービス産業の生産性の低下、行政サービスの非効率化、まちの魅力の低下、コミュニティの存続危機などの悪影響を誘発すると懸念されている。

 スポンジ化は、国の都市政策の当面の目標である「コンパクトシティ」へ移行する過渡期の事象であるものの、そのメリットが相殺される可能性も大きい。そこで、立地適正化計画制度など現行の都市計画制度に加え、現行の都市計画制度が備えていない政策手法や、都市空間のマネジメントを担う推進役として地域住民や民間団体等が関与する仕組み、余剰地の保有・流通を担う主体の活動推進、土地の状況や利用価値に見合った適正利用を促す仕組みづくりなど、多様な視点で課題解決策の検討を進めていく。

 当面「都市のスポンジ化」をテーマとしていくが、今後も個別テーマごとに深掘りし、全体の検討を待たず、順次方策をとりまとめ、必要な制度化をアウトプット。4、5年かけて、都市計画が対処すべき課題全体を射程にしていく。月1回会合を開き、6月に中間とりまとめを行なう。

 今回の会合では、議論の方向性の確認に加え、既存建物のリノベーションとコミュニティ再生ビジネスを手掛ける(株)リビタの事業戦略と、市街地の空き地・空家をNPO等と連携しながら再生している山形県鶴岡市の「つるおかランド・バンク」の取り組み事例が紹介された。

 会合の冒頭挨拶した同省都市局長の栗田卓也氏は「都市計画法が制定されて50年。人口動態の変化で、土地利用のあり方、都市のあり方が変化している中、意識を新たにする必要がある。検討するテーマは大きく構えており1回で答えの出るようなものではないが、具体的な答えが出せるものからアウトプットしていきたい」と抱負を述べた。

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