不動産ニュース / その他

2019/4/2

不動産・住宅各社で入社式(その2)

 新年度を迎え、不動産・住宅各社が入社式を執り行なった。各社入社式等での社長挨拶の要旨は、以下の通り(順不同、敬称略)。4月1日付の記事も参照。

東急グループ代表 野本弘文氏(東京急行電鉄(株)取締役会長)
東急不動産ホールディングス(株)代表取締役社長 大隈郁仁氏
森トラスト(株)代表取締役社長 伊達 美和子氏
三井不動産リアルティ(株)代表取締役社長 山代裕彦氏
ポラスグループ代表 中内 晃次郎氏

◆東急グループ代表 野本弘文氏(東京急行電鉄(株)取締役会長)

 東急グループは、交通事業をはじめ、不動産事業、生活サービス事業、ホテル・リゾート事業など、お客さまの生活に密着した幅広い分野で事業を展開しています。
 東急グループはさまざまな事業を行っており、皆さんのビジネスパーソンとしての夢をかなえる土壌は十分にあります。しかし、「夢」や「願望」は誰でも持つことは出来ますが、強い「志」を持って、自ら考え行動していかなければ、決して「夢の実現」はありません。皆さんのチャレンジを大いに歓迎すると同時に、皆さんの「夢の実現」が、東急グループそして世の中の発展に貢献するものであることを願っています。

 現在、渋谷では、東急グループの長年の夢である渋谷駅周辺の再開発事業の象徴とも言える「渋谷スクランブルスクエア東棟」が、その姿を現してきています。秋にはアジアで初めてとなるラグビーワールドカップが開催され、2020年夏には東京オリンピック・パラリンピックが開催されるなど、世界中の注目が日本に集まり、日本の魅力を世界に向けて発信する大きなチャンスになります。まさに「世界の渋谷へ」、そして「日本一訪れたい街 渋谷」の実現に大きく近づくものと期待しています。
 開発だけではなく、鉄道はもちろん、リテールもホテルも東急グループ全ての事業において、多くの先輩たちが長年にわたって数々の困難を乗り越え、会社の夢、そして自分の夢の実現のため、情熱と忍耐を持って努力したからこそ今日があることを覚えておいてください。

 大きな夢の実現は、個人一人の力では困難でも、同じ夢を語りあい、そしてともに行動する仲間がいれば、可能になります。世の中や会社が必要とすることであれば、諦めなければ、いつか、必ず実現します。
 そのためにも、皆さんは、グループ各社でいろいろな仕事に就くと思いますが、言われたままやるのではなく、「何のためにその仕事をやるのか」、「何故そうしなければならないのか」、「もっと良い方法はないのか」、仕事の目的を是非考えて行動してください。すべて自分を試し、鍛えてくれる機会になると思います。

 仕事の目的が分かれば、それを達成する手段は幾通りも考えられます。どうすれば効率が上がるか、どうすればより面白くなるか、自ら考え、行動してください。行動は経験に繋がり、経験は「想像力」を豊かにします。そして想像力を具現化したのがクリエイティブの「創造力」です。この2つの「そうぞう力」を若いうちから大いに鍛えてください。
 10年後には、グループの拠点である渋谷の再開発が完成しています。その頃、今より成長した皆さんが、会社にとって、そして社会にとって必要とされる仕事をしていることを期待しています。

◆東急不動産ホールディングス(株)代表取締役社長 大隈郁仁氏

※東急グループは入社式を合同開催するため、下記のコメントは新入社員向けの会合で別途発表したもの。

 当社はライフスタイル創造、提案型の企業集団。新入社員にはクリエイティビティを高めると同時に『コミュニケーション力、プレゼンテーション力、ネゴシエーション力』の3つの力を磨いてほしい。事業提案などで資金力のある同業他社と対峙する場合、この3つの力を生かして関係者との厚い人間関係を構築し、提案の中身を磨き、勝ち抜くことが会社のさらなる成長につながる。

