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2020/6/8

ウィズコロナの郊外住宅地再生手法を議論

 大和ハウス工業(株)、ミサワホーム(株)、(株)東急不動産R&Dセンター、東京大学最先端科学技術研究センターは6日、「郊外住宅地再生フォーラム2020」をオンライン開催した。

 4者は19年10月1日に「郊外住宅地再生」社会連携研究部門を同研究センター内に設置。産学官が連携しての研究・実践活動により、大都市圏に存在する郊外住宅地の再生手法の創出に取り組んでいる。同フォーラムは、コロナウイルス感染症拡大の影響を受け住宅の価値が見直される中での郊外住宅地におけるまちづくりについて議論する場として開催。各社が同研究センターと連携して進める郊外団地の再生事例を紹介したほか、パネルディスカッションを実施した。

 大和ハウス工業は、「上郷ネオポリス」(横浜市栄区)で開始するバーチャルコミュニケーションの施策を発表。同住宅地は同社が1972年に開発。高齢化率は50%にのぼるが、買い物利便性の向上やコミュニケーション活性化に向け、19年10月にコミュニティ施設とコンビニを併設した「野七里テラス」を開き、併せて住民が持て余している駐車場を借りてコンビニ商品を乗せた移動販売車を巡回させる取り組みも開始した。「買い物利便性向上のみならず、軒先に人だまりをつくることでにぎわいをもたらす効果も得られている」(同大学大学院修了・秋月優里氏)というが、対面での密なコミュニケーションを生む取り組みはコロナ禍においては中止せざるを得ない。そこで、今後はオンラインでも住民同士がつながれるよう、バーチャルコミュニケーションの普及に取り組むとした。「住民に短冊を配布。玄関に飾ってもらい、その様子をドローンで撮影して共有するイベントを実施するなど、顔を合わせられなくても住民同士がつながりを感じられる工夫をしたい」(大和ハウス工業・瓜坂和明氏)。

 ミサワホームは、同社の分譲地区を含む「新百合ヶ丘」(川崎市麻生区)で実施するオンデマンド交通サービスの事例を紹介した。同エリアは起伏が激しい地形であり、高齢化も進んでいるが、住民の希望に合わせてルートを変えながら走行する「しんゆりシャトル」を導入することで交通利便性が上昇。居住継続意向も高まっている。
 東急不動産R&Dセンターは、「こま武蔵台」(埼玉県日高市)で行なう、若年世代を呼び込むための空き家・空き店舗の活用施策を解説。ショッピングセンター内の空き店舗を活用して、地産品の販売コーナーや、地域の子供が屋台を出店できるスペースで構成する「ふれあいマルシェ」を開催しているが、多世代交流の場を設けることが新たに流入してきた住民の居場所づくりにもつながっているとした。また、リモートワークが注目される中、今後は商店の空き区画をコワーキングスペースとして活用する実証実験も開始するという。

 パネルディスカッションでは、「コロナを経て、住宅地内での過ごし方、外の都市とのつながり方はどう変化するか」といったテーマで議論された。パネリストからは「外に出かけにくくなったことで、エリア内を散策する人が増えている。住民が新たなエリアの魅力を発見する可能性につながる」「住宅地内のみで生活が完結するライフスタイルにはならない。住民が都心に安全にアクセスできる交通網のあり方を検討すべき」などの意見が挙がった。

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