不動産ニュース / 仲介・管理

2017/5/30

社内改革にめど、反転攻勢へ/三井リアル

「採用を続けてきた新卒社員がしっかり育ったことで、
店舗展開も可能となった」などと話す、山代社長

 三井不動産リアルティ(株)代表取締役社長の山代裕彦氏は25日、専門誌記者と会見し、2017年度の事業戦略等について語った。

 山代社長は、取扱高、取扱件数、手数料収入とも前年度を上回った16年度の業績について「増収増益という最低限の目標は達成できた。価格の上昇は止まると思い、件数を積み上げるよう指示していたが、価格の上昇は続いた。ただ、第4四半期には勢いが落ちている。店舗も8店舗新設できた。駐車場事業(リパーク)も、事業地数、駐車台数とも増やせた」などと振り返った。

 今年度以降の事業戦略については「三井不動産リアルティとして、リハウス会社と一つになって5年、社内制度の統一や固定給の採用、新卒採用へのシフト、営業現場でのユニット制の導入などといった社内改革を進め、ようやく第1弾のめどがついた。新卒採用者も育ってきた。今後は第2段階として、中長期的な視点で事業を見直していく最初の年としたい」とした。

 事業戦略のキーワードとしては「人材」「デジタル」「連携」を挙げた。「人材」は、新卒採用の継続と研修強化による業務スキル向上、労働環境改善などをテーマとする。「20年には、全社員の3分の1が新卒組となる。女性社員も増えている。彼らが働きがいを感じる仕組みを常に考えていかなくてはならない。ユニット制の導入はサービス品質の統一と情報共有が目的だが、チームでどう仕事を効率化するかという狙いもある」。

 その働き方改革に「デジタル」を生かす。「ICTの力を使って業務を効率化し、残業を減らしていく。お客さまとの接点も、紙媒体だけでなくネットでリアルタイムにお知らせするようなものとする。ただ、完全にネット仲介できるかといえば、安心感は人がいないと生まれにくい。業務時間を短縮し、精度を高め、お客さま満足を向上させるためにデジタルを活用していく」。

 「連携」は社内と三井不動産グループの両面から。「駐車場が解約となり、他社が販売したという話もよくある。事業間連携を密にする仕組みが必要。人ベースではなくシステムで、仲介だけでなく、会社総力で勝負する仕組みが必要」。グループ連携は、今春三井不動産が発足させた「住まいと暮らしの連携本部」を核にしたワンストップサービスを挙げた。「全国280店舗あるリハウスが一番お客さまとの接点がある。グループ連携の先兵となる」。

 リハウスネットワークの拡充については、「都心の空白地帯や関西など、人材の問題で出店できなかったところを中心に出店していく」としたほか、インスペクション説明義務に係る来春の業法改正をにらみ、インスペクション・瑕疵保証や設備保証をパッケージした「リハウス360」を原則すべての物件に提供していくとした。

 また、駐車場事業では、リパーク事業本部から「シェアリング事業本部」への改組を機に、カーシェアリングにとどまらない会員制のシェアリングエコノミービジネス事業の検討を開始するとした。

記事のキーワード 一覧

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2024年5月号
住宅確保要配慮者を支援しつつオーナーにも配慮するには?
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2024/4/5

「月刊不動産流通2024年5月号」発売開始!

月刊不動産流通2024年5月号」の発売を開始しました。

さまざまな事情を抱える人々が、安定的な生活を送るために、不動産事業者ができることとはなんでしょうか?今回の特集「『賃貸仲介・管理業の未来』Part 7 住宅弱者を支える 」では、部屋探しのみならず、日々の暮らしの支援まで取り組む事業者を紹介します。