 我々は8月に渋谷に本社を移す。渋谷の街の魅力は『多様性の許容』だ。国籍、年齢など多様な人が様々な目的を持って、街に魅力を感じて集まっているのが渋谷の強みだ。ただ我々は渋谷に大きな土地を持っているわけではなく、地権者の皆さんと協力をして再開発をしていく必要がある。皆さんは『多様性の東急』の新入社員。この渋谷に拠点を持つ東急グループの強みも多様性。先ほどの3つの力と人間力をしっかり磨き、社内外の人とのコミュニケーションを深めながら様々な仕事に取り組んでほしい。

 新入社員の中には希望していなかった仕事を任される人もいると思う。でも自分が本当にやりたいところに配属されなくても、目の前の仕事を一生懸命やれば必ず評価され、行きたい部署の人にもその活躍は必ず届く。そして先輩の仕事を奪うつもりで仕事をしてほしい。組織全体で見れば、下の社員がより多くの仕事をすれば、上司や先輩はもっと大きな仕事ができるようになり、会社全体でも大きな仕事に取り組めるようになる。

 今日から皆さんは東急不動産の社員。今は横一線で個々人の評価はこれからの仕事の中身で決まる。休日も含めコンプライアンス意識をしっかりと持ちつつ、高いパフォーマンスを上げられるようにしてほしい。決して焦ることはない。

◆森トラスト(株)代表取締役社長 伊達 美和子氏

 本日は入社おめでとうございます。特に新しい元号とともに門出を迎える記念すべき年に入社される皆さんに、心からお祝い申し上げます。

 私が社長に就任した2016年から今日までを振り返ると、英国離脱に始まるEU問題、大統領選挙により局面が変わった米国の自国主義など、国際情勢は大きな変革期を迎えながらも、その解決の糸口がなかなか見えない混乱の時期でした。そして今年は、外国人受入拡大のスタート、消費税率引き上げ、またオリンピック・パラリンピックに向けた準備が活発化し始めるなど、国内の社会経済情勢も激動の一年になります。

 また、働き方改革による労働時間のあり方も問われる中で、企業の競争力の源として、Tech技術の導入・活用が一層推進されるなど、各企業は生産性向上の実現に向けて、内側から、組織だけではなく業務そのものを「変革」する時代になっています。当社の事業を見ても「情報・ヒト・モノ・コト」が繋がる時代において、どのようなハード・ソフトを提供、結合し、新たな価値を生み出していくのか、総合的に考える時代が訪れています。

 そのような中で、皆さんに念頭に置いていただきたいことは、当社のような保有型の事業は、正しい立地に、正しい手法で投資を行い、正しい管理・運営を行っていくからこそ、実績、業績に繋がるということです。中長期ビジョン「Advance2027」の第一期の最終年度である2019年度の業績は、2027年度の目標数値に達する見込みです。これは、基本となる考え方を軸に積極的投資を行い、慎重に一つ一つの事業を推進することで、賃貸・ホテル・分譲・海外投資部門の全てにおいて、順調な推移を見せている結果です。

 企業とは、社会の動きやニーズのベーシックな部分を押さえながらも、新たな動きをいち早く捉え、様々な分野で正しい判断をしなければなりません。そして、その最終判断をするのは、機械ではなく、人です。当社にとって人は、戦力であり財産です。

 皆さんには、未来の組織を担う人材に一日でも早くなっていただくために、考える力、企画する力、実行する力を養うことを念頭に置きながら、既成概念にとらわれない新しい発想で業務に取り組んで欲しいと思います。見聞きしたものを単純に受け止めるのではなく、その意味を考え、時には自分ならどうするかを考え、新たな方法を企画・提案してみてください。そうした試行が組織を進化させ、皆さんの将来に繋がるでしょう。

 2019年、元号が変わるこの年に入社する皆さんには、平成時代の企業のあり方、働き方をリセットし、新元号にふさわしい働き方が出来る世代として期待しています。前向きに未来を信じて一歩一歩、共に、着実に歩んでいきましょう。

