国立研究開発法人建築研究所は2日、第15回専門紙記者懇談会を開催。これまでの取り組みについて成果報告を行なった。
成果報告があった研究は、「住宅の省エネ改修の設計と評価について」、「ドローンを活用した建物点検調査技術の開発について」等7つ。
「住宅の省エネ改修の設計と評価について」においては、既存住宅の場合、新築に比べて断熱建材の配置等が難しいことなどを課題に挙げ、課題解消のために(一財)建築環境・省エネルギー機構および国土交通省技術政策総合研究所と共同で、実務者向け仕様書「省エネルギー改修のガイドライン」を制作している旨を報告した。
同ガイドラインは、施主のニーズを把握するヒアリングするシートや、既存住宅躯体の調査方法の解説で構成。制作にあたり、建築研究所は1980年当時の技術を再現した戸建住宅を建設。改修技術を施行し問題点を整理、独自の工法も開発した。2018年1月に完成予定で、各団体が開催する講習のテキストとして活用していく。
「ドローン技術を活用した建物点検調査技術について」の研究は、既存建築ストックの持続的な利活用を行なう上で点検調査技術や維持管理方法の合理化や省力化が求められている中で注目されている「ドローン活用点検」のスペックを既存点検方法と比較し、優位性を検討する。
同研究所敷地内の6階建て実験住宅を用い、高所作業点検・地上撮影点検・ドローン撮影点検を実施。ドローン撮影点検は高所作業点検に比べ、点検時間が4分の1程度で済む等のメリットがある一方、ヒューマンエラーによる墜落等の危険性を課題点に挙げた。課題の解消に向け、同研究所は17年9月に(一社)日本建築ドローン協会を設立し今後、建築分野においてドローン技術を活用可能な人材育成・技術支援等に寄与する方針だという。