(公財)日本賃貸住宅管理協会は12日、明治記念館(東京都港区)で「日管協フォーラム2019」を開催した。
同協会の各委員やブロックが、それぞれの活動や成果を一堂に発表する毎年恒例のイベント。今年は全25講座を設定。社宅サミット名刺交換会や賃貸不動産経営管理士試験直前講座も併催した。来場者数は、710社・3,370名。
あんしん居住研究会は、R65代表取締役の山本 遼氏が、高齢者入居の成功事例を公開。「孤独死や入居後の健康面についての不安はあるかもしれないが、緊急時の連絡先や地域包括支援センターの確認などを行なっておけば、入居中の加齢によるトラブルを防止することが可能」などと話した。社宅代行サービス事業者協議会では、繁忙期における人材不足を補うため、指定契約書の統一を図るとし、電子契約も視野に入れたシステムの統一に取り組んでいるとした。その後、社宅サミット・名刺交換会が行なわれ、約400名の管理・仲介事業者と社宅代行サービス事業者が交流を図った。賃貸管理研究会は、「日管協版 管理業務チェックシート」を活用した業務見直しと管理拡大術を披露。管理受託業務、入居から解約までの業務等の説明を行なったほか、オーナーに対する支援業務についても紹介した。
実行委員会では、住宅セーフティネットや残置物処理などに関する住宅施策について、国土交通省住宅局安心居住推進課課長の嶋田大輝氏と、同省同局住宅総合整備課賃貸住宅対策室室長の下田平 和貴氏が解説。嶋田氏は、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録促進に向けた手続きの簡素化やシステム改修などについて説明。下田平氏は、単身高齢者等の入居について、活用可能な制度やサービスについて触れ「トラブルは契約前の準備がポイント」などと話した。
日管協総合研究所は、自殺・孤独死等が発生した「事故物件」の取り扱いについて、会員5社の実務者が実例を紹介。同協会理事の関 輝夫氏(丸一土地建物(株)代表取締役)は、自社が加盟する(一社)千葉県宅地建物取引業協会千葉支部で普及を進めている心理的瑕疵物件への特約を紹介。特約では、事件・事故により室内で人が亡くなった場合や、自然死など室内で人が亡くなり7日以上経ってから発見された場合は貸し主に告知義務があるとしたほか、事件後内装改修、神主によるお祓いを実施し、新たな入居者が2年以上入居、または事件後5年以上経過した場合は告知を行なわないとしている。ただ実際には「事故後8年経過した物件でも告知を行なっている」(関氏)とした。戸建てアパートでの一家心中など多数の事故物件を経験した羽加美不動産(株)専務取締役の松田恭治氏も「心理的瑕疵物件の告知期間は、物件属性やエリアによってまちまちだろうが、有名な事故物件サイトに掲載されている物件については、告知を続ける必要がある」との見解を述べた。