不動産ニュース / 政策・制度

2019/3/27

長期優良住宅、性能表示制度との一体運用等で議論

 国土交通省は27日、「長期優良住宅制度のあり方に関する検討会」(座長:松村秀一東京大学大学院工学系研究科特任教授)の5回目となる会合を開いた。

 今回の会合では、長期優良住宅制度のさらなる普及を図るための課題として、住宅性能表示制度と長期優良住宅制度の一体的運用の可能性、また長期優良住宅認定率がわずか0.3%にとどまっている共同住宅の認定促進策について議論した。

 前者では、登録住宅性能評価機関が審査する住宅性能表示制度と、同機関と所管行政庁の二段階で審査する長期優良住宅制度の審査を、すべて住宅性能評価の枠組みで評価するための課題を抽出。それぞれ別々の評価項目をどう整合性を持たせるか、所管行政庁しか指導・監督権限がない維持保全計画や、所管行政庁の長期優良住宅認定制度を前提とした税制等の特例措置への対応といった課題が出されたほか、長期優良住宅認定だけなら6,000円前後で済むものが、住宅性能評価(設計・建設)と一体化することで10万円前後までコストアップする可能性も指摘された。また、基準は違うものの評価項目が似通っている長期使用構造等の評価だけ一体化することで、審査手続きの合理化が図れるのではとの提案もなされた。

 後者では、認定基準のさらなる合理化と、認定の枠組みについて議論。建設性能評価を受けた共同住宅と長期優良住宅の長期使用構造等の基準を比較した結果、著しく乖離していたのは「耐震性」で、この基準を「制震構造」や限界耐力計算以外の方法での評価ができないかといった提案がなされた。欽定の枠組みでは、現在の認定基準が住棟単位での項目と住戸単位の項目が混在していることから、棟単位での認定やスケルトンは棟単位でインフィルは住戸単位でという2段階での認定が考えられないかという提案や、維持保全関連の認定項目はハードだけでなくソフト面の取り組みが評価できないかといった提案がなされた。一方で、長期優良住宅をリフォームした際、棟単位の計画変更手続きをどう簡素化するか、また既存住宅の認定基準が新築時の認定基準よりハードルが低いという「ねじれ」がある中でどう普及を図るかといった課題も示された。

 5月13日の次回会合では、長期優良住宅が流通時に評価されるための環境整備や中小事業者に認定取得を促進するための課題等について議論する予定。

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長期優良住宅

長期にわたり使用可能な質の高い住宅をいう。その具体的な基準は明確には定まっていないが、単に物理的に長寿命であるだけでなく、ライフスタイルの変化などへの対応、住環境への配慮など、社会的に長寿命であることが必要であるとされる。

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