不動産ニュース / IT・情報サービス

2018/8/1

日本初、ドローンで住宅へAED搬送/東急不

空からAEDを住宅に送り届けるドローン

 東急不動産(株)は7月31日、同社が運営する季美の森ゴルフ場(千葉県大網白里市)および隣接する住宅地へドローンでAEDを搬送する実証実験を行なった。

 季美の森は、総面積約197haに、ゴルフ場と戸建住宅が一体開発されたまち。事業開始から25年が経過し、少子高齢化が進展してきたことから、まちの活性化を目的に高齢化社会対応型スマートコミュニティの実現を目指す住民コミュニティや大学、研究機関、民間企業との共同実証実験拠点「季美の森共創LAB」を2017年に開設。Hondaの次世代電動パーソナルモビリティによるカーシェアリング等を実施してきた。今回の取り組みも、その一環。

 住民活動組織「ミライズキミノモリ」の「ドローンを使った住民サービスをしてみたい」というアイディアを基に、東急不動産グループの次世代事業研究開発を担う(株)東急不動産R&Dセンターが中心となり、(一財)日本AED財団、オムロンヘルスケア(株)、テラドローン(株)が参画。AEDが近くにないゴルフコース上や季美の森内の住宅へ、ドローンを使うことでどれだけ迅速にAEDが搬送できるかを実験した。住宅へのドローンでのAED搬送実験は、日本初の試み。

 実験では、ゴルフ場ゲストハウスに設置されているAEDを、ゴルフコースグリーン上(直線距離450m)およびフェアウェイフロントの住宅(同350m)にドローンで搬送。急病人確認の緊急連絡を受け準備、ドローンが現地にAEDを送り届け、AEDを作動させるまでの時間を計測。ゴルフコースではカートによる搬送時間と、住宅では一般的な救急車到着時間と比較した。実験の結果、ゴルフコース上へは、急病人確認から2分11秒でAEDを作動させることができた。カート使用時は2分22秒だった。住宅は同2分31秒で、一般的に到着まで10分以上かかると言われる消防署への連絡より圧倒的に早かった。

 実験結果について日本AED財団の太田修司氏(東京慈恵会医科大学救急医学講座講師)は「ドローンによる搬送は、距離が伸びるほど、またテクニカルスキルが向上するほど優位になる。心停止の救命率は1分ごとに10%低下するため、郊外や大きなスポーツ施設など、AEDが適正配置できないエリアでは、ドローンを使うことで更なる救命率向上が期待できる」と評した。

 東急不動産は、AED搬送だけでなく、宅配など他用途でのドローン活用を含め、継続的な実証実験を行なっていく方針。

クラブハウスを飛び立つドローン
グリーン上にAEDが届く。カートよりも10秒以上到着が早かった

この記事の用語

IoT(インターネット・オブ・シングス)

Internet of Things。モノが人を介することなく相互に情報をやりとりする概念をいう。

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