◆三井不動産リアルティ(株)代表取締役社長 山代裕彦氏

 皆さん、ご入社おめでとうございます。
 本日ここに、三井不動産リアルティ、地域リアルティ各社を合計して、総合職 306名、一般職 134名、合計440名という多くの皆さんを新入社員としてお迎えできることを大変うれしく思います。役職員を代表して心より歓迎し、お祝いを申し上げます。

 まずは、2019年に入社される皆さんに、「今年」を意識したお話を申し上げます。当社は、7月15日に前身である三井不動産販売の設立から50周年を迎えます。この節目の年は、過去を振り返るのではなく、次の50年に向けたスタートの年にしたいと考えています。また、今年は今上陛下が退位され、皇太子が新天皇に即位されます。平成の御代で育ってきた皆さんが入社して1カ月後には新元号となります。縁あって新たな時代のスタートの年に入社された皆さんには、新しい時代の幕開けだと思って、当社の企業理念にもある「innovative spirit」(挑戦、先進性)を発揮して大いに活躍してほしいと思います。

 当社を取り巻く事業環境は、良質な住宅ストックの増加や根強い海外投資家の投資意欲、準郊外や地方都市における駐車場不足、所有から利用への消費者意識の変化により、まだまだ拡大する余地があります。当社は、拡大する事業環境の中で成長戦略を定めて各事業において取り組んでいますが、フィービジネスを展開する当社にとって、第一の要は「人材」であります。こうして多くの新入社員の皆さんをお迎えするのも、成長に向けた大きな投資であり、ここにいる一人一人に要となっていただくことを期待しています。

 最後に、皆さん個人の成長のために、アドバイスを二つ申し上げたいと思います。一つ目は「自ら考え、自ら行動してほしい」ということです。当社は様々な研修制度を用意しており、皆さんを鍛えていきます。また、職場では先輩と働きながら、能力・経験・人格を磨いていただきます。焦らずにじっくり己を磨いてほしいと思いますが、受け身で過ごしていては、成長はありません。能動的に考えて行動する。自らの成長のために、常にその気持ちを持ち続けてください。

 二つ目は、「成功体験を積んでほしい」ということです。皆さんの先輩にも申し上げていることですが、「ヒッシ」という言葉があります。この言葉には、「死ぬ覚悟で全力を尽くすこと」という意味の「必死」と、「必ずそうなること、そうなるのは避けられないこと」という意味の「必至」という漢字表記があります。両方とも語源は将棋だそうですが、何事をするにも「死ぬ気になって取り組めば」「必ず実現する」と解釈してみてはいかがでしょうか。必死に仕事をして成し遂げた成功体験は、みなさんの人生をさらに豊かなものにするはずです。皆さんは若いのです。「できないことはない」という気概をもって事に当たり、努力して何かをつかみ取ってもらいたいと思います。

 皆さんの、当社での生活とこれからの人生が充実したものになることを祈念しまして、お祝いの挨拶とさせていただきます。

◆ポラスグループ代表 中内 晃次郎氏

 新元号が施行される本年、創業50周年を迎える当グループの経営方針のキーワードは、「自他共栄」です。互いに信頼し感謝することで、自分も世の中の人も共に栄えることができるというものです。経営理念に則った経営を推進し、企業の成長と地域貢献を両立することが、次の半世紀に向けた企業経営が出来るのではと考えています。

 新入社員の皆さんは、自分への投資として継続的に新聞を読む事と資格取得に取り組んで下さい。新聞では世の中の動きを知ることが出来、資格取得は業界の知識や法律を学ぶことが出来ます。プロとして恥ずかしくない見識を身に付けることが、お客様からの信頼・信用に繋がるのです。
 これらに積極的にチャレンジし、一日でも早くこの業界に相応しい振舞い、動き方、考え方が出来る社会人になれるように努力してください。

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