不動産ニュース / その他

2019/5/22

長谷工、東大と共同で自社ビルにパビリオン

「URO-CO」全景。特注のベニヤ板を重ね合わせ構造強度を確保、円筒の上に人が座っても問題ない強度とした。手前のチップ状の木片は、べニヤ板を加工した際に出たもので、大きさはバラバラ。ストラップ等に再加工して、来場者にプレゼントしている

 (株)長谷工コーポレーションが、東京大学建築学専攻T_ADSと共同で制作を進めていた実験的パビリオン「URO-CO」が完成。22日、報道陣に公開した。

 東京大学建築学専攻T_ADSは、2013年に設立。建築家の隈 研吾氏が教授を務める。毎年大手ゼネコンと共同で、パビリオンを制作。同大学の本郷キャンパス内に作品を展示してきた。長谷工は18年度にパートナー企業となり、若手スタッフが同大学と共同で制作にあたった。また、これまで学内に期間限定で設置してきたパビリオンについても、自社の社員をはじめ多くに人に見てもらいたいと、東京都江東区の自社ビル「長谷工南砂町駅前ビル」内のプレゼンテーションルーム「LIPS」に設置することとした。

 パビリオンのテーマは、17年10月から両者でリサーチを開始した。住生活と密接な関係がある「木」について、「空気」「光」「音」の視点から新しい可能性を模索。木そのものが構造として機能するシステムを探求し、最終的にベニヤ板に開ける穴の密度を変化させ、光の透過度、弾性、強度をコントロールする「ウロコシステム」とし、隈氏の指導の下、制作した。

 国産シラカバのベニヤ板は、一般的なベニヤ板の3倍の厚さ(15層、9mm)の特注品で、長さ1.9~4.6mのものを約100枚使用し、らせん状に重ねた。重ね合わせる厚さ(2重~4重)、べニヤ板に開ける穴のサイズや形を変えることで、強度と陰影を変化させている点が特徴。ベンチのように腰をかけても変形しない強度を持つ。

 説明にあたった同社エンジニアリング事業部統括室長の堀井規男氏は「当初から、パビリオンで得られた知見を事業に生かしたいと、東大さんにはお伝えしている。パビリオンのパラメトリックなデザインを、マンション室内のデザイン意匠や家具デザインの参考にしていきたい」と抱負を語った。

 「LIPS」は、マンション事業主に対し、企画設計や仕様決定などの具体的提案と、新技術・新商品情報を提供する拠点。メーカー80社の商品が展示される。18年10月、品川区から移転し、展示面積を1,310平方メートルから1,490平方メートルに拡大。標準仕様とオプション提案のモデルルームを並べて配置することで、仕様差を比較できるようにしたほか、同社が受託したマンションで使われる設備仕様データをすべて管理しており、必要に応じて施主や検討事業者に提示できる。

穴の形状や板の重なりにより、円筒形内部の陰影に差が出る

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