(株)三井住友トラスト基礎研究所は11日、「不動産私募ファンドに関する調査」の結果を発表した。国内不動産を対象に不動産私募ファンドを組成・運用している不動産運用会社111社を対象にアンケートした。7~8月に調査し、有効回答数は51社。
2019年6月末時点での不動産私募ファンドの市場規模は、運用資産額ベースで19兆2,000億円(前回調査〈18年12月末時点〉比約1兆4,800億円増)と推計。近年は緩やかだった市場規模の拡大ペースが加速し、過去最大規模となった。
私募REITが銘柄数・資産規模共に増加しているのに加え、私募ファンドのみを運用する運用会社の資産規模も増加しているため、私募REIT、私募ファンドの両輪で市場規模が拡大したと分析している。
デット資金の調達環境については、総じて良好な状態が継続。「普通」が28件で最多となり、「緩い」の20件を上回った。「厳しい」という回答は2件にとどまった。
19年1~6月の物件取得状況は、「取得した」という回答が71%と、高い水準を維持。物件取得に至らなかった理由については、「価格目線が合わなかった」が過半となった。
物件の売却状況を聞くと、「売却した」との回答は43%となり、前回調査に続いて半数を下回った。売却しなかった理由は「当初から予定がなかった」が89%を占めた。
今後投資に注力していきたい物件タイプは、「オフィス」が20%、「住宅」「ホテル」が19%で続いた。物件タイプに大きな偏りは見られなかった。
注力したいエリアについては、「都心5区」「東京23区(都心5区を除く)」が20%で並び、「首都圏」19%、「近畿圏」17%と続いた。地域的にも大きな偏りはなく、同社では、今後も多くの運用会社が東京だけでなく国内主要エリアを対象に幅広く物件を取得していくと予測している。