不動産ニュース / 政策・制度

2018/4/10

多様な働き方・暮らし方実現するまちづくりを議論

 国土交通省は10日、「働き方改革を支える今後の不動産のあり方検討会」(座長:中川雅之日本大学教授)の4回目となる会合を開いた。

 今回は、働き方や暮らし方の多様化に応えることができるまちづくりのあり方をテーマに、民間企業からのヒアリングと委員からの発表を行なった。

 民間企業を代表して、東京急行電鉄(株)は、沿線価値向上の取り組みである家ナカ事業「東急ベル」と、サテライトオフィス事業「NewWork」を解説した。前者は、沿線住民に対し、ネットスーパーや家事代行、ハウスクリーニングなど50以上の「家ナカサービス」を提供するもの。パソコン等で気軽に利用できるほか、専門スタッフがユーザー宅を訪問して、さらなるサービスニーズをヒアリングする「御用聞き」をすることで、グループのCRM機能を担っている。利用者は圧倒的に女性が多く、「ネットスーパーは、家族を送り出した午前中と仕事から帰宅後の就寝前にアクセスが多く、忙しい女性の味方になっている」とした。
 一方の「NewWork」は、自社のテレワーク導入に係るサテライトオフィスを、沿線の法人にも開放し、自由な働き方を支援するもの。現在沿線中心に17店舗を展開するほか、全国に82の提携店を持つ。上長への事前報告があればサテライトオフィスへの直行直帰等も認めており、本社の机を1,500人分から1,000人分へ減らしたという。また、利用を検討する法人も相次いでおり施設展開を急いでいる。「通勤時間が8割減ったという声や、カフェと違い仕事に集中できる、モチベーションが高まるという声をいただいている」という。

 瀬田史彦委員(東京大学大学院准教授)は、働き方の多様化のためのまちづくりと空間設計について持論を展開。「多くの人は雇用のある場所で居住地を選ぶため、働き方や生活は地方の方が豊かということもある。働き方改革は、経済効率を多少犠牲にしてでも暮らし方を改善する取り組みだ」とし、「技術の進化と歩調を合わせながら“距離”の問題を着実に克服する必要がある。それが克服できれば、団地や農村での新たな働き方が実現する。そのためにも、国土政策や地域ルール作りなど、公のバックアップが必要」とした。

 井上高志委員((株)LIFULL代表取締役)は、同社が参画するNPO法人で提唱している「LivingAnywhere」の概念について解説。「好きな場所に住み、働き、学ぶ。テクノロジーの進化が、お金や場所、時間の制限から解放してくれる」とし、既存のインフラに頼らない「オフグリッド」の暮らしを実現するハイテクツールや、地方の廃校を利用した自給自足の生活を紹介した。

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