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2017/9/12

「所有者不明土地問題」解決へ、特別部会が初会合

 いわゆる「所有者不明土地問題」解決に向けた制度の方向性を話し合う「国土審議会土地政策分科会特別部会」の初会合が、12日開催された。

 不動産登記簿等の所有者台帳により所有者が直ちに判明しない、または判明しても連絡がつかない「所有者不明土地」は、人口減少や超高齢化社会の進展に伴い増加。公共や民間事業でこれら土地の取得・利用をする際、所有者の探索に時間とコストがかかっている。特に、市町村の公共事業において土地が直ちに利用できないことから、その推進に支障が生じる状況が発生している。そこで、こうした土地の所有者の探索を円滑にする制度、円滑に利用するための制度の方向性や、中長期的課題である人口減少社会における土地制度のあり方について議論する場として特別部会を立ち上げた。部会長には、早稲田大学大学院法務研究科教授の山野目 章夫氏が就任した。

 会合では、所有者不明土地の現況と課題について、参加者が情報共有した。平成28年度地籍調査で、不動産登記簿上で所有者の所在が確認できない土地の割合は20%前後で、行政庁が探索した結果、最終的に所在が不明な土地の割合は0.41%となった。また、全国398市町村に用地取得事務の実態等を調査したところ、市町村の用地取得が難航している理由の2位に「所有者不明土地」があがったほか、所有者不明土地問題による事務負担増加の理由では、6割が「権利者特定等の難航」を挙げた。
 こうしたことから、権利者に関する情報へのアクセスを容易にする、相続によって生じた多数共有地などで所有者探索を合理的な範囲に絞る、また公共事業の土地収用や不在者財産管理制度など民法上の対応方法、土地区画整理事業における公示送達、固定資産税情報など有益な所有者情報へのアクセスなど既存制度の運用改善等が必要とした。

 一方、公共事業等による土地収用については、個人の財産権・所有権、公共の福祉に関する憲法・民法等における考え方など法制的な観点を踏まえた検討が必要なことから、部会の下に学識者によるワーキンググループを設置し集中的検討を行なっていく。

 参加した委員からは「公共的や合理的といった定義は何なのか、プロセスの透明性が必要」「公共の目的について、明確な基準が必要」「事業主体が自治体か民間かを区別する意味はない」「土地を取り上げられる国民の感情にも配慮し、所有者不明土地問題はそれだけ深刻だという事を、広く国民にアピールする必要がある」などの意見が上がった。

 部会長の山野目氏は「明示的な反対者がいないにもかかわらず、利用するために多大なコストを要する所有者不明土地の現況、特性を踏まえ、所有者の探索を円滑化する仕組みや収用制度の簡素化・円滑化等を速やかに検討していく。また、長期的取り組みとして所有者不明土地の発生を予防する仕組みや放棄された土地の管理責任の所在等について抜本的な検討を行なう必要がある」とし「バブルの絶頂期にできた土地基本法も30年が経過し、土地は富を生むだけでなく所有していることが重荷になるケースも出ているなど、大きな転換期を迎えた。ここで上手にかじを切っておくことで、今後の土地政策の展望が期待できる」と抱負を語った。

 部会は、12月上旬までにあと3回会合を開き、年内に中間とりまとめを行なう方針。

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