不動産ニュース / 団体・グループ

2019/12/3

会員が「タウンマネジメント」学ぶ/埼玉宅協

グループディスカッションでは、中小不動産事業者の今後の方向性についてグループごとに意見が交わされた

 (公社)埼玉県宅地建物取引業協会は2日、埼玉県越谷市で「タウンマネジメント・スクール」を開催した。少子高齢化の進展する中で、地域密着で展開する宅建事業者が歩むべき方向性や考え方を学ぶ研修で、今回で3回目。

 スクールは、午前(1部)と午後(2部)で構成した。
 1部では、地域再生の取り組み事例を座学と見学会で学んだ。座学では、旧日光街道越ヶ谷宿「らしさ」をテーマに地域再生に取り組む(株)けやき建築設計・欅組代表取締役の畔上順平氏と、(株)まちづくり越谷代表取締役の井橋 潤氏が越谷市内旧日光街道沿いでの古民家再生や商店会活性化の取り組み等を説明。その後の見学会では、築100年超の古民家を商業施設として再生した「はかり屋」や、空き店舗をコミュニティカフェとして再生した「CAFE803」などの事例を紹介した。

 2部では、学識者による講演と、実際に地域活性化に取り組む会員事業者の事例発表を行なった。横浜市立大学教授の齊藤広子氏が「地域を元気にするローカル不動産業者の取り組み」をテーマに講演。同氏は、全国で地域密着の宅建事業者が手掛けているリノベーションまちづくりを紹介した。「リノベーションまちづくりの根底にあるのはエリアマネジメント。空間の価値を決めるのは、マネジメント力であり、そこには不動産業の果たす役割は大きい」などと話した。

 続いて、埼玉県戸田市で、リノベーションと物件のマネジメントによって同社と入居者、入居者同士の関係を深めるプロジェクト「トダ_ピース」を展開する平和建設(株)の代表取締役・河邉政明氏が登壇し、「トダ_ピースで人と建物とまちの平和で有効な関係をつなぎ合わせる」と題して講演した。
 同社は、さまざまなリノベーションをきっかけに地域にクリエイターらが増えたことで、入居者同士の人間関係を構築することで地域活性化につなげようとイベント等を開催。「会社と入居者という関係から、イベント等を通じて入居者同士のつながりも発生しはじめました。いまでは、クリエイター同士で一緒に仕事をするなどの好循環が生まれています」(河邉氏)などと語った。

 その後、参加者が4グループに分かれ、今後の中小不動産事業者の在り様についてディスカッション。「地域を活発にするためには、地元の商店を活性化し、若者を呼び込んでいく必要がある。そのために、不動産会社が中心になって人の集まる場所・コミュニケーションできる場所をつくり、ヨコのつながりをつくっていく」「不動産業全体のレベルを引き上げなくてはならない。異業種や同業者との連携に加え、行政とどう連携していくか考えていくべきだ」「入居者・大家・地域住民をつなげるまちづくりを行ない、まち全体が豊かさを享受できるような取り組みが求められる」などといった声が挙がった。

築100年超の古民家をリノベーションした商業施設「はかり屋」を見学する参加者
地元の要請にディベロッパーが応じ、既存の蔵を分譲住宅の1区画に残した事例も見学した

この記事の用語

リノベーション

新築を除く住宅の増築、改装・改修、模様替え、設備の取替えや新設などの改造工事を総称してリノベーションという。リフォーム、リモデルなどとも。既存建物の耐震補強工事もリノベーションの一種である。

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