(公社)全国宅地建物取引業協会連合会の会員で構成される(一社)全国賃貸不動産管理業協会(全宅管理)の佐々木 正勝会長および岡田 日出則専務理事が2日、専門誌記者と会見。協会の現況や今冬より順次施行となる賃貸管理適正化法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)への対応準備等について説明した。
同協会の会員数は9月末現在で6,282社。2019年3月末比で71社増(新規入会140社、退会69社)とこれまでにない勢いで増えており、9月だけで30社が新規入会した。佐々木会長は「賃貸管理適正化法の施行が迫り、わが国の資産価値の下落を防ぐ、ストック循環型ビジネスの賃貸管理業が、中小宅建業者の生き残り策として重要であるとようやく気付いていただけたのではないか」とし、「今後も大手企業に遜色ないサービスが提供できるよう会員を支援し、会員の経営基盤を確立し、地域で信頼され、地域に貢献しながら営業が続けられるようにする」などと語った。
岡田専務も「月2、3回のペースで全国でタウンミーティングを開き、会員実務者の声を集めてきた。これらを反映し、管理業務の標準化、平準化のための研修や営業支援ツールを提供していきたい」とした。
会員支援サービスの核として「デジタル対応」を挙げた。「オンラインでの入居申し込みが加速している。デジタル化に追いつけない管理戸数の少ない会員にも目を向け、振り落とされないようサポートする」(佐々木会長)。コロナ禍で家での滞在時間が増えたことでサービスリクエスト(クレーム)の種類や件数も急増していることから、AIによるサービスリクエスト対応システムの構築準備を進める。「トラブル対応こそ、管理業の出番。プロとして、オーナー・入居者双方の利益を守る力量が問われる」(同)。
賃貸管理適正化法については、会報誌やYouTube等で法律、政省令、ガイドラインの周知を進めていく。また、同法では管理戸数200戸未満の事業者の登録は免除される予定ではあるものの、「登録している会社、していない会社で明確に区別されるはず。できる限り登録してもらうよう会員へ周知し、登録率100%を目指す」(同)。
コロナへの対応では、感染予防対応チェックリストの作成や店頭掲示POPを作成して、会員に配布した。今後は、「現在の各種助成金がなくなると、家賃滞納や減額交渉が目に見える形で増えてくるはず」(岡田専務)として、全宅連を通じ国へさらなる支援を求めていく。「コロナでオーナー・ユーザーと直接対面できる機会が激減している。そうした中、地域に根を張るわれわれが相談相手として重要な役割を担うことになる」(同)。