不動産ニュース / 政策・制度

2017/4/24

不動産投資市場成長へ、具体策を検討

 国土交通省は24日、7回目となる「不動産投資市場政策懇談会」(座長:牛島総合法律事務所弁護士・田村 幸太郎氏)を開催。不動産投資市場の成長に向けた方策について検討を行なった。

 冒頭、同省土地・建設産業局長の谷脇 暁氏は、「今回の懇談会では2020年頃にリート等の資産総額を約30兆円に倍増するという計画に対し、具体的なアクションプランを検討していきたいと考えている。不動産投資市場の魅力的かつ安定的な成長を促すために忌憚のないご意見を賜りたい」と述べた。

 懇談会では事務局が最近の政府の取り組み等について説明した上で、不動産投資市場成長に向けたアクションプラン(仮称)に向けた論点(案)を提示。経済の三要素(ヒト・モノ・カネ)のうち「ヒト」については働き方改革、「カネ」についてはマイナス金利付き量的・質的金融緩和が実施されているが、「モノ」についても大きな比重を占める土地・不動産分野の改革において、不動産投資市場の魅力的かつ安定的な成長を促すことが必須ではないかとし、そのために必要なのは「企業のCRE改革」「リート市場等の改革」「不動産投資家の投資環境の改革」の3つであると整理した。

 「企業CRE改革」では、これまでCREの有効活用に積極的でなかった業界の取り組みを促進するためフォーラムの設置・運営を行なうことやCREの有効活用に係るノウハウの乏しい企業のためにアウトソース先の不動産投資顧問サービス業の育成、あるいはインハウス的に不動産部門の育成を行なう仕組みづくり等の必要性を挙げた。「リート市場等の改革」については、JREITの物件の多様化、CREの出口戦略としての私募リートの設立母体の多様化をどのように図るべきか、ESGに配慮した不動産の普及を促進する必要があるのではないか、またそのような不動産への投資促進のため、認証制度や鑑定評価のあり方はどのように対応していくべきかなどを指摘。「不動産投資家の投資環境の改革」については、機関投資家による不動産投資判断を促進するための環境づくり、不動産投資判断に必要となる指標の充実をどのように図るべきか、などを論点として挙げた。

 委員からは、「不動産投資市場の安定的な成長を促すことは大切であるというのは間違いないが、どのようにそれを促していくか、どのような不動産が高度化されると利用する企業の利便性が高まるのかといったことをもう少し深堀した方がよいのではないか」「CREに自発的に取り組んでもらうには、背中を後押しするようなインセンティブの付与が必要ではないか」といった意見のほか、「アセットマネージャーの数と層の厚みが重要ポイント」「どこにいっても通用するようなアセットマネージャがいない」など人材に関しての課題も多く挙げられた。

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