不動産ニュース / 政策・制度

2017/2/15

ユーザー視点の鑑定評価制度のあり方について意見交換/国交省

懇談会の様子
懇談会の様子

 国土交通省は14日、「不動産鑑定評価制度懇談会」(座長:山野目 章夫早稲田大学大学院法務研究科教授)の第4回目の会合を開催した。

 2016年8月4日に国土審議会土地政策分科会企画部会にてとりまとめられた「土地政策の新たな方向性2016」において示された不動産の最適活用や創造的活用の実現に向け、有識者により懇談会を設置。不動産鑑定評価制度の充実に関して取り組むべき課題や施策等について議論を進めている。

 今回の会合では、不動産鑑定評価の依頼者・利用者を対象に実施したアンケート結果を基に、ユーザー視点に立った制度のあり方について意見を交換。アンケート結果からは、ユーザーが「実績のほかに専門性・信頼性を判断する材料がない」「不動産鑑定士の過去の実績や経験、精通する地域・分野が分からない」といった情報の少なさ、「鑑定業者によって鑑定評価書の様式にばらつきがある」「鑑定評価書等の記載も含めて説明が分かりにくい」などの理解しにくさ、「組織・審査体制が不明確」「依頼者からのプレッシャーに対する対応が不十分」など信頼性に対する不安を感じていると報告。これらに対応するため、「開示情報の内容の充実」「鑑定評価に関する依頼者・利用者向けマニュアルの作成」「鑑定評価書の様式等の共通化」や「重要な内容について概要書の活用や口頭による説明の促進」「不動産鑑定士等の団体における相談体制の確立」など具体的な対応方策を示した。

 また鑑定評価における先進的な取り組みについて紹介するとともに、鑑定機評価に関する最先端の理論・技術の研究、新分野の開拓などを積極的に後押しするため、研究を募集・発表する機会を設け、優れた研究等に対し表彰・公表、併せて最先端の理論・技術を鑑定評価基準へ反映させる仕組みについて検討することを提案した。

 委員から、「マニュアル作成は鑑定士にも有効。依頼を受けた際にどこに気をつけなければいけないかの指標になる」「最近では依頼者の傾向や鑑定士のありよう、業務の範囲なども変わってきている。それらを考慮して検討していくことが必要」「顧客層により必要な情報や理解の度合いも違う。共通の書式をつくればよいというだけでなく、共通化するなら顧客層ごとに異なったものを作る必要がある」「組織・審査体制の構築をするには今の業界構造を見直す必要がある」「ユーザーの組織・審査体制が不明確という課題に対するソリューションを提示してほしい」などの意見が挙がった。

 次回は3月13日に開催。今回の議論を踏まえ、とりまとめに向け意見交換を行なう方針。

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