不動産ニュース / 調査・統計データ

2017/7/21

アジア太平洋は上昇サイクルの終わりに近づく/LIM

 ラサール インベストメント マネージメント インク(LIM)はこのほど、「2017年グローバル不動産投資戦略」を発表。20日、ラサール不動産投資顧問(株)がマスコミ向けに説明会を開催した。

 グローバルな市場概況については、2月に発表した長期トレンドの変化と“乱気流”に備える必要があるとの発表を踏まえ、「その姿勢は維持しているものの、政治、地政学的リスクも含めて注視していく必要がある」(同社アジア太平洋地域投資戦略・リサーチ責任者・エリーシャ・セ氏)と解説した。

 北米については企業や消費者などが持つ景気期待感を反映する「ソフトデータ」は高まる一方で、売上高や価格などの経済活動を反映する指数などの「ハードデータ」は弱く、二者の乖離があると指摘。不動産ファンダメンタルズの動きは期待通りで、主要都市の物流施設、良い学内の郊外賃貸住宅、クリエイティブな空間を持つ都市中心部のオフィスなどへの投資を推奨している。

 欧州は、政治リスクはいったん減少し、経済は回復傾向。イギリスについてはEU離脱問題での不確実性が残されているものの穏やかな離脱となる見通しが立ったことから、経済も回復基調に。推奨投資先は、欧州ではパリやコペンハーゲンといった都市中心部に立地するDTUプラスE(人口動態・技術革新・都市化プラス環境)を捉えたオフィスや商業施設、都市部やハブの物流施設などを挙げた。

 アジア太平洋では、2019年まで安定した見通しを示し、コア物件に対する投資意欲は旺盛であるものの投資機会は短期的に不足しており、キャップレートは当面低い水準が続くと述べた。不動産価格の上昇サイクルは終わりに近づいているため、不確実性が高まると予想。

 推奨の投資先は、「日本、中国シンガポール、香港の生活必需品主体の商業施設」「日本、中国ハブ地域、香港、ソウル、シンガポールの最新物流施設」「日本の都市中心部の賃貸住宅」を示した。また、「都心部の利回りが低下し、08年からキャップレートが低下している。しかしグレードBのオフィスビルは賃料上昇の勢いもグレードAほど落ちていない」(同社日本・韓国投資戦略リサーチ責任者・高野靖央氏)ことから、好立地のBクラスオフィスも推奨対象として挙げた。

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キャップレート(Cap Rate)

還元利回りのこと。資産の収益から資産価格を算出する際に用いる利率をいう。

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