(一社)マンション管理業協会を事務局とする「マンション管理適正評価研究会」(座長:齊藤広子横浜市立大学国際教養学部教授)は26日、同研究会の「報告書 とりまとめ」を公表した。
2019年9月から12月にかけ、計4回の会合を実施。マンションの管理に係る情報開示の必要性、管理の質が市場価格・取引価格に反映される必要性、および適正な管理の基準について検討してきた。1月に「中間とりまとめ(案)」についての意見募集を実施。その意見も参考に内容を見直し、「報告書 とりまとめ」としている。
情報開示の必要性については、消費者保護の観点だけでなく、現区分所有者、管理組合、管理会社等マンション管理に係る者に対し、マンション管理に係る基本的情報、客観情報および等級評価を取引段階だけでなく、分かりやすく情報開示を行なうことが大きな意義を有すると言及。その管理情報を評価する項目は、約146項目。建築年次、総戸数等の基礎的な情報を一般情報と整理し、専有部分におけるペット飼育の可否、修繕積立金の積立方式等、人により評価が変わるものを客観情報として整理。その上で、管理に係る情報のうち管理費等の滞納等重要な項目であり、かつ、数値評価が可能な項目を設定し、その合計点を基に等級評価することとした。管理状態は、S:特に秀でた管理状態、A:適切な管理状態、B:管理状態の一部に問題あり、C:管理状態に問題あり、D:管理不全の恐れがある、の5ランクで評価する。
また、管理の適正性が市場で評価される仕組みは、購入予定者を含めて広く、早い段階から物件の情報を入手することが可能となり、情報開示されることが実現されれば、売買の現場において取引価格に反映されることが期待できるとした。現在、東京都をはじめ複数の地方公共団体において、マンション管理に行政が関与する仕組みづくりやその検討が行なわれている。
同研究会の成果を一助とし、マンションの管理組合・区分所有者等およびマンション管理に関わる業界団体全体で、より一層適正なマンション管理の実現に向け努力していくことを期待すると締め括っている。